SNS戦略の立て方を7ステップで解説!成功事例を踏まえた企業アカウント運用のコツ
最終更新日:2025-06-02作成日:2025-06-02
SNSはいまや、集客や企業・個人問わず商品・サービスのPRに欠かせないツールとなりました。ただし、ユーザーの興味を引くには、運用にコツがあることをご存じですか。
今回の記事では、SNSマーケティングの戦略の立て方と、成功事例から学ぶ売上アップにつながる運用方法について解説します。
SNS戦略立案のプロセス

まず、SNS戦略の基本的な立案方法を7つの手順に分けて解説します。
1.運用目的を明確にする
はじめに、何を目的としてSNSを運用するのかを明確化します。また、すでに運用を開始している場合は、現状分析を踏まえ、目標とのギャップを把握しなければなりません。
ただし、いいねやフォロワー、メンションの獲得といったユーザーのアクションの促進を目的とするのはNG。ユーザーアクションの促進は、あくまでも目的達成へ向けた手段なので、SNS運用を通して最終的に何を目指すのかを考えることが大切です。運用の目的がはっきりしていれば、それに沿ってSNS戦略を設計していけばよいため、方向性がブレにくくなるでしょう。
2.ターゲットを設定する
次に、SNS運用において、自社がどのような層をターゲットとするのかを決めます。
ポイントとなるのは、自社の商品・サービスに興味を持つと考えられる架空の顧客像「ペルソナ」です。ペルソナを詳細に設定しておくことで、ターゲット層のニーズが明らかになるほか、チーム編成に変化があっても戦略の方向性がブレにくくなります。社内や部門内などだけで議論するのではなく、既存顧客へのアンケートやヒアリングの結果を踏まえて検討してみてください。
3.運用するSNSを選定する
目的とターゲットが定まったら、自社がどのSNSを運用するのかを選びます。現在主流となっているSNSは以下のとおりです。
- X(旧Twitter)
- LINE
- TikTok
- YouTube
- note
SNSごとにメインのユーザー層や性質が異なるので、前のステップで決めた目的やターゲットを踏まえて選定しましょう。
本記事では、企業の担当者向けにSNS運用の基本からメリット、始め方を解説しています。各プラットフォームの特徴と企業が活用する際のポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
4.運用の目標を策定する
続いて、SNS運用における目標となる「KGI」と「KPI」を設定します。KGI(Key Goal Indicator)とは「重要目標達成指標」、つまり最終目標のことです。対してKPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」、簡単にいうと中間目標を指します。
なお目標は、リーチ数やフォロワー数、エンゲージメント数といった数値化できる定量指標を用いましょう。もし数値では図れない定性指標を目標とする場合、一連のサイクル達成後に顧客アンケートを実施するといった工程を要するため、作業工数が増えてしまいます。
5.運用体制を構築する
SNS運用の前提となる条件が整ったら、次のプロセスはチーム体制の構築です。単独での運用は負担が大きすぎるため、役割ごとに担当者を定めることが推奨されます。なおSNS運用では、次の4種類の担当業務に分けるのが一般的です。
SNS戦略における担当業務 | 主な役割 |
プロジェクト責任者 | プロジェクト全体の取りまとめ役としてSNS運用戦略・施策管理およびメンバーアサインなど多岐に渡る業務を担う |
アカウント運用担当者 | 投稿作成や動画・ライブ配信などアカウント運用の中心となる業務を担う |
口コミマーケティング担当者 | コメントやDMの対応・促進およびコミュニティ管理などを担う |
広告運用担当者 | SNS広告出稿・効果測定および広告キャンペーン設計、LPO(ランディングページ最適化)・EFO(エントリーフォーム最適化)を担う |
いずれも1人ないし2人程度の担当者を選任してチームが構築されますが、プロジェクトによっては複数の業務を兼任するケースもあるようです。業務の円滑な進行および属人化防止のため、それぞれガイドラインやマニュアルを作成してルールを明確化することをおすすめします。
SNS運用ガイドラインは、自社の実態に即した設計が必要です。ひな形をそのまま適用するのではなく、企業に適した運用ルールをマニュアル化しましょう。社内向けガイドラインの作成方法と、自社の体制にフィットさせるコツを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
6.投稿を作成する
戦略の概要と担当者が決まったら、実際にSNS運用を開始します。SNSのアカウントを開設し、アピールしたい内容やターゲットのニーズを反映した投稿を作成してきましょう。
投稿作成では、SNS運用の目的やKPIおよびKGI、ターゲティングを踏まえ、ユーザーの興味を引く内容を考えることが大切です。商品・サービスの宣伝だけではなく、活用のコツや制作に込められた想いなどの豆知識も発信することで、多くのユーザーの共感を集められます。
7.効果を分析して改善策を考える
定めた戦略に沿って各施策を実行した後は、一定期間ごとに効果やKPIの達成度を測定してください。測定結果を分析し、その内容を反映した改善策を考えます。実行・分析から改善までの一連の流れを業務サイクルとして構築することで、SNS戦略を最適化していきましょう。
