InstagramでのUGC活用とハッシュタグ設計のポイントとは?【損保ジャパン×トライバルメディアハウス対談】
本記事では、トライバルメディアハウス(以下、トライバル)がInstagram運用をご支援している損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)の担当者4名と、プロジェクトを担当するトライバル スタッフによる対談をご紹介します。
InstagramでのUGC(User Generated Content)活用やハッシュタグの設計など、ユーザーとのコミュニケーションをする際のポイントについて対談しておりますので、保険に携わる企業の宣伝・広報・マーケティング担当者に限らずInstagram運用に課題を感じている方はぜひご覧ください。
対談したのは……
損保ジャパン:広報部メディアグループ SNSチーム 久我さま、安藤さま、福澤さま、加藤さま
トライバル:マーケティングデザイン事業本部 久保、升屋
※以下、敬称略
なお、この対談は登場人物が多いため、損保ジャパンは公式マスコットキャラクターのパンダにちなんで🐼を、トライバルは社名の2文字をとって🐯を名前の後に記載しています。
エンゲージメント率が平均を大きく上回る、そのポイントは
ーはじめに、損保ジャパンの皆さんの役割を教えてください。
久我🐼:広報部メディアグループの久我と申します。SNSチームのリーダーとして全体の統括をしており、SNSの運用や当社に関するクチコミのモニタリングなどを幅広く見ています。
安藤🐼:同じく広報部メディアグループに所属している安藤と申します。SNSチームに入って3年目でして、業務としてはSNSの中でも主にInstagramの運用やキャンペーンを担当しています。
福澤🐼:SNSチームでInstagramとFacebookの運用やキャンペーンなどを担当している福澤と申します。今日はよろしくお願いします。
加藤🐼:同じくSNSチームの加藤です。トライバルさんとはSOMPO美術館の開館を記念したInstagramのキャンペーンでお世話になりました。
ーありがとうございます。まずは損保ジャパン Instagramアカウントのターゲットや目的からお話しいただけますか?
久我🐼:はい。損保ジャパンのInstagramアカウント(@sompo_japan_official)は、公式マスコットキャラクター「ジャパンダ」を通じて、20~30代の女性(ソーシャルメディアに親しみが強く、ライフスタイルの変化が起きやすい年代)を中心とした若年層に損保ジャパンの認知度を高めて、親しみやすい保険会社だと認識してもらうことを目的としています。
トライバルさんにはこの目的をしっかりとご理解いただけたうえ、フォロワーを増やす施策についても真剣に考えていただけたので、今年度から運用を委託しています。
安藤🐼:ソーシャルメディアは変化しつづけるプラットフォームだと思うので、目的に沿って認知を獲得していくだけでなく、Instagramの世界観のなかで新しい企画をもっと取り入れていきたいと考えています。
升屋🐯:ありがとうございます。
損保ジャパンのInstagramアカウントでは主にUGCを活用した運用をしているのですが、投稿のエンゲージメント率が非常に高く、10%を超えることもあります。20~30代の女性に刺さるように「トレンド感のある投稿」を選ぶように意識しています。
安藤🐼:パンダをモチーフにした料理の投稿や、ご当地に関する投稿は反響が大きいですよね。コロナ禍によって旅行に行きたくても行けず、自宅で過ごす時間が増えている方も多いと思うので、料理や旅行への関心の高まりが影響しているのかもしれません。
ターゲットの目線でUGCを選び、投稿文を考える
ーUGCを活用した投稿をするうえで、意識していることはありますか?
升屋🐯:弊社でUGCを選び、損保ジャパンの皆さんに投稿内容を確認いただいているのですが、UGCを選ぶ際は20~30代向けのメディアのInstagramアカウントを参考にしています。
アカウントのプロフィールから確認できる「タグ付けされた投稿」には、トレンドに敏感なユーザーの投稿が表示されているので、その投稿でトレンドを把握してUGCを選ぶようにしています。
久我🐼:私たちはトライバルさんに選んでいただいたUGCがターゲットに合っているかどうかを確認しています。 これは一例なのですが、私の妻が当社のInstagramアカウントのターゲットの年代で、トライバルさんに運用を委託したあとの投稿をみて「最近の投稿、何か変えた? すごくいいよね。」と言ってくれたんです。
詳しく聞いてみると、コーヒー牛乳を注いでいる投稿やフルーツサンドの投稿を見て楽しい、ワクワクした気持ちになった、と。その後フルーツサンド食べたくなったから買ってきてと言われました(笑)。
ターゲットとなる20~30代の女性が損保ジャパンのアカウントと触れることで楽しさやワクワクを感じてくれるUGCを選ばなければいけないし、それを選ぶことができればエンゲージメントや意識変容にもつながるのだなと実感しました。
升屋🐯:奥さまにそう言っていただけて嬉しいです!
