X(旧Twitter)アカウント戦略の考え方がまとめて分かる記事【保存版】

作成日:2021年9月29日
多くの企業やブランドが活用するXアカウント。
どのアカウントも、運用で解決する課題や目的を明確にし、その目的を達成するためのプロセスを設計する必要があります。
本記事では、Xアカウント戦略の大切な考え方や必ず知っておきたいポイントをご紹介します。アカウントの立ち上げを考えている方だけでなく、今一度見直したいという方にもおすすめです。ぜひご覧ください。
トライバルメディアハウスは「Twitterアカウントをどのように運用したらいいか分からない」「アカウントの役割や効果測定に悩んでいる」企業をご支援しています。Twitter運用にお困りの方はお気軽にご連絡ください。
Xアカウント、どんな人がどんな目的で使っている?
まずは、Xのユーザー層についてご紹介します。
総務省が2021年8月に発表した調査結果(※1)によると、Xは全年代の38.7%が使用するプラットフォームです。中でも10・20代の利用率は約70%と高く、30代以上の利用者も年々増加していることが分かります。

Xを利用する目的については、マイボイスコム株式会社の調査(※2)を見てみましょう。Xは友人や知人とのコミュニケーションよりも、主に「最新情報」「話題の出来事」「興味のあるモノやコト」に関する情報収集を目的に利用されているプラットフォームです。

また、同調査ではXに1日に1回以上アクセスする人が64%以上いることが分かり、その値は年々増加しています。また、1日10回以上アクセスしている人が約11%と、Xは利用頻度の高いプラットフォームだと言えます。

以上のことをまとめると、Xユーザーは
・10~20代などの若年層が中心
・最新や話題の情報、興味のあるモノやコトに関する情報を集めている
・高頻度でアクセスしている
方が多い傾向にあります。
Xアカウント戦略を考える前に
次に、より具体的なユーザーの行動とプラットフォームの特性についてご説明します。Xアカウントの戦略をつくる上で必ず知っておきたいポイントです。
情報が多く、流れが早い
Xはリツイート(RT)やトレンド機能によって情報の拡散性が高く、新しい話題が生まれて消費されるスピードが早いことが特徴です。
Xユーザーは、タイムラインを高速でスクロールしながら情報を消費します。その指を止めてもらうには、ユーザーが興味・関心を持つ情報をツイートすることはもちろんのこと、モーメント(いま世の中やX内で盛り上がっているトレンド)に関する内容を継続的にツイートすることが重要です。
双方向でコミュニケーションしやすい
Xは、テキストや画像を気軽にツイートできるため、他のソーシャルメディアと比べてユーザー同士でコミュニケーション(双方向)しやすいプラットフォームです。
企業やブランドのアカウントはフォロワーと直接交流するだけでなく、フォロワー同士の会話のきっかけとなる話題を提供してコミュニケーションを促すこともできます。
一体感やムーブメントが生まれる
Xは、時にマスメディアで盛り上がっている出来事の受け皿になることもあり、その感想や意見などが数多くツイートされます。
例えば、スタジオジブリ「天空の城ラピュタ」放送中に「バルス!」と一斉にツイートしたり、人気のTVドラマが放映されているときにドラマの感想をツイートして盛り上がったり。
また、Xで発生したオリジナルのハッシュタグがトレンドになって、一斉にそのハッシュタグがツイートされたり(「#大人になってわかったこと選手権」など)、バズったフレーズや画像を模した内容がツイートされたり(「我が名はアシタカ!」 など)と、いわゆる「ノリ」や「ツッコミュニケーション(ツッコミ×コミュニケーション)」のようなユーザー同士の掛け合いが起こりやすい傾向にあります。
Xアカウント戦略① 何を目指すべき?
ここからは「戦略の考え方」を3つに分けてご紹介します。まずは、Xのアカウント戦略において重要な「目的」について。
目的を指す「KGI(Key Goal Indicator)」には、「好意度の向上」や「購入意向の向上」、「想起率の向上」などを設定することが多く、どのような効果を得たいのかをあらかじめ明確にするのがポイントです。
ブランドや商品によって変わることもありますが、これらを達成するためには以下2つを目指していくことをおすすめします。
1)フォロワーを増やし、フォロワーのエンゲージメントを獲得する
トライバルが支援した企業やブランドのアンケート調査(※3)によると、エンゲージメント(ツイートのRTやリプライ、いいねなど)が多いファン・フォロワーは、エンゲージメントが少ないファン・フォロワーに比べて好意度と購入・利用意向が高いことが分かっています。