戦略的なSNS運用によって生まれる3つのマーケティング効果

戦略的なSNS運用により、主に次の3つのマーケティング効果が得られます。
- 認知度向上
- 集客
- エンゲージメント強化
認知度向上
SNSは、企業・ブランドや商品・サービスなどの認知度向上にうってつけのツールです。情報の投稿のほか、気軽に投稿できるというSNSの性質を活かせば、幅広い層へ情報が自然に拡散されます。
SNS内での注目度が高まれば、プラットフォーム外でも企業名および自社商品・サービス名での指名検索が増加します。さらに口コミといったUGC生成の促進により、より大きな拡散効果が期待できるでしょう。
集客
世界中に多くのユーザーを抱えるSNSは、高い集客効果を誇ります。総務省の調べによると、世界でソーシャルメディアを利用する人の割合は2023年時点で49億人。国内だけでも1億580万人ものユーザーが存在し、今後ますます増加する見込みです(出典:令和6年版 情報通信白書|総務省)。
つまりSNSを運用すれば、それだけ多くのユーザーへアプローチできるということであり、企業・ブランドや商品・サービス、イベントなどの集客につながります。
エンゲージメント強化
SNSは双方向のコミュニケーションツールです。誰もが気軽に直接やり取りできるため、顧客および潜在顧客層となるユーザーとの親密度向上や信頼関係の構築、愛着心の醸成が狙えます。
また、SNS内および外部ツールの活用でユーザーの行動分析が可能であり、より顧客のニーズを反映した商品・サービス開発が可能です。企業や商品・サービスに関する問い合わせ窓口のような利用方法もあります。顧客やユーザーの疑問・質問へタイムリーに対応できるので、スピーディーなトラブル解決と印象アップにつながるはずです。
事例から学ぶSNSの成功戦略

ここでは、成功事例でよく実践されている4つのSNS戦略を紹介します。
クリエイティブ活用戦略
SNSの成功には、映像・動画や音声、グラフィックなどのクリエイティブを起点とする戦略設計が欠かせません。例えば、投稿やタイムラインなどへのショートムービーは、自社や商品・サービスのCMのように利用できます。また、SNSのUIや投稿に見立てた広告グラフィックを制作し、多くの消費者の感情を揺さぶることに成功している事例もあるようです。
アメリカの調査会社Forrester Research社のJames L. McQuivey博士によると、画像の情報伝達能力は文字の7倍、動画はなんと5,000倍もの情報量だといわれています。特に、InstagramやTikTok、YouTubeといった視覚効果の高いSNSにおいて、クリエイティブの良し悪しが運用の成否の分かれ道となるでしょう。
◾️事例紹介
SNS・キャンペーンの連動戦略
多くのフォロワーを獲得している企業アカウントでは、頻繁にキャンペーンが行われています。SNSでキャンペーンを実施すれば、進捗状況やユーザーの反応がリアルタイムで把握でき、商品・サービスの認知度向上や販売促進が図れるからです。なお、代表的なSNSキャンペーンとして、以下の例が挙げられます。
- フォロー&メンション促進
- 特定のキーワードのハッシュタグ付け
- 商品・サービスのプレゼント・抽選企画
- クイズ・アンケート実施
- 画像・動画コンテスト開催
SNSは効果の測定・分析がしやすく、キャンペーンの内容や対応を柔軟に調整できるため、戦略設計を最適化していけます。またSNSで実施したキャンペーンは、自社とユーザーが接点を持つきっかけになるだけではなく、参加中のやり取りを通して相互理解が深められるでしょう。
◾️事例紹介
インフルエンサーとのコラボ・タイアップ戦略
一般的に、立ち上げたばかりの公式アカウントには、投稿数やフォロワー数、認知度が足りません。そこで有効な手段となるのが「インフルエンサーマーケティング」です。SNSで多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーと次のような共同企画を実施することで、拡散効果が得られ、露出度が一気にアップするでしょう。
- イベント・キャンペーンの共同開催
- コラボ商品・サービスの開発
- コラボ投稿の相互シェア
- インフルエンサーによる商品・サービスPR
インフルエンサーはすでに自身のフォロワーの共感や信頼を得ているため、PRに説得力が生まれます。とはいえ、芸能人や有名人、著名人などすでに社会的認知度の高いユーザーとのコラボレーションにこだわる必要はありません。顧客と身近な販売員といった社員の個人アカウントを企業公認とすることで、インフルエンサーを自ら創り出している事例もあります。うまくいけば、短期間で多くのフォロワーやリーチの獲得が見込めます。
◾️事例紹介
ストーリーテリング戦略
「認知度は十分にあるのに売上につながらない」「競合との差別化を図りたい」といった課題解決の有効な手段となるのが「ストーリーテリング」です。ストーリーテリングとは、商品・サービスを生み出すに至った経緯や想いを発信し、共感を高める手法を指します。ブランディングの確立には、商品・サービスの宣伝・PRだけでは十分とはいえません。消費者は、商品・サービスの機能や見た目などの表面的なことだけではなく、それを生み出すに至ったストーリーも重視しているからです。ストーリーテリングを活用することで、熱狂的なファンやロイヤルユーザーが獲得でき、価格競争からの脱却が実現するかもしれません。
