実績紹介

短期売上ニーズを捉えたファンダム戦略:深い理解と綿密な連携でプロモーションを支援。売上1.2倍、新規購入者増、新たな可能性を開拓

エスエス製薬株式会社
実績のポイント
  • 明確なニーズである短期的な売上ブーストへの戦略的マッチング
  • VTuber、ファンダムへの深い理解と綿密な連携
  • 既存にとらわれない柔軟な発想とパートナーシップ

若年層に人気のVTuberを活用した企業キャンペーンが加速する中、エスエス製薬株式会社はアレルギー専用鼻炎薬『アレジオン20』で、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」とのコラボレーションキャンペーンを実施しました。花粉症の人からのブランド認知はすでに高かったアレジオンが、短期的に成果と新規顧客獲得を目指した挑戦です。

2024年9月と2025年2月の2回にわたり実施された本キャンペーン「花粉の季節もわたしオン! 24時間ずっとごきげん♪春ルらラキャンペーン」は、特定小売業さまでの『アレジオン20』の売上を直前比で1.2倍に伸ばすことに成功。また、レシートキャンペーン参加者のうち4割が新規購入者でした。花粉症でありながらも市販薬というカテゴリーになじみがない生活者や、若年層にも手に取るきっかけを提供し、新規顧客獲得に大きく貢献しました。そして、この成功を支えたのは、製薬会社ならではの薬機法への配慮とファンの熱量を理解した綿密な戦略です。

エスエス製薬株式会社 マーケティング部 アレジオン ブランドマネージャーの住吉光莉さまに、プランナーとして参加したモダンエイジ事業部 薦田果聖とともにご支援について伺いました。

取り組みー「売りをブーストしたい」というニーズから始まったファンダムマーケティング

ーーキャンペーンをファンダムマーケティングで実施しようと思われた理由についてお聞かせください。事前にどのような点を期待されていましたか?

住吉さま: ファンダムマーケティングありきではなく、短期的に売上をブーストできる施策について前田さん(モダンエイジ事業部 前田夏美/SNS運用支援プロジェクトにてPMを担当)に相談したのがきっかけです。

CMで認知・購買につなげた『アレジオン』ですが、短期的な購買ブーストは課題でした。従来のマーケティングとは違った新しい手法で、短期的な売上を目指したかったため、売上増加が見込めると伺ったファンダムマーケティングや店舗連携マストバイキャンペーンの導入を決めました。認知度に関わらず短期売上を突き抜ける施策を模索していた中で、ファンダムマーケティングに出会ったかたちです。

ーー期待されていた短期的な売上以外に、施策から得られたことや良かったと感じる点はありましたか?

住吉さま: ファンダムの方々の力が非常に強く、SNSでブランドを応援したり、店舗への訪問を呼びかける言葉をたくさん発信してくださりました。たとえば「〇〇の店内放送が毎日◎時にあるからこの時間は絶対に〇〇に行こう」といった具体的な会話も見られました。

ふだんはアレジオンをきっかけにした来店促進が目に見えるかたちで確認しづらいのですが、アレジオンを通して小売業さまの名前がSNSにいっぱい上がったことは、担当営業からも大変喜ばれました。小売業さまからも、売上の話とは別に、「アレジオンのおかげでこんなに人が来るんだ」と実感してもらえました。「自分たちの店舗名を言ってもらえることが嬉しい」といったポジティブな評価を非常に多くいただきました。

また、新しいことにチャレンジするチームとしての空気感が醸成されたことも大きな成果です。従来のマーケティング手法に加えて新たな取り組みを行うことで良い結果が見え、(次の)ポジティブな動きが生まれるという雰囲気がチーム全体にも波及し、挑戦する気運が高まったと感じます。

施策のポイントー未知の領域「VTuber」「ファンダム」への理解が成功の鍵

ーーキャンペーン実施にあたり、初めての手法であるファンダムマーケティングのスキームをどのようにして理解いただいたのでしょうか。

薦田: ファンダムマーケティング自体はスムーズにご理解いただけた印象です。ただ、VTuberという存在の理解については、多少ハードルがあったかもしれません。

VTuberのコンテンツをふだんから見ている、もしくは渦中にいる人であれば、その熱量を体感し「これは売れるだろう」と肌感覚で理解できるのですが、コンテンツに触れたことがない方に対して数値だけで熱量を伝えるのは難しいため、ファン層やファンの動きについてはホロライブプロダクションと密に相談し、共有しました。

ーー「VTuberとは?」から始まり、社内で理解を得るというステップもあったかと思います。そのあたりで住吉さんが感じられたこと、大変だったことを教えてください。

住吉さま:目的(短期売上最大化)とHow(VTuber・ファンダム活用)は明確でしたが、最初の関門は「VTuberやそのファンダムの熱量を自分で実感し社内に説得すること」でした。薦田さんから、企業や自治体の成功事例を共有してもらいましたので、社内にも展開しました。ファンダムの熱量について特に説得力があったのは、VTuberの投げ銭が非常に高額であるという点でした。ぺこらさん(兎⽥ぺこら)は、投げ銭が全世界のVTuberで上位といった具体的なデータも提供いただき、「よくわからない人たちだ」と感じるかもしれないけれど、今回の目的が達成できることを明示しました。

第二の関門は、企画を具体的に作り込んでいく段階における「ファンダムがどういうことに喜び、逆にどういうことに冷めるのか」「何をやったら失敗し、何をやったら成功するのか」といったファンダムの行動原理の理解でした。そこで、ファンダムを「湧かせる」ノウハウや、避けるべき行動については、薦田さんとホロライブプロダクションに全面的に依頼しました。責任範囲を明確にし、期待を伝えたことで、スムーズに進められたと感じています。

