X(旧Twitter)スペースとは? 機能や使い方、活用メリット、企業事例を解説

作成日:2022年4月26日

本記事では、まずX(旧Twitter)スペースの概要、スペースならではの特徴、そして企業が活用するメリットなどをご紹介します。

後半では、スペースのメリットを上手く活用し成果を出した、味の素冷凍食品株式会社のプロモーション事例を詳しくご紹介します。スペースについて知りたい方、今後活用してみたいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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X(旧Twitter)スペースとは

スペースは、2021年5月にリリースされた機能で、ユーザー同士が音声によってリアルタイムに会話でき、また、誰でもその会話を聞くことができます。

会話をするユーザーは、スペースを作成する「ホスト」、ホストに招待されホストとほぼ同じ権限を持つ「共同ホスト」、スペース上で会話する「スピーカー」、そして会話を聞く「リスナー」の4者で成り立ちます。

X for iOSまたはX for Androidを利用しているユーザーは、以下の場合を除いて誰でもホストになることができます。

  • 非公開アカウント(スピーカーやリスナーとしての参加は可能ですが、ホストになることはできません)
  • PCやスマホのブラウザ、iPadを利用している場合(スピーカーやリスナーとしての参加は可能です)

X(旧Twitter)スペースの使い方

スペースを作成する

ホームタイムラインのツイート作成ボタンを長押しし、紫色のスペースアイコンをタップするか、ツイート作成画面で左下の紫色のスペースアイコンをタップし、スペースを作成します。

作成画面では、スペースの名前(テーマ)や会話のトピック、録音の可否などを選択でき、「今すぐ始める」をタップするとすぐに開始することができます。また、その場で開始せずとも、あらかじめスペースを配信する日時を決めておくスケジュール機能を利用することもできます。

Twitterスペースの作成

スペース作成者であるホストは「共同ホスト(※1)」として2人まで選出することができ、スペース内ではホストと共同ホストを含む最大13人が同時に会話をすることができます。開始時に会話する人を選ぶこともできますし、開始後に会話する人を追加することも可能です。

※1 共同ホストは発言できるアカウントを管理できる(スペース内のアカウントを削除、報告、ブロックなど)。また、ホストは共同ホストに管理権限を引き継ぐことができます。

スペースを配信するアカウントのフォロワーには、タイムラインの最上部に配信中であるアイコンが紫色の枠で表示されます。

他にも、スペースを開始するにあたり、キャプション(字幕)の表示、非表示の切り替えやスペースのリンクを共有することもできます。各項目については、以下の詳細をご覧ください。

スペースを開始する方法

ステップ 1
スペースの作成者はホストと呼ばれます。X for iOSの場合、ホストはホームタイムラインのツイート作成画面  を長押ししてから、 [スペース]  アイコンを選択します。

タイムライン下部の [スペース] タブを選択してスペースを開始することもできます。

ステップ 2
スペースは一般公開されているため、作成者をフォローしていないユーザーも含めてすべてのユーザーがリスナーとして参加できます。スペースへのリンクをダイレクトメッセージで送ったり、ツイートしたり、他の場所で共有したりすることにより、リスナーをスペースに直接招待できます。

ステップ 3
ホスト1人と共同ホスト2人を含む、最大13人がスペース内で同時に話すことができます。新しいスペースを作成すると、[スペースに名前を付ける] と [スペースを開始] のオプションが表示されます。

ステップ 4
スペースをスケジュールするには、[スケジュールする] を選択します。スペースを配信する日付と時間を選択します。

ステップ 5
スペースの開始後に、特定のリスナーを共同ホストまたはスピーカーとして追加するには、ホストが人型アイコン  を選択するか、スペースでそのリスナーのプロフィール画像を選択して、そのリスナーに共同ホストまたはスピーカーになるようリクエストを送信します。リスナーは、マイクの下にあるリクエストアイコンを選択することで、ホストに発言許可をリクエストできます。

ステップ 6
スペース作成時には、ホストは唯一のスピーカーとして、マイクがオフの状態でスペースに参加します。準備ができたら、[スペースを開始] を選択します。

ステップ 7
[マイクへのアクセスを許可] をオンにし、スピーカーのマイクへのアクセス(発言権)を許可します。

ステップ 8
ホストには、スペースに自動的にライブキャプションが表示されます。

ステップ 9
リスナーは、スペースの設定の [キャプションを表示] ボタンを選択して、キャプションの表示/非表示を切り替えます。

ステップ 10
スペースで会話を始めましょう。

ステップ 11
ホストは他のユーザーが参加できるように、スペースへのリンクをツイートするようにします。ツイートで共有するにはアイコン  を選択します。

引用元:スペースについて|Xヘルプセンタ―

リスナーとして参加する

タイムラインの最上部に表示される紫色のアイコンか、スペースについて書かれたツイートやダイレクトメッセージなどのリンクをタップすることでスペースに参加し、リスナーになることができます。

