SNSマーケティングのこれから「その公式アカウント、本当に続けますか?」
作成日:2019年12月19日
本記事は、2019年10月に開催したセミナー「その公式アカウント、本当に続けますか? いまこそ考えるSMMの『これから』」一部内容を書き起こしたものです。
トライバルメディアハウス 代表の池田がいまの時代に即した「ソーシャルメディアマーケティング」の考え方を提唱しながら、その状況下におけるソーシャルメディアとの向き合い方についてご紹介します。
いままさに公式アカウントの運用に悩んでいる方、現時点では問題なく運用できているけれど今後のことも考えたい方、どちらにもおすすめの内容ですので、ぜひご覧ください。
SNSマーケティングにおける戦略優位とは
今日は、僕が宣伝会議で担当させていただいてる講座でもまだあまり話していない構成でお話しします。というのも、ソーシャルメディアマーケティングって言葉が知られるようになって15年くらいになるわけですけど、「さまざまな戦略を練って公式アカウントを運営してきたけど、もうどうしたらいいかわからなくなっちゃった」っていう担当者さんに向けた内容ってまだそんなに(世の中に)ないと思うんですよね。
トライバルとしてもこのテーマでお話しするのはたぶん初めてなので、皆さんもうそろそろ課題が出てきてるんじゃないですか? というところからお話ししていきたいと思います。
まず歴史から紐解いていきましょう。ソーシャルメディアは2005年くらいから登場しはじめたわけですが、公式アカウントを(競合が開設していなかった時期に)開設して、ソーシャルメディア上で生活者とコミュニケーションをとるっていうアクションは戦略優位だったんですね。
でも2010年くらいを境に公式アカウントの開設バブルが発生して、あっという間にみんなが同じことをやり始めると、公式アカウントを開設しないことは戦略不利にはなるが、開設したからといって戦略優位にはなるわけではないという状態になりました。
で、現在はどんなブランドも公式アカウントをやってて当たり前で、ソーシャルメディア上でエンゲージメントを獲得するテキストや画像の作り方、投稿に適した曜日・時間帯、フォロワーの獲得方法、っていうのはだいぶ最適化し終わっています。
それに、さほど予算を割けない公式アカウントは、ファン・フォロワーを増やすことができず、いいねとかいろんなエンゲージメント率も下方傾向になります。そうすると担当者は「これ、やってる意味あるんですか? なんのためにやってるんですか?」と疑問を抱かざるを得ません。今回の話が、そんな悩みを解決するためのヒントになればと思います。
SNSの普及後、企業のマーケティングは変化した
戦後70年で、マーケティングは一気に近代化したわけですけど、その近代化したマーケティングのやり方、主にマーケティングコミュニケーションのやり方というのは、企業がピカピカに塗り固めたコピーとキービジュアルをマスメディアで発信し、「どうだ! 俺たちこんなにかっこいいブランドなんだぜ!」って言っていれば勝手に買われた時代だったから成り立っていたんですよね。
それが、インターネットやソーシャルメディアが普及したいまでは、全く知らない人が「いやいや、ピカピカに言ってるけど実際はダメダメな商品だよ」って言ったら、もうそのブランドはダメダメになっちゃうんです。
2000年代に出版されたブランドマーケティングの本には、必ず1ページ目に「ブランドコントロール」という言葉が入っていました。ブランドというのは企業がコントロールすべきものである、といったことが書かれていたんですが、いまはもうそんなことを書いている本は1冊もないですよね。ブランドは企業がコントロールできるものではなくなってしまったわけです。
これからの役割とは
そもそも公式アカウントがソーシャルメディアのユーザーと直接的につながることができる人数には限りがありますよね。数万人とか数十万人とか、もしくはすさまじい広告宣伝予算を使ったとしても100万人とか。マスと比較すると、どうやっても数字は少なくなる。
その一方で、「ソーシャルメディア上では公式アカウントをフォローしていないが、そのブランドについて会話をしている人」はごまんといるわけですから、そういった人たち同士が自発的にそのブランドについて会話をしたくなるような関係づくりや場づくりを、企業や公式アカウントが担っていくことが今後重要になります。
たとえばこれまでのソーシャルメディアを使ったバイラルプロモーションでは<B to C to C> つまり企業がコンテンツを作り、ユーザーに拡散してもらう設計が主流でした。この設計方法はいまも使われていますが、そこに加えて、ソーシャルメディア上ですでに出来上がっているブランドのコミュニティに企業が「お邪魔します」というスタンスで入っていって、ユーザーと対等な立場で参加する考え方が生まれました。それが<B into C to(with)C>です。
<B into C to(with)C>は、一方向ではなくインタラクティブな形で情報を伝播させることができるというメリットがありますが、運用担当者のコミットも必要なので、すごく手間暇がかかります。
そして最近登場したのが、<B activate C to(with) C>というものです。C to CもしくはC with C を活性化させていくファシリテートの役割を企業が担うというものです。僕は企業の公式アカウントのこれからのチャンスは、ここにあるのではないかと思っているんですよね。ブランドのコミュニティにintoしながらactivateしていくという立場が、いま公式アカウントには求められているはずなんです。
企業はどう向き合うべきか
コンテンツカレンダーを作って、これをこういう計画で投稿していきましょう、今月の分析結果はこうでした、来月は「◯◯の日」があるのでその日にちなんで云々……といった基本的な戦略策定・実行も戦略不利にならないためにはとても大事ですが、それはあくまでも公式アカウントとフォローの関係で繋がっている公式アカウント経済圏の人たちとしか成立していませんよね。
だから、今後公式アカウントはソーシャルメディア上でブランドのレピュテーションを上げる、もしくは会話量を増やすために、企業がコミュ二ティの中に入っていってユーザーに関与する、というアクションが必要になります。
ということで、タイトルにもある「その公式アカウント、本当に続けていきますか?」という問いかけなんですけど、結論をいうと「続けていくべき」です。しかし、公式アカウントとして上記のような担い手になるためには、以下3つの役割を押さえる必要があります。
この3つが成立していることが、いまの時代のソーシャルメディアマーケティングの戦略優位につながるはずです。逆に言えば、これが満たせないのであれば、本当にその公式アカウントを続けていく価値があるのか冷静に考え直してもいいのかもしれません。
これを機に、皆さんも改めて公式アカウントの立ち位置や目指す姿を考えてみてはいかがでしょうか。
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