目的を達成するには、まずフォロワーを増やしてエンゲージメントを獲得できるようなアカウントを目指しましょう。
2)UGCを増やす
ソーシャルメディアにおけるUGC(※4)が増えることと商品やサービスの売上増加には因果関係があると言われていることから、UGCが増えると商品やサービスの購入意向が高まり、実際に販売数などを増やすことができます。
Xの公式ブログ記事「The impact of conversation」では、25のブランドを対象に調査した結果、ブランドの会話量(≒UGC)が10%増加することで、売上が3%増える可能性があると言及されています。
また、書籍「消費者行動の実証研究(※5)」の第8章「SNSが販売実績に及ぼす効果の測定とソーシャル・リスニングの意義」では、ソーシャルメディアにおけるクチコミ(UGC)が商品の販売実績に影響を及ぼしているという調査結果が記されています。
※4 User Generated Contentの略で、ユーザーが生成したコンテンツのこと。ソーシャルメディアやクチコミサイトへの投稿などが含まれる
※5 守口 剛(編集)、上田 雅夫(編集)、奥瀬 喜之(編集)、鶴見 裕之(編集)/消費者行動の実証研究/中央経済社出版/2018年12月27日
1と2を目指してXアカウントを活用した結果、実際にKGIを達成できたのかを調べるには、フォロワー(やフォロワー以外)にアンケート調査を行うことを推奨しています。実際に売上が増えているのかどうかは、POSデータなどを活用しながら相関を調べましょう。

Xアカウント戦略② どのように目的を達成するべき?
戦略の考え方①でご紹介した「1)フォロワーを増やし、フォロワーのエンゲージメントを獲得する」と「2)UGCを増やす」を進めるには、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
戦略の考え方②では、「フォロワー」「エンゲージメント」「UGC」の3つに分解してご紹介します。
フォロワーを増やすなら
Xアカウントを開設して発信しても、ツイートを受け取るユーザー(フォロワー)がいないと暖簾に腕押し状態に……。
日々の話題やモーメントに関する情報を発信したり、他社とコラボレーションしたりするとフォロワーは(少しずつ)増えていきますが、広告を出稿しない限り、月次で増えるフォロワー数は(その時点のフォロワー数の)1~3%程度だと言われています。フォロワー数が1万のアカウントであれば、日々の発信で増えるフォロワー数が月に100~300人程度という計算です。
つまり、普段のツイートで増えるフォロワー数は非常に少なく、フォロワーを増やすなら広告(フォロワー獲得目的)が効率的なのです。
フォロワーのエンゲージメントを増やすなら
フォロワーの意識変容を目的にする場合は、日々のツイートにエンゲージメントしてもらい、愛着を感じてくれる(ツイートを見たいと思ってくれる)フォロワーを増やすことが重要です。また、エンゲージメントを獲得しつづけると、フォロワーのタイムラインにトップツイートとして表示されやすくなります。
エンゲージメントを増やすには、フォロワーがRTやリプライ、いいねをしてくれるようなツイートを企画し、フォロワーとコミュニケーション(問いかけたり、RTやリプライを促したり)するのが基本です。
※日々のXアカウント運用については「売上につなげるX運用に必要な『4つのアクティブコミュニケーション』とは」をご覧ください
フォロワーやユーザーからのUGCを増やすなら
フォロワーからエンゲージメントを獲得できるようになったら、フォロワーやフォロワー外によるUGCを増やすように意識しましょう。
フォロワーに「◯◯を教えてください(ツイートしてください)」と呼びかけるのも効果的ですが、ユーザーがUGCをツイートしたくなる(クチコミしたくなる)プロモーションなどを実施するのがおすすめです。
※Xキャンペーンの詳細は「【事例あり】X(旧Twitter)キャンペーンを成功に導く3つの考え方とは?」をご覧ください
「フォロワー」「エンゲージメント」「UGC」など、中間指標「KPI(Key Performance Indicator)」を定期的に測定するようにしましょう。X画面のアナリティクスなどで確認できる「フォロワー数」や「インプレッション数」、「各エンゲージメント数」などを設定することが多いのですが、KPIだけを日々追っているとアカウントの目的を見失うことがあります(何のために運営していたんだっけ? など)。
週次や月次でKPIの達成を確認するだけでなく、戦略の考え方①でご紹介した(アカウントの目的達成を計測する)アンケート調査を年に1~2回行い、その結果でKPIの項目や数値を見直すことをおすすめします。
Xアカウント戦略③ どのようなアカウントにするべき?
戦略の考え方③では、どのようなアカウントにするのかを考える手順と方法をご説明します。

