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ソーシャル時代のマーケティングで、課題を解決します
電化製品のマーケティング分析
一般的にマーケティングに影響を与える代表的な要素と業界ならではの特性を考慮すると、電化製品業界はマーケティングにおいて以下のような押さえるべきポイントがあります。
※あくまで業界において一般的に言える特長です。ブランドによって差異はあります。
コモディティ化と価格競争
かつてはニーズに企業の技術力が追いついていなかったため、各社は技術開発に力を注いでいました。しかし現代は技術力が顧客ニーズを追い越しているため、生活者のニーズはほぼ充足しており、技術力で競合と差をつけることは難しくなっています。
そのため、あらゆる業界においてコモディティ化による価格競争が激化しており、電化製品業界においてもその傾向は顕著にあらわれています。
また、業界は小売のパワーが非常に強いため、シェアが低いメーカーやブランドは値引きや販売奨励金などで店頭の棚を確保せざるを得ない状況に陥っています。さらに中国や台湾といった国外の低価格製品が台頭したことにより、PLC(Product Life Cycle)の短命化と店頭価格の下落スピードは年々早まっています。
生活者が重要視するベネフィット
電化製品のうち家電には、白物家電と黒物家電があり、白物家電は主に理性的(機能的ベネフィット)で選択され、黒物家電は情緒(情緒的ベネフィットや自己実現ベネフィット)で選択される傾向があります。
ただし、近年若年層を中心に電化製品の選択基準が変わってきていることにも留意しましょう。
以前は車ならトヨタやホンダ、電化製品ならパナソニックやソニーに安心と信頼感を感じる世代が消費の中心でしたが、Z世代に代表される若年層などには「たいして機能が変わらないなら安い方がよい」「没個性的な商品より個性的でおしゃれな方がよい」といった判断基準を持つ生活者も増えてきています。
機能的ベネフィットで選択される商品は徹底的な低価格志向、情緒的ベネフィットや自己実現ベネフィットで選ばれる商品は高価格でも購入される二極化が起こっていると言えます。この中間に位置するブランドは、どちらからも選ばれないという危険性もはらんでいます。
検討・検索に費やす時間
電化製品は価格が高く、 購入頻度が低いため、購入による失敗リスクが大きいカテゴリー特性を持ちます。人間は得をするよりも損をしたくない心理が強く働くため、生活者は購入前にオウンドメディアでくまなくスペックを調べたり、ECサイトやクチコミサイトでクチコミやレビューを読み込みます。
電化製品のEC化率は38%に達しており※、最近では店舗で実物をチェックしてウェブで最安値の商品を購入するショールーミングだけでなく、ウェブで検討し、店舗で実物に触れてから購入するウェブルーミングも拡大しています。
※出典|令和3年度 電子商取引に関する市場調査 報告書|経済産業省(2022年)
“想起されやすさ”と“買い求めやすさ”が与える影響
売上は、メンタルアベイラビリティ(思い出してもらいやすさ)とフィジカルアベイラビリティ(買い求めやすさ)の2つの強さで決まります。
電化製品の購入場所は、家電量販店と大手ECサイトに大別されます。購入頻度が低いため、一般消費財のようなストアカバレッジを持つ必要はありませんが、生活者が“家電が買える場所”と認識している場所には商品が卸されていることが必須となります。
メンタルアベイラビリティに関しては、電化製品は購入頻度が低いため、常にニーズが顕在化しているわけではありません。調子が悪くなってきたときや何かのきっかけで「欲しいな、買っちゃおうかな」とニーズが顕在化した瞬間に、真っ先に頭に思い浮かぶ第一想起ブランドが圧倒的に有利なポジションを獲得します。
購入前に生活者から検索・検討してもらえる商品は、想起集合に入っている1〜3個のブランドで、検索される順番は第一想起→第二想起→第三想起の順番です。また、想起集合は好意的な選択肢の集合体なので、最初に検索される商品の方が高い購入率を示します。これらのことから、電化製品はメンタルアベイラビリティが非常に重要なカテゴリーと言えます。
想起集合および第一想起の重要性
メンタルアベイラビリティを理解するために知っておくと便利なのが、以下のようなブランドカテゴライゼーションの枠組みです。
トーナメント表のような図が表す通り、すべてのブランドが左からスタートし、右上に勝ち進んだブランドが最も売上を獲得しやすくなります。
知名段階は“知っているか、知らないか”、処理段階は“商品やサービスの特徴を理解しているか、していないか”です。
そして想起集合は“ニーズが顕在化したときに純粋想起される好意的な選択肢の集合体(購入時における選択肢)”をあらわしており、第一想起は想起集合の中で最初に想起されるブランドを指します。
Evoked Set調査2022の結果
トライバルメディアハウスは、2022年2月に15カテゴリーにおいてEvoked Set(想起集合)調査を実施しました。
【調査概要】
