Xを活用したマーケティング戦略の策定方法と考え方とは?
最終更新日:2025-07-17作成日:2021-09-29
多くの企業やブランドが活用するXアカウント。
どのアカウントも、運用で解決する課題や目的を明確にし、その目的を達成するためのプロセスを設計する必要があります。
本記事では、Xを活用したマーケティング戦略の大切な考え方や必ず知っておきたいポイントをご紹介します。アカウントの立ち上げを考えている方だけでなく、今一度見直したいという方にもおすすめです。ぜひご覧ください。
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Xの利用状況
まずは、Xのユーザー層についてご紹介します。
総務省が2021年8月に発表した調査結果(※1)によると、Xは全年代の38.7%が使用するプラットフォームです。中でも10・20代の利用率は約70%と高く、30代以上の利用者も年々増加していることが分かります。

Xを利用する目的については、マイボイスコム株式会社の調査(※2)を見てみましょう。Xは友人や知人とのコミュニケーションよりも、主に「最新情報」「話題の出来事」「興味のあるモノやコト」に関する情報収集を目的に利用されているプラットフォームです。

また、同調査ではXに1日に1回以上アクセスする人が64%以上いることが分かり、その値は年々増加しています。また、1日10回以上アクセスしている人が約11%と、Xは利用頻度の高いプラットフォームだと言えます。

以上のことをまとめると、Xユーザーは
・10~20代などの若年層が中心
・最新や話題の情報、興味のあるモノやコトに関する情報を集めている
・高頻度でアクセスしている
方が多い傾向にあります。
Xの特徴
次に、より具体的なユーザーの行動とプラットフォームの特性についてご説明します。Xアカウントの戦略をつくる上で必ず知っておきたいポイントです。
情報が多く、流れが早い
Xはリツイート(RT)やトレンド機能によって情報の拡散性が高く、新しい話題が生まれて消費されるスピードが早いことが特徴です。
Xユーザーは、タイムラインを高速でスクロールしながら情報を消費します。その指を止めてもらうには、ユーザーが興味・関心を持つ情報をツイートすることはもちろんのこと、モーメント(いま世の中やX内で盛り上がっているトレンド)に関する内容を継続的にツイートすることが重要です。
双方向でコミュニケーションしやすい
Xは、テキストや画像を気軽にツイートできるため、他のソーシャルメディアと比べてユーザー同士でコミュニケーション(双方向)しやすいプラットフォームです。
企業やブランドのアカウントはフォロワーと直接交流するだけでなく、フォロワー同士の会話のきっかけとなる話題を提供してコミュニケーションを促すこともできます。
一体感やムーブメントが生まれる
Xは、時にマスメディアで盛り上がっている出来事の受け皿になることもあり、その感想や意見などが数多くツイートされます。
例えば、スタジオジブリ「天空の城ラピュタ」放送中に「バルス!」と一斉にツイートしたり、人気のTVドラマが放映されているときにドラマの感想をツイートして盛り上がったり。
また、Xで発生したオリジナルのハッシュタグがトレンドになって、一斉にそのハッシュタグがツイートされたり(「#大人になってわかったこと選手権」など)、バズったフレーズや画像を模した内容がツイートされたり(「我が名はアシタカ!」 など)と、いわゆる「ノリ」や「ツッコミュニケーション(ツッコミ×コミュニケーション)」のようなユーザー同士の掛け合いが起こりやすい傾向にあります。
戦略の立て方①KGI・KPIの設定
ここからはXマーケティングの戦略の立て方・考え方についてご紹介します。まずは、Xのアカウント戦略において重要な「目的」と「目標」について解説します。
KGI設定の考え方
前提として、マーケティング活動の最終目標となる「顧客獲得・売上拡大」には多くの要因が絡みます。それらを念頭に置き、X戦略の目的を定めることがポイントです。また、Xを含むSNSマーケティングでは中長期的にフォロワーや生活者とコミュニケーションをとり関係を構築することが重要です。逆にいえば、数日、数ヶ月で売上を向上させたり、顧客を獲得することは極めて難しいです。
そのため、目的を指す「KGI(Key Goal Indicator)」には、「好意度の向上」や「購入意向の向上」、「想起率の向上」など、消費者の意識や態度変容にどれだけ影響を与えたかを設定することが推奨されます。
ブランドや商品によって変わることもありますが、これらの目的を達成するためには以下2つのKPIを目指していくことをおすすめします。
推奨KPI① フォロワー数およびエンゲージメント
トライバルが支援した企業やブランドのアンケート調査(※3)によると、エンゲージメント(ツイートのRTやリプライ、いいねなど)が多いファン・フォロワーは、エンゲージメントが少ないファン・フォロワーに比べて好意度と購入・利用意向が高いことが分かっています。