福澤🐼:運用改善という点でいえば、毎月トライバルさんに効果測定レポートを提出いただき、エンゲージメント率が高かった過去の投稿の要素を紐解いています。
久保🐯:エンゲージメント率の高い投稿だけでなく、低い投稿は何を改善すればいいのか、仮説を立てて分析して運用に活かすようにしています。
升屋は運用の経験が豊富なので、「投稿をもっと良くするにはどうしたらいいか」という感度が鋭いんです。Instagramアカウントのファンはこういう気持ちでいいねやコメントをしてくれるんじゃないか、写真の見え方(角度を変えたり、アップにしたり)ひとつでインパクトが変わるんじゃないか、とか。
ー投稿文についてはどうでしょう?
福澤🐼:最近は、以下の投稿文のように「◯◯(絵文字)をコメントしてね」と記載して、フォロワーのリアクションを促しています。
升屋🐯:損保ジャパンのInstagramアカウントに限らず、投稿にコメントするのって結構ハードルが高いので、絵文字などで気軽に参加してもらえるようにしていますね。
投稿がすごくいいなとか、かわいいなと感じてコメントする方は、そのアカウントのファンだとしても(キャンペーンへの参加条件でない限り)そこまで多くないと思っています。
簡単にリアクションできるような設計にした方が、「どんなコメントをしようかな」と考えるユーザーの負担も減らせますし、コメントが多ければ投稿のリーチが増える傾向にあるので、投稿内容や文脈に応じて絵文字をコメントしてもらうような投稿文にしています。
久保🐯:投稿に関していえば、2020年はInstagramにリール投稿が実装されたタイミングでいち早く挑戦できたのが良かったですね。みんなが注目しているタイミングに投稿してリーチを増やして、新規フォロワーの獲得にもつなげることができました。
戦略的にハッシュタグを設計することがいかに重要か
ー運用をするなかで、効果を実感したエピソードがあれば教えてください。
福澤🐼:2020年7月にプレゼントキャンペーンを実施した際、年間のKPIとして設定していたフォロワー数を超える成果が出たことですね。投稿のハッシュタグ経由のアカウント流入数が、当初想定していた以上に多かったんです。
升屋🐯:この投稿にはキャンペーン系のハッシュタグ「#キャンペーン実施中」「#キャンペーン企画」だけでなく、プレゼント内容に合わせて暮らし系のハッシュタグを記載していました。
「#シンプルな暮らし」「#一人暮らし」「#インテリア」などのハッシュタグのトップ(人気投稿)に掲載されていたので、フォロワー以外のユーザーにも大きくリーチできたのではないかと考えています。
投稿に「保険会社って、なんだかかたいイメージがありがちですが、損保ジャパンさんのアカウントはとにかくかわいい」や「車の保険いつもお世話になってます」などのコメントをいただけたのも嬉しかったですね。
久保🐯:このキャンペーンは、ハッシュタグの設計がいかに重要かがよく分かった例でしたよね。ハッシュタグの設計をやるかやらないかでここまで大きく変わるのかと、我々も改めて実感しました。
設計時は、①どのトライブを狙うのか、②ターゲットや企画と連動したハッシュタグを選べているか、③ハッシュタグ件数の多いビックワードだけでなくミドルワード・スモールワードをうまく組み合わせているかの3点を意識しました。
特に③は、投稿数が多いビッグワードだけだとトップ(人気投稿)に載りづらかったり、スモールワードだけだとトップ(人気投稿)には載るけれど流入数が少なかったりするので、選択するハッシュタグのボリュームの割合がすごく重要なんです。このキャンペーンは、Facebook社が提供している「アカウント運用担当者向けのガイドブック資料」に成功事例として掲載いただきました。
升屋🐯:その投稿でいうと、ビッグワードは「#キャンペーン」「#インテリア」で、ミドルワードは「#キャンペーン企画」や「#ダイソン」。スモールワードは「#ダイソン扇風機」でしたね。
福澤🐼:当時はまだ「#インテリア」などのハッシュタグを使う発想がなかったんですが、実際にキャンペーンを行ってみたら流入数がとても多くて驚きました。
キャラクターを軸にした運用で、保険に関する情報をどう訴求する?