調査実施期間:2022年2月25日~2022年3月16日
調査対象:全国20歳~69歳男女で、以下それぞれの商品・サービス等を自身で購入/利用、または問い合わせをした人
対象:全15種(ビール、チューハイ、チョコレート、アイスクリーム、衣類用洗濯洗剤、歯磨き粉、マスカラ、掃除機、ドライヤー、デジタル一眼レフカメラ、クレジットカード、自動車保険、住宅、動画サブスクリプションサービス、温泉地)
※なるべく近い時期に、購入/利用したサンプルから優先的に回収
サンプルサイズ:各1000サンプル
サンプル構成:性別×年代(20~69歳)10代ごと10セル均等割り付け(マスカラは女性のみで500サンプル)
「(カテゴリー名)と聞いて思い浮かぶブランド(銘柄)は?」という質問に対して、想起集合に格納されているブランドの数(想起集合の平均値)は、温泉地が最多で2.42個、最少の歯磨き粉が1.48 個で、今回調査した15カテゴリーにおいてはすべてが3 個未満でした。
今回の調査対象である15カテゴリーのうち、電化製品に該当する掃除機の調査結果をご紹介します。本調査では、知名集合・処理集合・想起集合のすべてにおいて、選択回答式でなく自由回答式を採用しているため、調査結果には会社名やブランド名などが混在しています。
掃除機の想起集合平均値は1.87個でした。メーカーはダイソンが強く、以降、パナソニック、日立と続きます。第一想起の購入率が低いのは、ダイソン商品が高価格であることが起因していると推察されます。ただし、数値が示す通り購入率は第一想起ブランドが圧倒的に高い数値を示していることがわかります。次に、ドライヤーの結果を見てみましょう。
掃除機同様メーカー名が並んでいますが、知名、処理、想起集合のいずれもパナソニックの一人勝ちとなっています。ドライヤーの想起集合平均値は1.50個と15カテゴリーの中で3番目に少なく、購入率も第一想起ブランドが圧倒的に高いため、想起の重要性が極めて高いカテゴリーと言えます。
一眼レフの想起集合調査結果もご紹介します。
デジタル一眼レフ市場はキヤノンとニコンの2強ですが、近年はミラーレス市場が拡大していることから当該市場シェア1位の『α』を持つソニーが入った三つ巴の戦いとなっています。想起集合平均値は1.78個で、1位と2位の購入率の差が激しい為、第一想起ブランドが有利であることがわかります。
電化製品のマーケティング特性まとめ
以上のことから、電化製品業界におけるマーケティング活動においては以下のようなことを踏まえておく必要があります。
- 競合商品が多く、価格競争が激しい
- 白物家電は理性的(機能的ベネフィット)、黒物家電は情緒(情緒的ベネフィットや自己実現ベネフィット)で選択される特徴を持つ
- 若年層は低関与電化製品は徹底した低価格志向、高関与電化製品は高付加価値・高価格商品を選択する購買行動が目立ち、二極化が進んでいる
- 価格帯が高い商品であるほど検討や検索に時間がかけられ、多くのクチコミが参照される
- 購入場所は家電量販店か大手ECサイトのため、フィジカルアベイラビリティはリアル流通だけでなく、デジタルシェルフも強く意識する
- 第一想起ブランドが圧倒的に有利なため、メンタルアベイラブルな状態をつくっておくことが最も強い競争優位性につながる
- ニーズが顕在化するタイミングは不確定かつ頻度が低いため、いつかニーズが顕在化するその瞬間まで、オールウェイズオン(常時接続型)コミュニケーションによってフリークエンシーを高め、ロングエンゲージメメントを獲得し続けておくことが重要となる
問題を解決するためのアイデア
PESOモデルとの相性から考える
電化製品のマーケティングコミュニケーションは、PESOメディアのペイド、オウンド、シェアードが重要と考えられます。もちろんアーンドも重要ですが、新技術の採用などが無い場合、商品パブリシティによる記事露出は限定的です。
ペイド施策
知名集合に入るため、一定の認知を獲得する必要があります。マス広告を打つ予算がない場合は、高精度なターゲティングができるSNS広告が有効です。また、必ず検索されるカテゴリーのため、検索連動型広告も必須です。
オウンド施策
処理集合に入るため、広告による商品特徴の理解促進だけでなく、検索の受け皿となるオウンドメディアに詳しい商品情報を掲載しておきましょう。
シェアード施策
大手ECサイトやクチコミサイトなどでのレビューは購入前に必ず参照される情報です。情緒的ベネフィットや自己実現ベネフィット訴求の商品の場合はInstagramのハッシュタグ検索結果、公式アカウントによるフリークエンシー向上とロングエンゲージメントが有効です。
マーケティングファネルと施策マップから考える
電化製品は購入頻度が低く、価格が高いカテゴリー特性を持ちます。潜在顧客の想起率向上(ニーズが顕在化した瞬間に自社ブランドを想起してもらう戦略)、認知向上、興味喚起、理解促進、好意度向上、検討、購入意向の向上、購入されるチャネル確保、小売店頭での人的販売と、プリマーケティング(買ってもらうまでのマーケティング)は全域に渡って行う必要があります。