目的を達成するには、まずフォロワー数およびエンゲージメント向上をKPIとして設定し、アカウント運用を行いましょう。
推奨KPI② UGCの増減
2つ目のKPIにはUGCの増減を設定することを推奨します。
ソーシャルメディアにおけるUGC(※4)が増えることと商品やサービスの売上増加には因果関係があるといわれていることから、UGCが増えると商品やサービスの購入意向が高まり、実際に販売数などを増やすことが期待できます。
Xの公式ブログ記事「The impact of conversation」では、25のブランドを対象に調査した結果、ブランドの会話量(≒UGC)が10%増加することで、売上が3%増える可能性があると言及されています。
また、書籍「消費者行動の実証研究(※5)」の第8章「SNSが販売実績に及ぼす効果の測定とソーシャル・リスニングの意義」では、ソーシャルメディアにおけるクチコミ(UGC)が商品の販売実績に影響を及ぼしているという調査結果が記されています。
※4 User Generated Contentの略で、ユーザーが生成したコンテンツのこと。ソーシャルメディアやクチコミサイトへの投稿などが含まれる
※5 守口 剛(編集)、上田 雅夫(編集)、奥瀬 喜之(編集)、鶴見 裕之(編集)/消費者行動の実証研究/中央経済社出版/2018年12月27日
※UGCについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
UGC(User Generated Content)は、消費者の信頼を得ながらブランド認知や購買促進につなげる強力なマーケティング手法です。本記事では、UGCの意味やマーケティングにおける重要性、活用のメリットなどを解説します。マーケティング担当者は必見です。
KGI・KPIを達成できたのかを調べるには、フォロワー(やフォロワー以外)にアンケート調査を行うことを推奨しています。実際に売上が増えているのかどうかは、POSデータなどを活用しながら相関を調べましょう。

戦略の立て方②自社・競合アカウントの分析
現状の自社アカウントの分析や競合となるベンチマークアカウントがどのような運用を行なっているかを把握することで、KGI・KPI達成のためのプロセスがより明確になります。
1.自社アカウントや市場の分析
Xの高度な検索やソーシャルリスニングツールを利用して、自社のブランド商品、サービスが普段どのようにポストされているのかを調べましょう。
ほとんどポストされていない内容で日々のポストやキャンペーンを企画してしまうと、エンゲージメントされないという結果に陥る場合があります。これまでポストされていないということは、ユーザーが関心を持っていない(持ちづらい)可能性が高いからです。
調べた結果をもとに、どのような内容を発信するか、生活者とどのようなコミュニケーションをとるか検討しましょう。
2.競合アカウントの選定・分析
競合となるXアカウント(=ベンチマークアカウント)を選定し、どのようなツイートをして、フォロワーとどんなコミュニケーションをしているのかを分析しましょう。ベンチマークアカウントを見つけることは、自社アカウントにとってのベスト・プラクティスを見つけることにつながります。ベンチマークアカウントの良いところを上手にマネる・取り入れることがアカウント運用のポイントです。
他社アカウントを選定・分析する上で、確認したい項目(一部)は以下です。
・どんなアカウントか(「中の人」や特定のキャラクター設定があるか)
・ツイートの曜日や時間帯、頻度(週に◯回、1日に◯回など)
・フォロワーはどのようなユーザーか(性別や年代、ツイートの内容など)
・フォロワーとどのようなコミュニケーションをしているか
・ツイートのトーン&マナー
・ツイートはどのようなカテゴリー(種類)で構成されているか(挨拶や商品情報、トレンド活用など)
・そのアカウントに関するUGCはあるか
※いずれも目視で、分かる範囲で調べましょう
ベンチマークアカウントの具体的な選び方については以下の記事を参考にしてみてください。
SNS運用の成果を高めるには、競合となるベンチマークアカウントの選定が鍵です。この記事ではベンチマークアカウント選定時におさえるべきポイントや基準について、実際の運用コンサルタントからの回答をもとにご紹介します。
戦略の立て方③ターゲット層の決定
続いて、ターゲット層を決定します。冒頭でご紹介したとおり、Xは「最新や話題の情報、興味のあるモノやコトに関する情報を集めている人が多い」プラットフォームです。
性別・年代といったデモグラフィックだけでなく、どういった興味・関心がある人たちに向けてツイートするのか、という視点で整理することをおすすめします。
共通の興味・関心やライフスタイルを持った集団を「トライブ」と呼び、トライバルではこのトライブをターゲット像にすることが多いです。
さらに、ターゲットの代表的な人物像をペルソナとして設定し、より具体的なコンテンツ戦略を立案することも重要です。
※トライブの詳しい説明は「トライブとは? マーケティング効果を上げるターゲットの考え方」をご覧ください
https://www.tribalmedia.co.jp/note/brand-marketing-201119/
戦略の立て方④コンテンツ戦略の策定
ターゲットが決まれば、どんなメッセージや情報を届けるかといったコンテンツ戦略を考えます。
Xユーザーはアカウントをフォローするときに「◯◯な情報を得られそうなアカウントだ」と認識し、期待することが多いです。企業やブランドとして「どんなメッセージを届けたいか」だけでなく、「どんな情報を届けているアカウントだと認識してもらいたいか」についても決めましょう。
また、メッセージや情報を発信した結果、どのようにエンゲージメントしてもらうのかについても考えます。以下のコンテンツ例を参考に、どのような気持ちでリアクションしてもらうのが良さそうかをイメージしましょう。
このイメージが、この後に決めていくツイートのカテゴリーやトーン&マナー、ポスト内容の軸になります。

