「推し活」調査データを公開! エンタメとのタイアップで企業がおさえるべきポイント

当社のエンターテインメントマーケティングレーベル「Modern Age/モダンエイジ」は、“推し” がいる人(ファン)の集まり(ダム)に働きかけるマーケティング手法として「ファンダムマーケティング」を提唱しています。その施策を計画するうえで重要になるのが “推し(※)” がいる人の実態です。

そこで、Modern Age/モダンエイジは2022年3月に「“推し” の情報収集・発信やタイアップに関する実態調査(以下、推し活調査)」を実施しました。

映画や音楽、お笑い、アニメ、YouTube(YouTuber)という5つのエンターテインメントに“推し” がいる人は、どのような情報をチェックし、どのような感想を抱いているのでしょうか。また、そうしたエンターテインメントと企業やブランドがタイアップすることの有効性、ポイントは何でしょうか?

本記事は、タイアップ施策を企画・検討する企業の宣伝、広報、マーケティング担当者に向けて、「推し活調査」の結果を詳しくご紹介します。施策の検討材料として、さらには施策改善のための参考に、ぜひご活用ください。

※特定のアーティストや作品、登場人物、演者(芸能人・YouTuber)などを応援したい、薦めたい対象として挙げること。

1分でわかる調査結果のまとめ

・エンターテインメント好きの人は、多くのエンターテインメントを楽しむ傾向にあり、幅広いジャンルに “推し” がいる傾向が強い

・“推し” がいる人は、いない人に比べて多くのメディアに接触している

・20代以下の女性は、自分の “推し” が商品とコラボ・タイアップすることを好意的に感じる傾向にある。特に「音楽」「アニメ」に “推し” がいる人はその傾向が強い

・「音楽」に “推し” がいる人はInstagramとX(旧Twitter)を、「アニメ」に “推し” がいる人はXを情報収集のために積極的に利用している。マスメディアよりもSNSによる情報収集が盛んである

・“推し” のいる人は総じてSNSからの情報収集を行っているものの、 “推し” のジャンルによって収集先が異なる

エンターテインメント好きの実態 ~ “推し” のいるコンテンツ以外も広くチェック~

まずはエンターテインメントが好きな人たちの実態について迫っていきましょう。日々さまざまなコンテンツに接する彼らですが、どのようなコンテンツにどの程度の割合で “推し” が存在しているのでしょうか。

回答を見てみると、好きなエンターテインメントコンテンツがある人のなかで、「特に “推し” はいない」と答える人は47.6%。裏を返すと、残りの52.4%には何らかのエンターテインメントコンテンツの中に “推し” が存在していることがわかります。

“推し” がいるコンテンツのTOP3は「音楽」「YouTube(YouTuber)」「アニメ(声優含む)」がランクイン。しかし「アニメ(声優含む)」から「お笑い」までは推し存在率が12.9%〜10.6%となっていて、その割合は比較的拮抗しています。

続いて、エンターテインメントコンテンツの中に “推し” がいる人たちは、「SNS(82.4%)」と「テレビ(77.6%)」の接触割合が高く、昨今視聴率の低下が叫ばれるテレビも高い結果となりました。

また、今回調査をした5つのカテゴリーに “推し” がいる人は、SNSやテレビ以外にも企業のホームページやラジオ、雑誌などのメディアに幅広く接触していることがわかります。

では、特に好きで楽しんでいるエンターテインメントは何でしょうか。結果を見ると「YouTube(37.6%)」「映画(34.4%)」「音楽(34.0%)」「ドラマ(31.7%)」の順で高い割合を示しました。

また、“アニメ推し” は「漫画(56.4%)」「ゲーム(44.1%)」を比較的よく楽しんでいることからもわかるように、何らかのエンターテインメントに “推し” がいる人は、他のエンターテインメントコンテンツにも幅広く興味を持っていて、総じてエンタメが好きといえるでしょう。

“推し” がいるエンターテインメント × タイアップに関する実態 ~興味を持つカテゴリーに違いあり~

“推し” のいる人=ファンダムたちは、その “推し活” にどの程度お金をかけているのでしょうか。「何のコンテンツ」に「どの程度お金を費やしているか」を聞きました。