事前にファンダムに関するノウハウや考え方の講座をやってもらったことをよく覚えています。迷った際にそこに立ち返ることで、大きな不安なく進めることができました。

レシートキャンペーンの当選者400人に贈られた描き下ろしの集合ジオラマアクスタ。
「花粉症の時期も楽しくお出かけ」をテーマにデザインされ、イラストを邪魔しない位置にアレジオンのロゴを配置している。

成果ー予想を上回る来店促進効果と社内へのポジティブな波及

ーー特定小売業さまにおける『アレジオン20』の売上をキャンペーン直前比で1.2倍に伸ばすことに成功。また、レシートキャンペーン参加者のうち4割が新規購入者という結果につながりました。店舗からの直接的な評価や、営業現場の声はいかがでしたか。

住吉さま:ファンダム内で「店内放送がある店舗に行こう」「カードが残っていたから行こう」といったSNSでの言及が多く見られました。VTuberライブ配信で店舗名が繰り返されると、「〇〇行くぞ」「〇〇さんありがとう」といったコメントがあふれ、ファンの来店が目に見えるかたちで促進されました。他小売業さまからも感謝の言葉を多数いただき、売上だけでなく来店促進の実績が非常に喜ばれました。社内においても同様に、高い評価を得られました。

今後の展望ー薬を「自分ごと」として捉える新たなコミュニケーションとファンダムマーケティングの継続

ーー今回のキャンペーンの成功を踏まえ、今後のアレジオンブランド、または貴社全体のマーケティングにおいて、どのような目標や展望をお持ちでしょうか。

住吉さま: 今回の施策で新たな手法の引き出しが増えました。業界的にも真面目な分野ゆえに、これまでは機能訴求のキャンペーンが多かったのですが、そこを打ち破る新しい選択肢をいただきました。ファンもハッピーになり、ワクワクするような方法でそれが実現できたと強く実感しています。

業界としてもブランドとしても、とっつきにくさや、やや真面目すぎる雰囲気があると感じています。そのハードルを少しでも下げ、OTC医薬品を身近に感じてもらい、自ら選んで健康を守る意識につなげたい。健康への第一歩は、「推しが言うなら、ちょっと聞いてみよう」でもいいと思うんです。そんなきっかけを生み出す良い引き出しを、今回トライバルさんと一緒に作ることができたと感じています。

ファンダムマーケティングは今後も継続していきたいと考えており、この熱量をブランドやカテゴリー全体の啓発につなげるため、「渦」をさらに大きくする取り組みを進めます。

トライバルメディアハウスへの期待ーファンダムへの深い知見と既存にとらわれない提案力

ーー今後の取り組みについて、トライバルに期待されることがありましたら、ぜひお聞かせください。

住吉さま:私たちはビジネスゴールやブランドの視点は持っていますし、最終意思決定をするのは私たちです。しかし、一般的な生活者ではなくファンをどうブランドに接続するか、SNSの力を使ってどう施策を成功させるか、といった専門性については今後もトライバルさんに強く期待しています。

現在お願いしているX運用(@Alesion_JP)やSNS活用についても、専門家であるトライバルさんと、二人三脚で良い企画を作っていけると思っています。マーケティング力は私たちもカバーできますが、ファンダムの知識、さらには事務所との密な関係性、タレントとファンの理解については、二人三脚で進めるエージェンシーの力が弱いと、企画自体が非常に脆弱になってしまいます。こういった点で今後も非常に期待していますし、頼りにしています。

トライバルさんは従来のマーケティングにはない視点を持ち、時代に合った挑戦をされていると感じます。そうした新しいアイデアへの期待が非常に大きいです。

凝り固まった発想では、薬とVTuberという今回のユニークな組み合わせは生まれなかったと思います。また、私からの「短期的な売上を最大化したい」という依頼に対しても、このようなアプローチは出てこなかったはずです。柔軟な視点があったからこそ、この提案をいただけて、実際に相性も非常に良かった。既存の枠にとらわれない新しい切り口での提案は、ファンダムマーケティングに限らず、今後も期待しています。

薦田: ありがとうございます。ファンを客観的に捉えるのは、簡単なことではないと思います。特定のジャンルのファンに対して適切なメタ認知を持つには、その世界に深く入り込み、感情や価値観を理解する時間と経験が必要です。だからこそ、私たちが最も力を発揮できるのは、そうした“ファン視点”を掘り下げる場面だと感じています。

住吉さまから「これ、本当にファンが喜びますか?」と何度も問いかけていただいたことをよく覚えています。その問いに立ち返りながら施策をつくりあげたからこそ、成果にもつながったのだと思います。今後もこうしたプロセスにおいてぜひお力になれれば幸いです。

スタッフリスト

PM:前田夏美
プランナー:薦田果聖
ディレクター:下里美海、遠藤麻衣子
AE:荒井俊

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本ページでご紹介しているのは一例です。トライバルメディアハウスは、デジタルマーケティング領域での多くのご支援実績・知見を活かし、貴社のマーケティングを幅広く支援いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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Overview

クライアント
エスエス製薬株式会社
業界
医薬品
期間
2025年2~4月
課題
短期的な売上の最大化
支援内容
短期売上ニーズを捉えたファンダムマーケティング、プロモーション支援
成果
売上1.2倍、新規購入者増
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