さらに、どのようなクチコミ(UGC)をしてもらうかも考えます。
ユーザーは商品を使ってみたりサービスを体験したりして「嬉しかった」「嫌だった」などをツイートすることもあれば、興味のあるキャンペーンに参加してツイートしたり……企業やブランドについてツイートするときは、何かきっかけがあるはずです。
どのようなクチコミ(UGC)してもらうのか、そのためにどんな仕掛けを用意するのかを考えましょう。
その他、以下についても考えてみましょう。
・アカウントの設定やプロフィール内容(中の人・キャラクター設定など)
・コミュニケーションの方針
・ツイートのカテゴリー
・ツイートのトーン&マナー
・ツイート頻度やスケジュール
戦略の立て方⑤運用体制・オペレーションの決定
最後に、アカウントを運用し続けるための体制やオペレーションを決めます。
複数人やチームで運営する企業と、ほぼ1人で運用する企業、どちらもあると思いますが、いずれも誤ってツイートすることなどのリスクを回避したり、属人化を防いだり、引き継ぎの際に役立つので、ガイドラインやマニュアルを用意すること。また、ツイートを制作する体制やフローを整えておくことが大切です。

※詳しい運用体制・オペレーションの考え方は「【保存版】SNS運用の教科書丨大事なポイントをまとめて解説」をご覧ください
https://www.tribalmedia.co.jp/note/socialmedia-marketing-210408/
上記のオペレーションのとおり事前に編集会議を行い、カレンダーどおりにツイートすることも多いのですが、Xならではの文化やモーメントに沿って、即座に発信するための体制をつくることもおすすめです。
たとえば、ケロッグは2019年のM-1グランプリで優勝したミルクボーイのコーンフレークネタに関するツイートをして、大きな反響を得ました。
トレンドを活用したツイートはインプレッション(ツイートの表示)やエンゲージメントを獲得しやすい傾向にあるため、フォロワー以外にアカウントやツイートが表示され、フォロワーやエンゲージメント獲得にもつながります。
Xマーケティングの具体的施策
上でご紹介した2つのKPIを達成するには、具体的にどのようなアカウント運用やマーケティング施策を行えばいいのでしょうか?
ここでは「フォロワー数」「エンゲージメント率」「UGC」の3つに分解してご紹介します。
フォロワー数を増やすための施策
Xアカウントを開設して発信しても、ツイートを受け取るユーザー(フォロワー)がいないと暖簾に腕押し状態になります。
日々の話題やモーメントに関する情報を発信したり、他社とコラボレーションしたりするとフォロワーは(少しずつ)増えていきますが、広告を出稿しない限り、月次で増えるフォロワー数は(その時点のフォロワー数の)1~3%程度だと言われています。フォロワー数が1万のアカウントであれば、日々の発信で増えるフォロワー数が月に100~300人程度という計算です。
つまり、普段のツイートで増えるフォロワー数は非常に少なく、フォロワーを増やすなら広告(フォロワー獲得目的)が効率的です。
エンゲージメント率を向上させるための施策
フォロワーの意識変容を目的にする場合は、日々のツイートにエンゲージメントしてもらい、愛着を感じてくれる(ツイートを見たいと思ってくれる)フォロワーを増やすことが重要です。また、エンゲージメントを獲得しつづけると、フォロワーのタイムラインにトップツイートとして表示されやすくなります。
エンゲージメント率を向上させるには、フォロワーが主体的に参加できたり、RTやリポスト、いいねをしてくれるようなツイートおよびハッシュタグキャンペーンなどを企画し、フォロワーとコミュニケーション(問いかけたり、RTやリプライを促したり)するのが基本です。
※日々のXアカウント運用については「売上につなげるX運用に必要な『4つのアクティブコミュニケーション』とは」をご覧ください
UGCを増やすための施策
フォロワーからエンゲージメントを獲得できるようになったら、フォロワーやフォロワー外によるUGCを増やすように意識しましょう。
フォロワーに「◯◯を教えてください(ツイートしてください)」と呼びかけるのも効果的ですが、エンゲージメント率向上のための施策同様、ユーザーがUGCをツイートしたくなる(クチコミしたくなる)ハッシュタグキャンペーンなどを実施したり、イベントの開催やコミュニティを作ることもおすすめです。
※Xキャンペーンの詳細は「【事例あり】X(旧Twitter)キャンペーンを成功に導く3つの考え方とは?」をご覧ください
プレッション(ツイートの表示)やエンゲージメントを獲得しやすい傾向にあるため、フォロワー以外にアカウントやツイートが表示され、フォロワーやエンゲージメント獲得にもつながります。
まとめ
本記事では、Xの特徴やXマーケティングにおける戦略策定の方法と考え方、さらに具体的施策まで幅広くご紹介しました。現代においてXを含むSNSマーケティングは、ブランド認知向上やエンゲージメント強化といった重要な役割を担います。中長期的な視点でユーザーやフォロワーとコミュニケーションをはかり、ブランドの好感度と想起率を高めましょう。
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