カテゴリーエントリーポイントとは?ブランド想起における重要性と設計ポイントを解説
最終更新日:2026-02-10作成日:2026-02-10
「施策は打っているのに、なぜか効果が鈍い」「チャネルは増えたのに、指名や相談が増えない」。こうした違和感は、施策の良し悪しというより、そもそも思い出される入口が整理できていないときに起こりがちです。
広告やSNSの出し方、コンテンツの型、配信設計…。手段が増えるほどメッセージが散り、何が積み上がっているのかが見えにくくなります。ここで一段前に戻って考えたいのが、カテゴリーエントリーポイント(CEPs)です。

知っている状態から思い出す状態、さらに真っ先に思い浮かぶ状態へと移る道筋をデータで可視化し、第一想起が選択に与える影響と、想起を獲得するうえで押さえるべき点を整理しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、詳細をご覧ください。
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは
カテゴリーエントリーポイント(CEPs:Category Entry Points)は、誰かが何かを食べよう、飲もう、行こう、買おうと思った瞬間に頭の中で立ち上がる入口です。ここでいう入口は、媒体や接点ではなく、状況、目的、制約といった条件そのものです。
たとえば「SNSで見たから」「検索で見たから」は、入口ではなく接点です。入口は「なぜ今それを選ぼうとしているのか」「どんな状況に置かれているのか」で決まります。入口を接点の言葉で書いてしまうと、その時点で設計がぶれやすくなります。入口が曖昧なまま施策だけが増えていくと、接触は増えているのに思い出され方が揃わず、成果が積み上がりません。
CEPとCEPs(単数と複数)
CEPは一つの入口、CEPsは入口の束になります。強いブランドほど入口を複数持つ、という見立てはこの考え方の出発点です。
入口が一つしかないと、その入口が立ち上がるタイミングでしか選ばれる機会が生まれません。逆に入口が複数あると、思い出される機会が複数の状況に広がります。ここでいう「広がる」は、認知を広げるという話ではなく、思い出す瞬間の総数が増えることです。
なぜカテゴリーエントリーポイントが売上に効くのか
入口で候補に入らないと、比較の土台に乗りにくい
入口が立ち上がったとき、人はそのカテゴリーのすべて見比べてから決めるわけではありません。まず頭に浮かんだ少数の候補が並び、その中で比較と判断が進みます。そして最初に呼び出される候補の集合が想起集合です。

ここが小さいほど、入口で思い出されない不利は大きくなります。名前が挙がらなければ、比較のテーブルにすら乗らないまま検討が終わるか、別の候補だけで意思決定が進んでしまいます。入口は、検討のスタート地点そのものです。
当社が公開した『第一想起白書2025』でも、選ぶ瞬間に想起集合に入るブランド数は平均2個以下という結果が出ました。枠がそれだけ限られる前提では、認知や接触を増やすだけでは届きにくいことが想像できます。どの状況でカテゴリーが立ち上がり、その入口で候補として呼び出されるかを設計する必要があります。

入口が増えると、思い出される機会が増える
想起されて候補に入れたとしても、入口で思い出される順番が後ろになるほど、その後の接触や説明で巻き返すための負荷が増えます。第一候補として想起されるブランドは、探索の起点になりやすく、情報収集の時間や比較の基準そのものを握りやすく、一方で後追いになるほど、既に立ち上がっている基準を覆す必要が出てきます。入口で上位に入れない状態は、提案やクリエイティブの出来とは別のところで不利を抱える状態です。
入口はニーズ起点で、比較の相手を決める
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)は、カテゴリーを想起するきっかけ、つまりニーズが起点になります。ニーズが発生したとき、そのニーズに応えられるという認識が形成されている商品やサービス同士で比較されます。ここが整理できると、入口で思い出される状態を狙って作りやすくなります。
大事なのは、入口が「便利そう」「良さそう」といった印象の話に落ちないことです。入口は、ニーズが発生する状況の言葉です。そして比較は、応えられると認識されているもの同士で起きます。入口と認識がつながっていなければ、入口が立ち上がっても比較の土台に上がれません。入口の設計は、結局のところ「どのニーズで想起されるか」と「そのニーズに応えられると認識されるか」をセットで扱うことになります。
「入口を増やす」と「まず絞る」は矛盾しない
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)は、最終的には入口を増やし、成長機会を広げていく方向に向かいますが、入口だけを増やしてもその入口で想起されない場合は投資が分散して終わります。
入口を増やすこと自体が目的になれば、入口ごとにメッセージが散らばり、接触の回数は増えても想起の蓄積が起きません。入口の数を増やす前に、まず勝てる入口を作ることが大切です。勝てる入口に資源を集中し、そこで思い出される状態を作ります。そのうえで入口を増やしていきます。
