第一想起とは?思い浮かばなければ選ばれない理由と獲得方法を徹底解説【第一想起白書2025】
最終更新日:2026-02-10作成日:2026-01-30
「認知は取れているのに、なぜか指名されない」「広告を回しているのに候補に入っていない気がする」。そんな違和感は、施策の良し悪しより前に、買う瞬間に思い出されるかどうかのブランド想起の設計が抜けているときに起こりやすいものです。
当社トライバルメディアハウスが2026年1月に公開した消費者調査レポート『第一想起白書2025』では、生活者がブランドやサービスを選ぶプロセスを、知っている(知名)状態から思い出せる状態へ(純粋想起)、そして真っ先に思い浮かぶ状態(第一想起)へと整理しなおしました。ビール、ドライヤー、外食チェーンなど6カテゴリーについて、延べ6,000人のデータを分析し、見える形にしています。
この記事では『第一想起白書2025』の調査結果からみえた、第一想起の重要性についてまとめます。

無料でダウンロードできます。知っている状態から思い出す状態、さらに真っ先に思い浮かぶ状態へと移る道筋をデータで可視化し、第一想起が選択に与える影響と、想起を獲得するうえで押さえるべき点を整理しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、詳細をご覧ください。
第一想起とは
第一想起は、特定カテゴリーを思い浮かべたとき、最初に頭に思い浮かぶブランドやサービスのことです。たとえば「歯磨き粉といえば?」「外食チェーンといえば?」と聞かれたときに、いくつか候補が浮かぶ中で最初に出てくるものが第一想起に当たります。ここで重要なのは、第一想起を好意や人気の言い換えとして扱うとズレが発生します。
実務で見るべきは、第一想起は検討候補に入るための入口になっている点です。消費者が「買おう」「使おう」と思った瞬間に、ブランドやサービスがそもそも候補として思い出してもらえなければ比較検討の土俵に上がれません。
想起集合は意外と小さい。平均2個以下という前提
『第一想起白書2025(以下、本白書)』では、想起集合に入る、つまり純粋想起されるブランド数は平均2個以下だと示しています。最初に思い浮かんだ商品が選ばれる購入率は73.1%以上で、最初と3番目に浮かぶブランドではメイン利用率に最大 64.3ポイントの差がでる。選ぶ瞬間に想起集合へ入るブランドは2個以下。こうした結果が並びます。
知っているブランドやサービスは数多くあっても、実際に思い出される候補は極端に少ない。思い出される順番が変わるだけで、選ばれ方、とくにメイン利用が大きく変わる可能性があります。その少ない枠を取りにいく設計が、第一想起を軸にしたブランドマーケティングです。

第一想起が重要な理由
マーケティングコミュニケーションの役割は、メンタル・アベイラビリティ、つまり想起されやすさを高め、ブランドやサービスを「選びやすい状態」にすることにあります。

デジタル施策が増えた今、運用の現場ではCTRやCPAなどの短期指標に寄りやすく、「想起」という中間成果が埋もれがちです。ですが購買や利用の入口は、広告接触の総量だけで決まるわけではありません。いざという瞬間に思い出されるかどうかが、そのまま分岐点になります。
第一想起は、ふんわりしたブランディングの話として片付けるものでははなく、獲得施策の成果を持続させるための入口KPIとして扱える領域です。短期の獲得が伸びても、想起の入口が弱いと、次の買い替えや次の指名で取りこぼすことになります。

第一想起と関連用語を正しく理解する
第一想起と混同されやすいのが、「助成想起」「純粋想起」、そして「想起集合(Evoked Set)」です。これらは消費者の記憶の中での役割が違います。
純粋想起
ブランド名などの手がかりを一切出さずに、「このカテゴリーで思い浮かぶブランドは?」と聞かれたときに、自力で出てくる(想起される)状態です。この段階ではじめて、ブランドは消費者の記憶の中に引き出しとして入っている状態になります。助成想起が見ればわかる記憶だとすると、純粋想起は必要なときに思い出せる記憶です。
想起集合(Evoked Set)
純粋想起で挙がったブランドのうち、実際に比較・検討の対象として認識されているブランドを指します。消費者は市場にあるすべてのブランドを並べて比べているわけではなく、記憶お記憶の中から限られた数のブランドだけを思い浮かべ、その中で選びます。この段階に入っていないブランドは、どれだけ知名度が高くても検討されない状態になります。
第一想起
その想起集合の中で、真っ先に思い浮かぶブランドです。検討の起点になりやすく、比較の基準にもなりやすくなります。指名・選択にもつながりやすくなります。第一想起は、想起集合の中でもっとも有利なポジションです。