コンテンツ別で見たときに毎月費やす金額が大きかったのは「音楽」で、月額平均5,106円を費やしているとわかりました。なかでも30代女性は月額平均6,933円を投資しており、他世代よりも音楽へお金を使う意向が高いようです。

ところが「YouTube(YouTuber)」推し層の月額投資額を見てみると、平均899円と圧倒的に少なくなります。“推し活課金” に積極的なファンダムと、そこまでではないファンダムとで二極化している状態が見受けられます。

また、ある商品やサービスと “推し” がコラボやタイアップをすると、その商品・サービスへの好意度が上がるのかについて見てみると、ファンダムによって変化に差が生じていました。

全体で見ると「音楽」に対するタイアップ商品の好感度が7.29ポイントと高く、その中でも女性は7.61ポイントと高い数値になっています。女性はタイアップを好意的に受け入れる傾向があるようです。

次に年代別で見ると、20代以下の女性はすべてのエンターテインメントコンテンツにおいて、好感度が高くなる傾向があり、特に「音楽(7.85ポイント)」「アニメ(7.00ポイント)」は、かなり高い値でした。

ここからは、特にお金を使い、タイアップをしたときに好意的に受け取られやすい「音楽」と「アニメ」について、タイアップをしたときに関するデータを見てみましょう。

音楽に “推し” がいる音楽ファンダムは、どんな商品カテゴリーとコラボやタイアップをしたら興味を持つのでしょうか。圧倒的に回答数が多かったのは「洋服(51.7%)」で、特に20代以下の女性は64.6%と非常に高い値でした。

続いて “アニメ推し” =アニメファンダムの傾向も見てみます。こちらは「食品」とのコラボへの関心度が高く、38.6%という結果になりました。次いで「ゲーム・おもちゃ」「本」というカテゴリーが続き、他のコンテンツとは違った動きをしているようです。

また、複数回答の設問において、回答者が平均でいくつ選択したのかを表す「MA反応個数」を見ると、20代以下の女性は4.55個と最も高い数値でした。自身の推すアニメとのタイアップであれば、どのような商材とのタイアップであっても興味を持ちやすいことがわかります。

「音楽」「アニメ」のファンダムは、さまざまな商品カテゴリーとのコラボに興味を持ち、特に20代以下の女性で大きな反応が期待できるでしょう。

“推し” の情報収集と発信にSNSをフル活用! ただし利用手段は異なる

こうしたタイアップへの関心度や購買意欲は、どこからの情報によって高まるのでしょうか?

音楽ファンダムの中で、“推し” に関する情報収集にXとInstagramを活用している人は過半数を超え、特に女性は7割以上がXとInstagramを活用していると回答しました。マスメディアによる情報収集よりも、X・Instagram・YouTubeといったSNSでの情報収集が盛んであることがわかります。

一方で、アニメファンダムの人は、主に「X」を情報収集として使用している様子。こちらも “音楽推し” の人と同じく、マスメディアの活用比率は特別高くないというのが特徴ともいえます。

さらに年代別で見てみると、20代以下の女性はXとInstagramが高く、情報収集で活用しているのはとりわけSNSであることがわかります。

このように、情報収集源が圧倒的にSNSに傾倒しつつあるいま、音楽とコラボするならXやInstagramを、アニメとのコラボならXを有効活用する必要があるといえるのではないでしょうか。

ここからは各エンターテインメントコンテンツの “推し” に関する情報収集方法について、その詳細を確認してみましょう。

まずは音楽ファンダムの詳細な情報収集方法です。男女ともに多く活用しているXやInstagramに関しては、「Xで検索する(男性42.6%、女性63.6%)」「Xで特定の有名人やブランドの投稿を閲覧する(男性29.3%、女性45.7%)」「Instagramで検索する(男性25.8%、女性57.0%)」「Instagramで特定の有名人やブランドの投稿を閲覧する(男性26.1%、女性53.3%)」の割合が比較的高くなりました。特に20代以下の女性は、上記のすべての方法で高い割合を示しています