ユーザーは、ホストにブロックされている場合を除き、どのスペースにも参加することができます。また、スペースの作成は公開アカウントに限られますが、参加は非公開アカウントでも可能です。

リスナーになると、絵文字で反応したり、ピン留めされたツイートをチェックしたり、キャプション(字幕)を見て会話の内容を確認したり、そのスペースをツイートやDMで誰かに知らせたり、発言をリクエストしたりすることができます。

スペースの主な機能

上記でご紹介した機能も含まれますが、主な機能として下記の4点が挙げられます。

  • アーカイブ機能
  • スケジュール&通知機能
  • ミュート・削除・報告・ブロック機能
  • リアクション機能

アーカイブ機能

ホストが作成したスペースを録音し、リスナーがそれを再生できる機能です。ホストはスペース作成時に「スペースを録音する」スライドボタンをONにするか、スケジュール済のスペースの編集画面で「スペースを録音する」スライドボタンをONにすることでそのスペースを録音するように設定することができます。

録音中は自分の画面とスピーカーの画面に録音表示が出る仕様になっています。録音したスペースが終了すると編集画面が表示され、録音の開始時間やスペース名を編集できるほか、共有リンクの取得なども可能です。編集画面を終了すると、録音再生リンクがホストのツイートとして自動表示されます。また、録音したスペースをデータとしてダウンロードすることもできます。

2023年1月25日時点では、録音した音声からクリップを作成する機能もテストしており、今後実装される可能性もあります(※2)。

※2 参照:スペースを録音、編集、共有しましょう|X Create丨https://create.twitter.com/ja/products/twitter-spaces/recorded-spaces

スケジュール&通知機能

スペース作成画面にてカレンダーマークのボタンを押すと、スペースを開始する日時を設定することができます。DMでスペースに招待したり、ツイートで開催をお知らせしたりすることも可能です。DMで招待したゲストには通知も届きます。

ミュート・削除・報告・ブロック機能

ホストは、スペース参加者をミュートしたり削除したり、報告、ブロックし、スペース内の安全性をコントロールすることができます。

リアクション機能

リスナーは発言することができませんが、スピーカーの発言へのリアクションとして絵文字を選択し、送信することができます。送信した絵文字はスペース参加者一覧の画面で、アイコンの右上に表示されます。

Twitterスペースのリアクション機能

X(旧Twitter)スペースの活用メリット

スペースは、その機能や性質からInstagramやYouTubeのライブ配信と比較されることもありますが、他のプラットフォームにはない3つの強みがあります。

Twitterスペースの強み

①スペースに関するクチコミが拡散しやすい

スペースは、InstagramやYouTubeのライブ配信とは異なりコメント欄がありません。リスナーが配信に関してコメントを送りたい場合は右下のプラスボタンからツイートをすることになるので、タイムラインにはユーザーによるポストとして発信され、リスナーのフォロワーにも拡散されます。

Twitterスペースのツイート方法

InstagramやYouTubeのライブ配信のコメント欄に寄せられた意見や感想は、視聴者以外には表示されないため、スペースに比べてクローズドな場だと言えるでしょう。一方、スペースはリスナー以外にもスペースの話題や感想が拡散しやすく、ハッシュタグの活用を促すのも効果的です。

②実施していることが伝わりやすく、参加を促しやすい

スペースを配信するアカウントのフォロワーには、タイムラインの最上部に配信中であるアイコンが表示されます。X(旧Twitter)のアプリを開いたときのファーストビューに表示されるため目に留まりやすく、日頃からコミュニケーションをとっているフォロワーに参加する機会を提供できます。

また、ホストとなるX(旧Twitter)アカウントのフォロワー以外(非フォロワー)にも、リスナーによるポストが増えることで、配信中であることが伝わります。フォロワーにも非フォロワーにも実施していることが伝わりやすいというのが、スペースの特徴の1つです。

また、映像ではなく音声のリアルタイム配信なので、家事や子育てなどをしながら(ラジオ感覚で)聴くことができるため、参加するハードルが下がるというメリットも挙げられます。