ー運用するなかで重視しているKPI指標はありますか?
加藤🐼:いまKPIとして置いているフォロワー数は順調に達成できているので、今後はエンゲージメント数・率も重視していきたいですね。
久我🐼:そうですね。フォロワー数だけでなく、アカウントへの好意度や親しみを測定できるようなKPIとしてエンゲージメント数や率も評価していきたいです。
10月にストーリーズで投稿したドライブレコーダーに関する内容のように、もっと保険会社らしい保険やお金の使い方の豆知識について投稿できるといいなと。
今後はターゲットとなる方々に有益な情報を増やしていくことで、我々が本当にしたいことの実現につながるんじゃないかと思っています。
久保🐯:おっしゃるとおり新規フォロワーの獲得・ファン化を継続しながら、有益な情報をストーリーズやフィード投稿で発信できれば、安心や信頼の向上につなげていけますね。
久我🐼:生活者に「安心できる会社」「信頼できる会社」として認識していただくための手段としてInstagramを運用しているので、施策を通じて安心や信頼の獲得・向上につながることを期待しています。
ージャパンダのコンテンツと保険商品を訴求するコンテンツの両立は難しいと思うのですが、どのような工夫をしているのでしょうか?
升屋🐯:フィード投稿はジャパンダを軸にしていますが、そこで急に保険商品に関する投稿をすると企業色が強く出てしまうので、商品や企業情報に関する内容は今後もストーリーズでの投稿を予定しています。
フィード投稿はハッシュタグ経由でフォロワー以外にもリーチしやすいのですが、ストーリーズはフォロワーにリーチしやすいため、フォロワーへ保険に関する情報を届けるという点では最適な分け方だと考えています。また、ストーリーズにもジャパンダを出現させることで、フィード投稿と内容やトンマナに差が出ないように工夫しています。
グループ全体、そして社外からも評価されるアカウントに
ーInstagramを運用していて成果を感じたエピソードを教えてください。
福澤🐼:最近は、これからInstagramやソーシャルメディアを活用したいと考えている他部署の社員に「どうやって運用しているの?」「写真ってどこから持ってきているの?」と聞かれるようになりました。
安藤🐼:商品部の社員などからは「(商品を世の中に広める手段として)損保ジャパンのInstagramアカウントを活用したい」と相談されることも増えました。社会に商品を認知してもらう場としてInstagramを認識してもらえているのは嬉しかったです。
久我🐼:損保ジャパンはSOMPOグループの中核会社ですが、SOMPOグループには、他にも国内生命保険事業のSOMPOひまわり生命や介護・ヘルスケア事業のSOMPOケアなどさまざまな事業会社があります。そのグループ会社の広報担当者から運用方法を聞かれることもあり、グループ会社にも損保ジャパンのソーシャルメディア運用を評価してもらえていると感じています。
加藤🐼:社内だけでなく、保険代理店とお客さまのコミュニケーションに活用していただいたこともありました。キャンペーンの投稿に、「代理店の方にこのキャンペーンを教えてもらって応募しました」とお客さまからのコメントが書かれていたんです。
代理店側にこういうキャンペーンを活用してもらうのは難しいと思っていたんですが、話題にしていただいたことで実際にお客さまが参加してくださったというのは嬉しいですね。
ーInstagram運用によるインパクトを、定量や定性として見える化する予定はありますか?
久我🐼:損保ジャパンだけではなく、「SOMPO」のブランド認知度向上への貢献度も測定したいと思っています。「SOMPO」の生活者における認知度は損保ジャパンより高くありません。そういった部分にもInstagramが一部貢献していることを可視化できると面白いなと。
久保🐯:そうですね、InstagramのフォロワーにSOMPOの認知率を聞いたり、ジャパンダ・損保ジャパンに対する好意度を調査したりして、広報部の皆さんの社内貢献度を可視化することもできますね。その調査についても、引き続きお手伝いさせてください。
ー最後に、ズバリいまのトライバルのご支援に点数をつけると……?
全員🐼:120点ですね!(笑)
升屋🐯:ありがとうございます!