業務上の注意点として押さえておきたいのは、知名(助成想起)を取ったことが、そのまま思い出される(純粋想起)状態につながるとは限らないことです。業界やカテゴリーによっては、知っていはいても想起集合に入らない現象が起こります。助成想起から純粋想起へ、さらに想起集合へという移行が起きていない状況、と整理できます。
このズレが残ったままでは、現場では「広告は回っているのに成果が鈍い」「話題は出たのに指名が増えない」といった形で違和感が出てきます。見たいのは認知の量だけではありません。助成想起がどれだけ純粋想起に転換しているか、純粋想起の中で想起集合に入れているか、想起集合の中で第一想起をとれているか。段階ごとの構造を押さえることが、想起を起点に施策を設計するうえで欠かせません。
- 助成想起から純粋想起にどれだけ転換しているか
- 純粋想起の中で、想起集合に入れているか
- 想起集合の中で、第一想起をとれているか
第一想起を入口KPIとして定義し、運用できる形にする
第一想起は人気投票ではなく、購買や利用の入口に立っているかを示す指標です。測るときに大事なのは数を取ることではなく、どの段階で詰まっているのかを分解できる設計にすることです。
実務では、下記のセットでみていきます。
- 知名の土台として、名前を見聞きすれば「知っている」と言える人の広がりがあるか
- 何も手がかりがない状況でも候補として出てくるか
- 候補の中で最初の一つとして真っ先に思い出されるか
- 購入や利用、メイン利用、直近購入、検討といった成果に結びついているか
本白書では、知名、想起集合、第一想起という段階だけでなく、想起順位ごとの購入やメイン利用、直近購入、検討まで並べ、さらにカテゴリーで重視される価値やブランドイメージも整理しています。ここまで揃えると、思い出されると選ばれることがどこでつながっているのかを、推測ではなく構造として読み取れます。
第一想起を獲得するための戦略。ブランドマーケティングにおける2つの鍵
『第一想起白書2025』が第一想起獲得の鍵として挙げているのは、想起の細分化と想起のティッピング構造です。
1. 想起の細分化。誰にとっての第一想起かを決める
第一想起は、全員に対して一気に取りにいくほど難易度が上がるため、あるセグメントで一番になれる領域を決め、資源を集中することが有効です。ここでのセグメントは属性だけで切るより、状況や目的で切ったほうが設計しやすいことがあります。「○○したい時に」「○○な人にとって」といった状態です。
実務に落とすなら、ここはセグメントを「属性」だけで切らず、状況(シーン)や目的(ニーズ)で切る方が設計しやすいことが多いです。たとえば同じカテゴリーでも、「急いでいる時」「失敗したくない時」「自分へのご褒美」など、入口になる瞬間が違います。細分化とは、その入口をはっきりさせ、少なくてもその瞬間だけは一番に出る状態をつくることです。

2. 想起のティッピング構造。知名が一定水準を超えると、想起が伸びやすい
もうひとつの鍵が「ティッピング構造」です。知名が一定水準、具体的には60〜70%を超えると、純粋想起が伸びやすくなる構造を本白書では提示しました。
ここを押さえると投資判断が変わります。認知を積めば自然に想起も上がる、と単純化してしまうと、伸びない期間がムダに見えます。ティッピング構造に従えば、一定水準までは伸びが緩やかでも、そこを超えたところから純粋想起が伸びる局面があり得ます。だからこそ、どの地点を目指す投資なのかを明示して、施策を組む必要があります。閾値を超えにいくのか、細分化で一点突破するのか。選ぶべき道筋が変わります。