1. 現状を把握する(診断する)
まずは自社の置かれた状況を分析(診断)します。
自社や他社のブランドや商品、サービスがどんな内容で、どのようにツイートされているのかを知ることで、後に考えるアカウントの方向性が決まります。ぜひ以下の2つを試してみてください。
自社アカウントや市場の分析
Xの高度な検索やソーシャルリスニングツールを利用して、自社のブランド商品、サービスがどのようにツイートされているのかを調べます。どんなコミュニケーションをすると好意的に受け入れてもらえるのか、それを考えるための材料を見つけられることも……!
また、Xでほとんどツイートされていない内容で日々のツイートやキャンペーンを企画すると、エンゲージメントされないことが多いです。これまでツイートされていないということは、ユーザーが関心を持っていない(持ちづらい)可能性が高いということ。ソーシャルリスニングはアカウント戦略の重要なステップの1つです。
他社アカウントの分析
競合会社のXアカウントを調べることはもちろん、他業界のアカウントで似た目的で実施しているアカウントがどのようなツイートをして、フォロワーとどんなコミュニケーションをしているのかを調べます。
他社アカウントを分析する上で、確認したい項目(一部)はこちら。
・どんなアカウントか(「中の人」や特定のキャラクター設定があるか)
・ツイートの曜日や時間帯、頻度(週に◯回、1日に◯回など)
・フォロワーはどのようなユーザーか(性別や年代、ツイートの内容など)
・フォロワーとどのようなコミュニケーションをしているか
・ツイートのトーン&マナー
・ツイートはどのようなカテゴリー(種類)で構成されているか(挨拶や商品情報、トレンド活用など)
・そのアカウントに関するUGCはあるか
※いずれも目視で、分かる範囲で調べましょう
2. アカウントの方向性を決める
次に、アカウントの方向性について決めていきます。どのようなアカウントにするか? どのようにユーザーとコミュニケーションするか? などを決める大切なプロセスです。以下4つについて考えてみましょう。

ターゲットを決める
冒頭でご紹介したとおり、Xは「最新や話題の情報、興味のあるモノやコトに関する情報を集めている人が多い」プラットフォームです。
性別・年代といったデモグラフィックだけでなく、どういった興味・関心がある人たちに向けてツイートするのか、という視点で整理することをおすすめします。
共通の興味・関心やライフスタイルを持った集団を「トライブ」と呼び、トライバルではこのトライブをターゲット像にすることが多いです。
※トライブの詳しい説明は「トライブとは? マーケティング効果を上げるターゲットの考え方」をご覧ください
https://www.tribalmedia.co.jp/note/brand-marketing-201119/
ターゲットに伝えたいメッセージを決める
アカウントの目的を達成するには「フォロワーを増やし、フォロワーのエンゲージメントを獲得する」ことや「UGCを増やす」ことが必要だとお伝えしましたが、そのためにターゲットにどんなメッセージや情報を届けるかを考えます。
Xユーザーはアカウントをフォローするときに「◯◯な情報を得られそうなアカウントだ」と認識し、期待することが多いです。企業やブランドとして「どんなメッセージを届けたいか」だけでなく、「どんな情報を届けているアカウントだと認識してもらいたいか」についても決めましょう。
どのような気持ちでエンゲージメントしてもらうかを考える
メッセージや情報を発信した結果、どのようにエンゲージメントしてもらうのかについても考えます。以下のコンテンツ例を参考に、どのような気持ちでツイートにRTやリプライ、いいねしてもらうのが良さそうかをイメージしましょう。
このイメージが、この後に決めていくツイートのカテゴリーやトーン&マナー、ツイート内容の軸になります。