まだあまり興味がない層に対してはコンテンツマーケティングが有効です。他社商品を含めた客観的評価を知りたい層に対しては、商品を中立的に評価するカテゴリーインフルエンサーによるYouTube解説動画なども効果的です。
また、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めるためのポストマーケティング(買ってもらってからのマーケティング)も重要で、会員登録、メルマガやLINEなどによる定期的な情報提供、使い方やメンテナンス法を解説するYouTubeのハウツー動画、チャットボットによる顧客サポートなども非常に有効です。ファンからのオススメ経由で新規顧客獲得を狙う戦略も成果を上げるでしょう。
売上をつくる構造から考える
トライバルメディアハウスでは売上に影響を与える主要因を分解し、その構造を『売上の地図』として図式化しています※。電化製品業界においては、どういった変数が売上に影響を与えているのでしょうか。
※詳しくはこちらの書籍をご覧ください(Amazonのページが開きます)。
電化製品は購入頻度が低いため、ニーズが顕在化した瞬間の想起が鍵となります。そのため、広告やSNS公式アカウントによるフリークエンシー確保が重要です。その後、想起集合に入っている1〜3個のブランドでは、ユーザーレビューが大きく影響します。購入はリアルチャネルの店頭か大手ECサイトで行われるため、必要十分なフィジカルアベイラブルを確保しておく必要があります。
クチコミの重要度から考える
クチコミには4つの種類があり、それぞれ商品の購入前と購入後に発生しています。すべてのクチコミは生活者のZMOT※を生み出し、生活者の認知・興味喚起・意向形成に貢献しています。
※Zero Moment Of Truthの略。Googleが提唱した概念で、顧客が商品やサービスを評価する瞬間=Moment Of Truth(真実の瞬間)が商品の購入前に訪れているということを説いた考え方。ZMOT/FMOT/SMOT/TMOTについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
電化製品はレビュー型とレコメンド型のクチコミが発生しやすい商材特性を持ち、それらすべてが新規顧客のZMOTにつながります。
どちらも好意的なクチコミの総量をいかに増やすかが重要であるため、ファンを育成する熱狂ブランドマーケティングや、すでに自社ブランドに愛着を持ってくれているファンと取り組むブランドインフルエンサーリレーションズ、SNSの公式アカウントを起点としたUGC創出活動が効果的です。
相性のいいプラットフォーム
トライバルメディアハウスにできること
公式アカウント運用による中長期なコミュニケーション
店頭で真っ先に思い出し、手にとってもらえるブランドになるために、ソーシャルメディアを活用したコミュニケーションは有効な手段の1つです。アカウント運用を通じてエンゲージメントを獲得することで、ブランドや商品の想起率向上を目指します。
生活者との関係をもとに、長期的な事業成長と“明日の売上づくり”につなげます。
ソーシャルメディアやSNSの特性を最大限活かした
バズキャンペーン
ソーシャルメディア上でのクチコミ発生は売上の増加に貢献することが研究でも明らかになっています※。しかし、やみくもにキャンペーンを行ってクチコミをただ増やせばいいわけではなく、クチコミを見た生活者に購入意向が形成されるような状態を目指さなければなりません。
そこで、私たちは徹底したソーシャルリスニングで生活者理解を深めたうえで、生活者が思わず好意的かつ意向につながるリアクションができる企画を検討・実行します。
ソーシャルメディアやSNSの特性を最大限活かすキャンペーンを設計します。
※参考:消費者行動の実証研究|中央経済社出版(2018年12月27日)|守口 剛(編集)、上田 雅夫(編集)、奥瀬 喜之(編集)、鶴見 裕之(編集)
数値よりも、人と人のつながりに着目した
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーの力を借りて、生活者同士の情報伝達を促します。「売れればそれでいい」という短絡的な計画をもとに投稿やイベントを行うのではなく、ブランドや会社とインフルエンサーの関係、インフルエンサーとフォロワーの関係など、人と人のコミュニケーションに重点を置いて施策を設計します。
また、フォロワー数だけを重視するのではなく、トライバルメディアハウス独自の考え方にもとづいて選定や効果測定を行い、成果の出るインフルエンサーマーケティングを提供します。
数値よりも人と人のつながりに着目し、本音のクチコミで生活者に応えます。
「こんなことできますか?」「ずっと同じ課題で悩んでいます」など、要件が固まっていない段階でのお問い合わせでも構いません。目的の整理から最適な手段の選択まで当社が並走いたしますので、お気軽にご相談ください。
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