③必要最小限の配信設備で実施できる

InstagramやYouTubeのライブ配信は動画で行なうことがほとんどなので、スタジオや配信機材、出演者の衣装、メイクなど、実施前にかなりの準備が必要です。

一方でスペースは音声のみで配信するため、動画配信のための衣装やメイクなどは不要であり、ホストやスピーカーのスマホで対応ができるため、必要最小限の配信設備で実施できるという利点があります。以降でご紹介する事例でも参加者自身のスマホを使ったため、大掛かりな配信設備などは用意していません。

スペースは著名人やインフルエンサー、メディアによる活用が増え、多くのリスナーや反応を集めていますが、企業アカウントがスペースを活用した事例はまだ多くありません。

その数少ない事例として、味の素冷凍食品株式会社が2022年2月26日(土)の「シュウマイの日」に向けて実施したプロモーション「#シュウマイペアリング総選挙」の内容をご紹介します。なお、本プロモーションは企画から実施、効果測定までトライバルが支援しました。

シュウマイペアリング総選挙とは

「#シュウマイペアリング総選挙」は、“ビールを超えるシュウマイに合うお酒はどれ?” をテーマに実施されたプロモーション施策。シュウマイに対する好意的なパーセプションを中長期的に獲得し、シュウマイの需要を拡大していくための足がかりとして行いました。プロモーションの主な狙いは「シュウマイの日(※4)」である2月26日に向けて、シュウマイに関するクチコミを増やすことです。

※4 「つつむ(226)」の語呂合わせから、日本シュウマイ協会が毎年2月26日を「シュウマイの日」と制定しました。

本施策は2022年2月24日(木)~26日(土)に行なわれ、同期間内にまずはプレゼントキャンペーンが実施されました。キャンペーンでは、ビールの他にシュウマイに合うお酒としてハイボール・レモンサワー・赤ワイン・白ワインの4つを提示し、シュウマイに合うと思うお酒をツイートしてもらうこと、そしてアカウントをフォローしてもらうことを参加条件にしました。

そして、プロモーションの最終日となる2月26日には、総選挙の公式アンバサダーに就任した料理研究家のリュウジさん(@ore825)とメインMCの双松桃子さん(@momosan0627)、味の素冷凍食品のシュウマイ開発担当者が「開票式」と称してスペースを実施。開票式後には、そのままスペースで「打ち上げ」が行なわれ、複数のインフルエンサーがスピーカーとして参加しシュウマイについてアツく語りました。

プロモーション全体の流れは以下のとおりです。

Twitterスペースを使ったプロモーションの流れ

施策の結果、プロモーションの狙いとして掲げていたシュウマイに関するツイート数は昨年同日(2021年2月26日)の約2倍に増加スペースの再生回数は127,000回を記録し、大きな反響が得られました。

Twitterスペースを使ったプロモーションによるツイート数
シュウマイに関するツイートを集計/集計期間は2020年2月26日・2021年2月26日・2022年2月26日/ソーシャルリスニングツール「ブームリサーチ」を利用

「#シュウマイペアリング総選挙」はスペースの強みを活かし、拡散されることを狙いとしたハッシュタグでしたが、リスナーから拡散されたのは、スペースが配信されているという情報だけではなく、プロモーションに関する内容やシュウマイの食べ方、料理の仕方、スペースに登場するインフルエンサーに関する情報など、多岐にわたりました。

また、声優の木村良平さん(@Ryouhey_Drunk)が途中参加された際に「良平さん」がX(旧Twitter)トレンドにランクイン。木村良平さんのファンにも参加したいと思ってもらえたと予想できます。

このように拡散されたリスナーのポストをスピーカーが取り上げることで、盛り上がりや一体感をつくることができました。2月26日のツイート数推移を24時間で見てみても、昼と夜に2つの大きな山があり、夜の山はスペースによる影響と考えられます。

Twitterスペースを使ったプロモーションによる関連ツイート数
シュウマイに関するツイートを集計/集計期間は2022年2月26日/ソーシャルリスニングツール「ブームリサーチ」を利用

シュウマイに関するツイートには、シュウマイの食べ方に関するものや購入意向が高まっていると分かるもの、味の素冷凍食品のシュウマイについて書かれたものなどがありました。

インフルエンサー起用のスペースで得られた示唆

「#シュウマイペアリング総選挙」の特徴はスペースの活用だけではありません。

冒頭でもお伝えしたとおり複数のインフルエンサーを起用したのですが、起用したのはシュウマイから連想される料理研究家さんだけでなく、web漫画家、人気動画クリエイター、声優、DJなど、さまざまでした。どうしてでしょうか……?