※出典:トライバルメディアハウス|第一想起白書2025
第一想起の設計を揃える
第一想起を狙うときの施策の考え方を、実装寄りに整理します。ここで大切なのは、施策の種類を増やすことではなく、同じ入口に向けて揃えることです。
広告は説明よりも「思い出す理由」を固定する
第一想起に効くのは、情報量の多さより、思い出すきっかけの一貫性です。細分化で定めた入口に対して、その瞬間はこのブランドだと連想できる状態を、反復で固定していきます。短期指標だけを追うと説明的なクリエイティブに寄りがちですが、短期最適化が進むほど想起が見落とされやすくなります。狙いが想起なら、クリエイティブの評価軸にも覚え方、つまり記憶の残り方を含めて設計しておきたいところです。
PR・話題化は認知獲得の先に「想起への変換」を置く
PRで一時的な接触量を稼いでも、思い出せなければ入口は取れません。PRの設計では、露出の量だけでなく、どの入口、誰の・どんな瞬間に紐づく文脈で露出するかを意識すると、細分化の戦略と噛み合います。
SNSはバズの一発より、入口の反復
拡散が注目されがちですが、SNSも同様でバスの一発より入口の反復が効きます。投稿のテーマや見せ方を狙う入口に寄せて統一し、思い出すきっかけを積み上げていきます。複数のプラットフォームを運用している企業ほど入口が散らばり想起効率が落ちるため、入口を揃える発想がかかせません。
まとめ|第一想起は検討候補への入口
第一想起は検討候補への入口です。想起集合が平均2個以下という前提に立つと、第一想起の獲得は知名度の延長ではなく、選択の瞬間に思い出される確率を上げる設計と捉え直せます。その設計は、想起の細分化とティッピング構造押さえることで組み立てやすくなります。
戦略を運用に落とし込み、第一想起を積み上げる仕組みをつくります。
ブランド戦略の基本要素を整理、判断基準を揃え、第一想起の勝ち筋をつくります。
よくある質問
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第一想起とは何ですか?
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第一想起は英語ではTop of Mindとも呼ばれ、特定の製品カテゴリーを思い浮かべたときに最初に頭に浮かぶブランドを指します。人気や好意の言い換えではなく、購買や利用の瞬間に検討候補である想起集合へ入るための入口として機能する点がポイントです。想起集合が小さいカテゴリーほど、この入口を取る価値は相対的に大きくなります。
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助成想起と純粋想起の違いは何ですか?
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助成想起は、ブランド名を提示されたときに知っていると答えられる状態で、知名に当たります。純粋想起は、何も提示されなくても自力でブランド名を思い出せる状態です。第一想起は純粋想起の中でも真っ先に思い浮かぶブランドに当たります。知っている人が多くても、思い出せる状態に転換しないケースがあるため、両者は分けて捉える必要があります。
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第一想起はどのように測定すればよいですか?
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提示ありの助成想起と、提示なしの純粋想起や第一想起に分けて把握するのが基本です。想起だけで終わらせず、購入や利用実績、メイン利用、直近購入、検討といった行動指標も合わせて見ると、第一想起がどの成果につながっているかが読み取りやすくなります。指名検索などのデジタル指標は補助線として使えますが、第一想起そのものの代替にはなりません。
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第一想起を高めるには、何から着手すべきですか?
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いきなり全員の第一想起を取りにいくより、誰のどんな状況の第一想起を取りにいくのかを先に決める方が現実的です。入口となる場面やニーズと結びつく思い出す理由を固定し、メッセージや見た目、言い回しといった想起資産を反復して積み上げていくことで、純粋想起から第一想起へ伸びやすくなります。
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ティッピング構造はどう扱えばいいですか?
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助成想起、つまり知名が一定水準、たとえば60〜70%に達すると、純粋想起が伸びやすい局面があるという考え方です。短期指標だけで投資判断すると伸びない期間をムダと誤解しやすいものの、狙いが閾値を超えることなら、助成想起から純粋想起への転換も併走で見ながら設計を続ける必要があります。一方で予算制約が強い場合は、先に想起の細分化で一点突破し、勝てる入口から広げていく方が筋が通ります。
「第一想起白書2025」ダウンロードについて
本白書(PDF)は、インフォグラフィックスで示した要点に加え、助成想起・純粋想起・想起集合・第一想起の測定結果や、購入や利用実績、メイン利用率、直近購入経験、購入検討、カテゴリーに求める価値、対象ブランドのイメージなどを整理しています。下記から無料でダウンロードできます。
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調査概要
- 目的:各業界やカテゴリーにおける「第一想起」ブランド、「ニーズ」や「デモグラフィック(年齢や性別などの属性)」のセグメントにおける想起を明らかにする
- 調査対象:ビール/ドライヤー/歯磨き粉/お茶(ペットボトル飲料)/住宅/外食チェーンの6カテゴリー
- 調査時期:2024年12月
- 公開:2026年1月
- 対象者:延べ6,000人(全国/男女/20〜69歳)
- 調査方法:インターネット調査
- 設問内容:助成想起・純粋想起・想起集合・第一想起/第一想起から第三想起のブランドの購入・利用実績やメイン利用率・直近の購入経験・購入の検討/対象カテゴリーに求める価値、対象ブランドのイメージ ほか
- 想定読者:下記のような方におすすめです
ブランド責任者/マーケ責任者/宣伝・PR/新規獲得担当 - 出典表記:「株式会社トライバルメディアハウス|第一想起白書2025」の掲載を条件に転載可
- 図表の改変は禁止
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ブランド戦略の基本要素を整理、判断基準を揃え、第一想起の勝ち筋をつくります。