ここでいう「勝つ」は、派手な話ではありません。入口が立ち上がったときに、候補に入る。できれば上位に入る。少なくとも、入口と自社の結びつきが安定して立ち上がる。そうした状態を作ることです。入口を広げるのは、その安定ができてからの話になります。
カテゴリーエントリーポイント設計を実務に落とす手順
大切なのは、施策の種類を増やすことではなく、同じ入口に向けて揃えることです。第一想起の記事でも整理している通り、想起を狙うなら、設計の揃え方が効き方を左右します。入口が揃えば、何を増やし何を削るかの判断がしやすくなります。
Step1:カテゴリーエントリーポイント候補を棚卸しする
棚卸しは顧客側の条件で洗い出します。入口は接点で書かないことがポイントです。
場面として、いつどこで起きるか。目的として、何を達成したいか。制約として、時間や予算、失敗回避など。状態として、疲れている、急いでいる、家族がいるといった前提です。こうした条件で入口を並べていくと、施策の議論が「どこに出すか」から「どの状況を取りにいくか」へ移ります。
入口の粒度は、細かくしすぎると運用できず、粗すぎると施策が揃いません。最初は、社内の議論が揃う程度の粒度で十分です。入口を一文で書ける形に整えると、後工程が進みます。
Step2:入口の優先順位を決める
入口は「増やす」前に「選ぶ」ほうが先に来ます。判断軸は三つで足ります。
その入口は意思決定が強く動くか。そこで思い出される理由を作れるか。繰り返し出し続けられるか。入口を増やす前に、勝てる入口を作るほうへ寄せるのが安全です。
優先順位が決まると、どの入口に言葉と事例を集め、どの入口には今は投資しないかが明確になります。入口を絞るのは、市場を捨てるためではなく、入口の結びつきを作るための設計です。
Step3:入口ごとに思い出す理由を固定する
入口を決めたら、その状況で何を手がかりに思い出されるのかを揃えます。入口はニーズから立ち上がります。ニーズが発生したとき、人は候補をゼロから探し始めるのではなく、頭の中にある限られた選択肢を呼び出し、そこから比較を始めます。その呼び出しを起こすのが、思い出す理由です。
ここで揃えたいのは、その入口のニーズに対して、このブランドなら応えられると認識される状態まで含めて整えることです。たとえば同じ悩みでも、どのブランドが適していそうかという印象があらかじめできていれば、比較のテーブルに上がりやすくなります。逆に、入口の状況はあるのに、そこに結びつく認識が弱いと、接触していても候補として呼び出されにくいままになります。
揃える対象は、入口ごとに一貫して積み上げられるものです。入口と結びつく言い回しやキーワード、入口を想起させる具体例、見た瞬間にその状況を連想できる表現の型、約束する便益と他と混ざらない差分。これらを入口ごとに揃え、同じ形で繰り返し出せる状態にしていきます。
Step4:チャネルは入口の後に決める
入口が先で、チャネルが後です。入口の前後、その状況の直前直後に、どこで接触させるのが自然かを設計します。
チャネルから入ると、入口が「検索で見たとき」「SNSで見たとき」といった接点の言葉に引っ張られます。入口の言葉が崩れると、揃えるべきものが揃わなくなります。入口を起点にしてチャネルを選ぶと、接点が増えても設計が散りにくくなります。
Step5:入口別に測れる形にする
入口は思いつきで増やしても、運用で迷子になります。入口となる状況を提示し、そこでの想起を取れる設計にしておきます。そうすると、入口の選び方や揃え方が改善の対象として扱えるようになります。
想起の取り方として助成想起・純粋想起・第一想起などをどう扱うかは、第一想起白書の記事で整理しています。入口を測るときも、どの想起を見ているのかが曖昧だと判断がぶれます。入口の観測は、想起の指標とセットで設計するのが前提になります。
知っている状態から思い出す状態、さらに真っ先に思い浮かぶ状態へと移る道筋をデータで可視化し、第一想起が選択に与える影響と、想起を獲得するうえで押さえるべき点を整理しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、詳細をご覧ください。
BtoB(マーケティング支援会社)でのカテゴリーエントリーポイントの考え方
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)は消費財だけの話ではありません。BtoBでも検討が立ち上がる入口は、属性より状況に寄ります。たとえば、施策は回っているのに伸びが止まった。投資判断の説明責任を求められた。部門間で定義やデータ、プロセスが揃っていない。事業方針の転換で戦略と実行をつなぎ直したい。入口は、こうした状況で立ち上がります。
入口を一文で固定できると、提案やコンテンツの粒度が揃います。どの状況のための話なのかが明確になるので、事例の出し方も、図版の置き方も、セミナーのテーマ設計も、入口に向かって揃えられるようになります。結果として、場当たり的に増えがちな施策が、積み上がる設計に変わっていきます。
よくある失敗。カテゴリーエントリーポイントが機能しなくなるパターン