また20代以下の男性では、「Webサイト・アプリ(38.3%)」のうち「個人のブログから情報を得る(18.3%)」「企業やブランドのホームページを確認する(18.3%)」と回答した人が、他の年代・性別よりも多くなりました。

SNSの中では「LINE(23.9%)」や「TikTok(9.7%)」を活用する人はあまり多くないことがわかります。しかし20代以下の女性では「LINEで公式アカウントからのメッセージを確認する(21.5%)」と回答した人が他の年代・性別よりも多く、この層にはLINE公式アカウントの活用が比較的有効だといえます。

次にアニメファンダムの詳しい情報収集方法も見てみましょう。一番多く情報収集を行っているXでは、「Xで検索する(男性41.2%、女性55.0%)」「Xで特定の有名人やブランドの投稿を閲覧する(男性26.1%、女性36.2%)」の割合が高くなりました。特に20代以下の女性で「Xで検索する」と回答した人は58.7%と多く、この層へのXからのアプローチは十分に有効だと考えられます。

またアニメファンダムは、僅差ではありますがInstagramよりもYouTubeの方が比較的活用されています。特に20代以下の男女では「YouTubeで特定の有名人やブランドの動画投稿を閲覧する(33.3%)」「YouTubeで特定の有名人やブランドのShortsや切り抜き動画を閲覧する(25.7%)」と答えた人の割合が30代よりも目立って多く、20代にアプローチするルートとして有効であることがわかります。

またアニメファンダムの20代以下女性では、「LINEで友人・知人・家族と情報共有する(13.3%)」と回答した人が比較的多く、親しい友人や仲間内でアニメや “推し” について話したり、共有したりしていると考えられます。

以上から、“推し” のいる人は総じてSNSからの情報収集を行っているものの、その “推し” によって収集先に多少のばらつきがあることがわかりました。

ここまでは情報収集について紹介してきましたが、“推し” に関する情報発信についてはどういった傾向が見られるのでしょうか。以下は、音楽とアニメに “推しあり” の人が情報発信する方法について、回答をまとめたデータです。

情報収集と同様で、どちらもSNSやオンラインでの情報発信が多い傾向があります。しかし情報収集と異なる点は、上位3位以内に「友人・知人・家族に直接すすめる」という方法が初めて登場しているところです。「身近な人との接触」が、情報発信においてキーとなるのかもしれません。

上記の特異点がありながらも、全体的には「情報収集」も「情報発信」も、SNSで積極的に行われていることがわかります。20代以下の女性で比べてみると、Xの活用度合いが音楽ファンダムは48.1% 、アニメファンダムは37.3%と高い割合を占めました。

SNSの急速な発達により、情報収集と情報発信のサイクルはSNSの中で循環していると言えるのでしょう。

お笑いファンダム・映画ファンダム の情報収集にはある特徴が

これまで、音楽ファンダムやアニメファンダムの興味の傾向や情報収集・情報発信の方法について触れてきましたが、ここからは、お笑いファンダムと映画ファンダムの情報収集の傾向について紹介します。

まずは、お笑いファンダムに関する情報収集について調査したデータです。全体的に、マスメディアを活用している傾向がいまだに強くあり、46.6%と全体の半数近くを占めるような数値が出ています。

しかし驚きなのは、20代以下の女性については「X」「Instagram」の回答数がともに58.7%と高く、若年層はお笑いについてもSNSで情報収集していることがよくわかります。

続いて、映画に関する情報収集の実態は、圧倒的に「Instagram」「X」の割合が高く、それぞれ41.3%と、40.4%とマスメディアを上回る数値になっています。

特に20代以下の 映画ファンダム男性は、この2つのSNSを高い割合で利用しており、特に「X」は50.8%と最も高い数値でした。

こうして見てみると、エンターテインメントコンテンツごとに情報収集や情報発信の度合いは異なり、世代別や性別でも違いがあるようです。

どのエンターテインメントコンテンツで、どのターゲットにヒットさせていきたいかを検討し、「適切なコンテンツの選択」と「SNSの積極活用」によってタイアップを成功させていくといいのではないでしょうか。