それには2つの狙いがありました。

プロモーションのポイント

1つ目については、スペースはユーザーによるポストやクチコミが拡散しやすいことから、多種多様な業種のスピーカーに参加いただくことで、味の素冷凍食品のアカウントが日頃はリーチできない幅広いユーザーにブランドに関する情報を伝えることができます。

また、スペースは音声のリアルタイム配信であるため、リスナーを楽しませるための話術や工夫が求められます。さらに、ひとりではなく複数人で会話をしながら配信するため、登壇者同士が初対面だと会話に「固さ」が出てしまう場合があります。2つ目の狙いは、これらを解消するために意識したことです。

今回は、リュウジさんのご友人・お知り合いのインフルエンサーを起用し、友人同士の会話を盗み聞きしているようなエンターテインメント性のある企画にしました。

X(旧Twitter)でのインフルエンサー施策は文章や画像で投稿されることがほとんどですが、スペースによってインフルエンサーの声を聞けるというのは、フォロワーにとって新鮮で嬉しい体験になります。友人同士の会話を通じて、いつもと違う一面を見せることができ、リスナーから好印象でした。

また、インフルエンサーも知っている方と一緒に自然体で参加することができたからか、「楽しかった」「最高」などとツイートをしていただくことができました。

企業とインフルエンサー、そしてインフルエンサー同士のコミュニケーションをベースにスペースでどのような配信をするかを設計することで、インフルエンサーに自発的に発信してもらう(発信したくなる)状況をつくることができます。その結果、インフルエンサーのフォロワーに対して、質・量ともに優れた発信をすることも可能です。

最後に、スペースにインフルエンサーを起用したプロモーションによって得られた示唆をまとめます。

・スペースは、InstagramやYouTubeのライブ配信に比べてユーザーのポストやクチコミが拡散しやすい

・フォロワーに向けて、いつもとは違うコミュニケーションをとることができる

・スペースはリスナーの参加を促しやすく、配信者の負担が少ない

・幅広いインフルエンサーを起用することで、(フォロワー以外の)多くのユーザーにブランドに関する情報をリーチできる

・インフルエンサー同士のつながりを考慮して起用することで、自然体、かつ自発的に参加してもらう(発言してもらう・ツイートしてもらう)ことができる

施策はどうだった? 担当者に聞いてみた

「#シュウマイペアリング総選挙」を担当いただいた味の素冷凍食品の朴さまに、施策前後のスペースに対する印象をお伺いしました。

かねてより企業が開催しているスペースにリスナーとしてお邪魔していましたが、ホスト側は好きな時間・好きな場所で開催が、リスナー側は “ながら聴き” ができることから、かなり自由度が高いコミュニケーションツールであると感じていました。

今回、施策の中で、「#酒とシュウマイ」を付けてツイートいただきユーザーの本音を探ること、ユーザーのツイートをリアルタイムでキャッチアップしてスペースの中で取り上げることで、まるで目の前で会話をしているかのような、双方向のコミュニケーションが実現できたのではないかと思います。企業という壁を取り払い、生活者との絆を深めるのにとてもよいコミュニケーションツールだと改めて実感しました。
今後も企業コミュニケーションの1つとして、継続して実施を検討したいです。

味の素冷凍食品株式会社 マーケティング本部 国内統括事業部 製品戦略部 朴 泰洪さま

また、インフルエンサーのキャスティングと配信構成などを担当いただいたエイベックス・エンタテインメントの高木さまにも、本施策で意識したことをお伺いしました。

キャスティング・配信構成においては、インフルエンサーが自然体で施策に取り組めるような環境づくりを念頭に置きました。台本の構成を2時間26分の大枠で組んだ上で、決まった進行・構成ではなく配信者やユーザーの動向で変化させるようにオンタイムで進行しました。決まり切った答えではなく、余白を持った「生感」のある構成がインフルエンサー(クリエイター)をよりプライベートな空間に誘い、嘘のないコミュニケーションを演出できたと感じています。

エイベックス・エンタテインメント株式会社 アライアンス部プランニング・クリエイティブユニット マネージャー/事業統括本部シニア・プロデューサー 高木 智司さま

音声を活用したコミュニケーション手段

今回は、スペースの概要や特徴、活用したプロモーションによって得られた示唆を、事例とともにご紹介しました。中長期的なコミュニケーションのためにキャンペーンを実施する企業やブランドのアカウントは多く見られますが、スペースを積極的に活用しているアカウントはまだ多くありません。

音声によるコミュニケーションを可能にしたスペースを自社はどのように活用できるのか、プロモーションに活かせるのかについて興味のある方は、以下よりお問い合わせください。

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