入口を施策名で書いてしまい、入口ではなく接点になっている。入口だけ増やして、入口ごとの想起が作れていない。入口とパーセプションがつながっておらず、応えられる認識がないので比較に入れない。どれも、入口の扱い方が曖昧なまま進めたときに起きやすい失敗です。
施策の種類を増やすこと自体は悪いことではありません。ただ、入口が揃っていないと、施策が増えた分だけメッセージが散り、何が積み上がっているのかが見えなくなります。入口を言語化し、入口ごとに揃え、測れる形にする。ここまで落とせると、施策の増減が戦略に沿ったものになります。
第一想起とカテゴリーエントリーポイントの関係。入口設計と想起設計は役割が異なる
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)は、検討が立ち上がる状況の入口を扱う概念です。一方で、入口で思い出される順位、つまり第一想起まで踏み込むと、議論は想起の設計に入っていきます。
落とし穴1:カテゴリーエントリーポイントが施策
になっている
「SNSで想起を取る」「動画で想起を取る」は入口ではありません。入口は状況条件です。入口が接点化すると、設計が崩れます。
落とし穴2:入口が多すぎて、想起資産が揃わない
入口を増やす議論が先行すると、メッセージが散ります。まず勝てる入口を1つ作り、固定してから横展開を検討します。
落とし穴3:助成想起(知名)だけを見て、純粋想起を見落とす
「知名=思い出される」ではありません。入口別に、純粋想起・想起集合・第一想起のどこで落ちているかを分けて見る必要があります。
落とし穴4:入口と「思い出す理由」がズレている
入口(状況)と便益(約束)がズレると、接触が増えても想起が積み上がりません。入口ごとに想起されるイメージが固定されるように整理します。
落とし穴5:観測できないKPIで運用してしまう
「ブランディングっぽいから測れない」状態に戻ると、短期指標だけに最適化されます。入口別の想起(純粋想起・第一想起)を測る設計を先に作ります。
「知っている(知名)」から「思い出す(純粋想起)」、そして「真っ先に思い浮かぶ(第一想起)」へと消費者がブランドを選ぶ道筋をデータで可視化。第一想起が選択に与える影響と想起獲得の重要性を整理した『第一想起白書2025』を公開しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、ぜひご確認ください。
戦略を運用に落とし込み、第一想起を積み上げる仕組みをつくります。
ブランド戦略の基本要素を整理、判断基準を揃え、第一想起の勝ち筋をつくります。
よくある質問
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カテゴリーエントリーポイント(CEPs)は多いほど良いのですか
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入口が増えるほど、想起される回数が増えやすいのは確かです。ただし入口が多くても想起されなければ負けが確定する、という前提があります。まず勝てる入口を作り、勝ち筋ができたら入口を増やす。この順序にすると実装しやすくなります。
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ターゲットやペルソナと何が違いますか
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ターゲットは誰に寄り、カテゴリーエントリーポイント(CEPs)はどんな状況で検討が立ち上がるかに寄ります。入口が揃うと、施策やメッセージを揃える判断がしやすくなります。
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カテゴリーエントリーポイント(CEPs)はどう見つければいいですか
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場面、目的、制約、状態のような条件で棚卸しし、入口を接点の名前で書かない。ここを守ると入口設計がぶれにくくなります。入口を一文で書ける形に整えると、社内の合意形成も進みます。
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カテゴリーエントリーポイント(CEPs)はどう測ればいいですか
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入口となる状況を提示し、その入口での想起を観測できる形にします。入口が曖昧なままだと測定も曖昧になります。想起の指標設計は第一想起白書の解説も参照してください。
知っている状態から思い出す状態、さらに真っ先に思い浮かぶ状態へと移る道筋をデータで可視化し、第一想起が選択に与える影響と、想起を獲得するうえで押さえるべき点を整理しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、詳細をご覧ください。
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