どのようなクチコミ(UGC)をしてもらうかを考える
ユーザーが商品やサービスについてツイートしたくなるのはどんなときでしょうか?
商品を使ってみたりサービスを体験したりして「嬉しかった」「嫌だった」などをツイートすることもあれば、興味のあるキャンペーンに参加してツイートしたり……企業やブランドについてツイートするときは、何かきっかけがあるはずです。
どのようなクチコミ(UGC)してもらうのか、そのためにどんな仕掛けを用意するのかを考えましょう。
編集注)低関与かつ日用品のブランドは(商品のスペックなどについて)クチコミされづらいケースが多いです。クチコミされやすい・されづらいというのは企業やブランドによることを念頭に、ぜひ一度フォロワーやユーザーからどのようなクチコミをしてもらうかについて考えてみてください。
ご紹介した4つの流れでアカウントの方向性が固まったら、それらを踏まえて以下についても考えてみましょう。
・アカウントの設定やプロフィール内容(中の人・キャラクター設定など)
・コミュニケーションの方針
・ツイートのカテゴリー
・ツイートのトーン&マナー
・ツイート頻度やスケジュール
3. 体制・オペレーションを決める
最後に、アカウントを運営し続けるための体制やオペレーションを決めます。
複数人やチームで運営する企業と、ほぼ1人で運用する企業、どちらもあると思いますが、いずれも誤ってツイートすることなどのリスクを回避したり、属人化を防いだり、引き継ぎの際に役立つので、ガイドラインやマニュアルを用意すること。また、ツイートを制作する体制やフローを整えておくことが大切です。

※詳しい運用体制・オペレーションの考え方は「【保存版】SNS運用の教科書丨大事なポイントをまとめて解説」をご覧ください
https://www.tribalmedia.co.jp/note/socialmedia-marketing-210408/
上記のオペレーションのとおり事前に編集会議を行い、カレンダーどおりにツイートすることも多いのですが、Xならではの文化やモーメントに沿って、即座に発信するための体制をつくることもおすすめです。
たとえば、ケロッグは2019年のM-1グランプリで優勝したミルクボーイのコーンフレークネタに関するツイートをして、大きな反響を得ました。
トレンドを活用したツイートはインプレッション(ツイートの表示)やエンゲージメントを獲得しやすい傾向にあるため、フォロワー以外にアカウントやツイートが表示され、フォロワーやエンゲージメント獲得にもつながります。
Xアカウント戦略まとめ
ご紹介した内容をピックアップしてまとめると……
▼Xユーザーの特徴
・10~20代などの若年層が中心
・最新や話題の情報、興味のあるモノやコトに関する情報を集めている
・高頻度でアクセスしている
▼プラットフォーム特性とユーザー行動
・情報が多く、流れが早い
・双方向でコミュニケーションしやすい
・一体感やムーブメントが生まれる
▼Xアカウントの目的を達成するためには
1)フォロワーを増やし、フォロワーのエンゲージメントを獲得する
2)UGCを増やす
▼Xアカウント戦略は以下の流れで考える
1. 市場や自社、他社アカウントについて分析し、現状を把握する(診断する)
2. ターゲットや伝えたいメッセージなど、アカウントの方向性を決める
3. 体制・オペレーションを決める
ご紹介したアカウント戦略について一つひとつ考えていくと、やり方に迷ったり行き詰まったりすることもあると思います。もし具体的な戦略づくりに悩んだら、ぜひトライバルにご相談ください。
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