ファンダムの力をあなどるなかれ。愛のあるコラボレーションを貫くべし

Modern Age/モダンエイジが実施した「推し活調査」から、以下のことがわかりました。

・ファンダムの “推し” に対する熱意は高い
・“推し” がいるからこそ、各エンターテインメントコンテンツに投資し、コンテンツを積極的に視聴する
・“推し” の情報収集は、若年層を中心に主にSNSを活用
・“推し” × コラボ商品があれば購入し、その内容や思いをSNSで積極的に発信する

トライバルメディアハウスに所属し、Modern Age/モダンエイジ事業本部の本部長を務める高野(@groundcolor)は、以前より「モノやサービスを売るうえで、音楽やアニメなどのエンターテインメントは重要な役割を果たす」と述べ、ファンダムマーケティングのポテンシャルの高さを強調してきました。

一方で、企業やブランドとエンターテインメントのタイアップ(プロモーションや商品でのコラボレーション)は、誰を起用するかを繊細に、慎重に考えないと諸刃の剣にもなる可能性があります。そこで、気をつけるべきは「プロモーションのコンセプトがファンダムの文脈にマッチしているか」という点です。

自社のマーケティング活動に価値ある影響を与えたいのであれば、SNS上で積極的な発信や推奨行動をするファンダムが持つ熱量に着目するべきです。その “推し” に協力してもらい、プロモーションを実施するときに大切なことが2つあります。

1)自社や商品とマッチするエンターテインメントについて、ソーシャルリスニングや定量・定性データで分析すること。時には、自身のエンターテインメントに対する知識や感覚、こだわりを大切にしたり、“推し” のいるスタッフにアドバイスを仰いだりすること

2)“推し” がいる人たちが企業へ思わず「ありがとう」と感謝の言葉を寄せたくなるようなコンテンツを作ること

この2つを大切にすることで “推し” が持つ力をプロモーションに活かすことができ、情報が溢れる現代においても自社に大きな価値をもたらすでしょう。

最後に。誰しも、好きなものがあります。そして、その好きなものを「もっと好きになりたい」「誰かと共有したい」「もっと多くの人に知ってほしい」「一緒に盛り上げたい」「楽しみたい」と思っているはずです。

そのような気持ちや、そうした気持ちによって生まれる力を企業が後押しできれば、“推し” に夢中になる方々だけでなく、その向こうにいる生活者に対しても良い影響を及ぼすような施策を実行できるのではないでしょうか。

企業が「伝える」 マーケティングから、誰かに「伝えたくなる」マーケティングへ。エンターテインメントのパワーや “推し” への熱量に愛を持って向き合うことで、自社が伝えたいことがきちんと届き、広がり、人が動いていくーーいまこそ、そんなマーケティングを実現してみませんか?

Modern Age/モダンエイジは、“推し” だけでなく、自社のことも愛されるマーケティングを実現するべく企業やブランドをご支援しておりますので、本調査結果の詳細やModern Age/モダンエイジのサービスに興味のある方は以下よりお問い合わせください。

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調査概要

■調査名: “推し” の情報収集・発信やタイアップに関する実態調査
■調査方法:インターネットリサーチ
■調査日程:2022年2月17日〜2月21日
■調査地域:全国
■回答者の属性:15歳〜39歳の男女
■本調査対象者
・5つのエンターテインメントカテゴリー(映画(Netflixなども含む)、音楽、お笑い、アニメ(声優含む)、YouTube)が好きと回答した方
・5つのエンターテインメントカテゴリー(映画(Netflixなども含む)、音楽、お笑い、アニメ(声優含む)、YouTube)に “推し” がいると回答した方
■有効回答数:スクリーニング 9,580サンプル、本調査 1,107サンプル

※ 調査データを引用・転載いただく際は「 “推し” の情報収集・発信やタイアップに関する実態調査(2022年2月実施/トライバルメディアハウス調べ)」と本記事のURLを記載いただくよう、お願いいたします。

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