SNSは、ストーリーテリングの伝達手段として相性のよいツールです。パッケージや公式Webサイトには掲載できないような企業・ブランドのビジョンや商品・サービスの魅力、開発の裏話などをSNSを通じて発信すれば、共感や説得力の向上が促せます。
◾️事例紹介:
SNS運用戦略を立案する際のポイント

SNS運用戦略の立案時には、次の6つのポイントを押さえましょう。
- 継続できる戦略を立てる
- 競合をリサーチする
- 適切な投稿頻度になるよう設計する
- ユーザーファーストを徹底する
- リンク設置の乱用は避ける
- SNSと消費者の購買行動との関連性を正しく理解する
継続できる戦略を立てる
SNS運用戦略は、それを継続的に展開し、改善して最適化するというサイクルを回すことが大切です。一般的に、SNSを利用して目指す目的を達成するには数カ月〜年単位の時間を要するため、長期に渡る運用の継続が求められます。一時的な成果や話題性を求める戦略だと、成果が一過性のものになってしまいかねません。
したがってSNS運用戦略を立てるときは、長いスパンでの運用を前提に段階ごとに適切な戦略を立案し、それを施策に落とし込むのがコツです。予算や人員といったリソースも踏まえ、PDCAサイクルを組織立てることで、右肩上がりの運用効果が期待できます。
競合をリサーチする
SNSには、自社のほか、多くの企業・事業がアカウントを開設しており、それぞれ独自の戦略を展開しています。競合となる商品・サービスを取り扱う他社アカウントの投稿内容やアクションの動向を参考にすれば、自社アカウント運用の最適化や効率化が促せるでしょう。
またKPIの設定においても、競合が得ている各種指標の数値が目安となります。ポイントは、いいねやコメント、シェアなどのエンゲージメント数の高い投稿をピックアップすること。多くのユーザーから支持される内容と自社の投稿の違いを分析すれば、エンゲージメント率の高い情報発信が実現しやすくなります。
適切な投稿頻度になるよう設計する
SNS運用では、投稿の内容はもちろん、投稿および更新の頻度も重要なポイントの一つです。投稿・更新頻度の低いアカウントは、運用が停滞していると見なされ、ユーザー離れやフォロワー解除、アルゴリズムからの低評価を招きます。投稿頻度を高めることで、積極的に運用されているアカウントであることをユーザーにアピールできるでしょう。
なお、理想的な投稿回数の目安は1日あたり1〜3回程度です。投稿回数が多すぎるとくどい印象を与え、アカウントに対するイメージダウンにつながる恐れがあります。また、SNSのプラットフォームによっても適切な投稿頻度が異なるため注意してください。
ユーザーファーストを徹底する
SNS運用は、ユーザーやフォロワーありきの戦略設計が重要です。企業公式アカウントを開設するだけでユーザーの興味が引けるのは極めて稀なケースであり、自然な運用効果が見込めることはほとんどありません。
つまり、どのような投稿にアクションを起したくなるのかを考えることがSNS運用の第一歩です。また、プロフィールを充実させたり、適正な管理体制を徹底したりして、ユーザーの第一想起を獲得することも大切な要素だといえます。
リンク設置の乱用は避ける
投稿文へのリンク設置は、狙ったサイトやページへの誘導に有効な手段です。他方で、リンク設置はアカウントページおよび投稿の滞在時間を短縮させる可能性があるリスキーな手法でもあります。滞在時間はSNSアルゴリズムからの評価を左右する要素なので、むやみにリンクを大量設置するとタイムラインでの表示率が下がりかねません。また商品・サービスに関する事前知識がほとんどない状態でその個別サイト・ページに変遷したところで、CVにはつながりにくいでしょう。
Googleの購買行動理論である「ZMOT(ジーモット)」によると、消費者は店舗およびWebサイト・ページに来る前の情報収集によって意思決定を済ませています。ただWebサイトや商品・サービスページへ変遷させるのではなく、その前段階となるSNSで、いかに魅力をPRできるかどうかが重要です。
SNSと消費者の購買行動との関連性を正しく理解する
前提として、SNS運用が売上アップに直接貢献するわけではありません。SNS運用の真価は、情報拡散や顧客との接点づくり、イメージアップによる売上への間接効果です。SNSを通し、インターネットでの指名検索やサイトや店舗への流入が増えることで売上アップに貢献します。
つまりSNSは、消費者の購買行動におけるアテンション(認知)の役割、もしくはCVとの中間に位置するプロセスです。単純に指標や数値のみで効果を測るのではなく、インプレッション数やリーチ数といったユーザーアクションの前後で生じた変化に基づいて分析することで、正しい効果が測定できます。
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企業がSNSを運用する際は、各プラットフォームのアルゴリズムとユーザー層の性質を理解し、それを踏まえた戦略設計が肝心です。戦略的な運用を継続すれば、自社の認知度向上や集客効果、ユーザーとのエンゲージメント強化が図れ、結果的に売上アップにつながるでしょう。
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