ファンが多いブランドは? 20業界197ブランドを調査しました
今回は、トライバルメディアハウス(以下、トライバル)が実施している「熱狂ブランド調査 2019」の調査レポート公開に伴い、「熱狂ブランド調査」の目的や調査方法、顧客の熱狂度と売上の相関をはじめ、調査を行うことで得られた気づき、調査結果の活用方法をまとめました。
皆さんのブランドのマーケティング活動にどうぞご活用ください!
「熱狂ブランド調査」の考え方
トライバルでは、ファンマーケティングをベースとした独自のマーケティング手法「熱狂ブランドマーケティング」を2015年から提唱してきました。
これは、ブランドが顧客にとっての「最愛」ポジションを獲得することは、コスト(販促費や宣伝費など)を減らし、売上の増加(購入頻度と売上単価の増加)につながるため、最終的には持続的な競争優位が確立されるというものです(詳細記事はこちら)。この考えに基づき、トライバルでは
『熱狂度(ブランドに対する顧客の愛情の強さを測る独自指標)』
『推奨意向度(顧客のブランドへのロイヤルティを測定する指標)』
どちらも高まれば、顧客の消費量(=売上)も増加する
という仮説をたて、20カテゴリー(業界)約200ブランドを対象に「熱狂ブランド調査」と題した調査を2016年から行ってきました(実施年によって調査内容に変更あり)。
また、2019年は調査対象のカテゴリー(業界)と調査項目の見直しを行うとともに、ブランド名称を記載した調査データの販売も実施しました。
これまでの調査から得られたこと
前述の通り、熱狂ブランド調査の目的は
『熱狂度(ブランドに対する顧客の愛情の強さを測る独自指標)』
『推奨意向度(顧客のブランドへのロイヤルティを測定する指標)』
どちらも高まれば、顧客の消費量(=売上)も増加する
という仮説の証明です。そして、すでに2016~2017年の調査結果から顧客の熱狂度と売上には相関があることがわかっています。詳しい数値は簡易レポートから確認いただけますが、ここでは指標として設けている「熱狂度」と「推奨意向度」の測り方とサマリーを簡単にご紹介します。
調査内では、「熱狂度」が高く(4~5/High)、「推奨意向度」も高い(9~10)人を「熱狂的推奨者」と定義しています。
また、特に結果が顕著に表れているブランドでは、「推奨意向度」が高い人(推奨者)の「熱狂度」がMiddleからHigh(=熱狂的推奨者)になるだけで、一人あたりの年間消費量が1.4倍になるという結果も2017年の調査から得られました。
調査結果のサマリーは、2016年・2017年ともに変わりはありません。
仮説の証明はもちろんですが、サマリーの【2】からは高い熱狂度の伴っていない推奨者は、推奨意向度の数値がいくら高くても購買行動や推奨行動につながっておらず、熱狂度を高めていく必要があるということも分かりました。
2019年の熱狂ブランド調査について
今年はカテゴリーを見直し、「定額制音楽配信サービス」「デジタル一眼カメラ」を新たに含む20カテゴリー、197ブランドを対象に調査を行いました。
また、各ブランドについては過去の調査を踏襲しつつ、新しい質問項目を加えて以下3項目で調査しています。
(1)カテゴリーごとの熱狂者比率/熱狂的推奨者比率
カテゴリーごとに、熱狂者比率/熱狂的推奨者比率が比較できます。カテゴリーによって、ブランド間の熱狂者比率/熱狂的推奨者比率の平均値にバラツキがあることがわかります。
(2)ブランドごとの熱狂者/推奨者/熱狂的推奨者の顧客比率
縦軸を熱狂度(下から1~2/Low、3/Middle、4~5/High)、横軸を推奨意向度(左から0~6/批判者、7~8/中立者、9~10/推奨者)とし、9つに分けたマスで顧客比率の分布を表しています。右上のマスに位置する「熱狂的推奨者」数値が大きいほど、熱狂ブランドマーケティングの考え方においては競合優位性のあるブランドといえます。
(1)と同様、カテゴリーやブランドによって差があることがわかっています。
(3)ブランドごとの熱狂者特性と情報・消費行動
熱狂者の性格や行動、情報収集や消費行動において一定の特徴があるのではないかと仮定し、2019年に初めて調査した項目です。
すべてのブランドにおいて共通する特徴が見つかったわけではありませんが、カテゴリーごとあるいはブランドごとに共通する傾向は見つかっています。
調査結果の活用法①:熱狂的推奨者の比率比較
ここからは、調査結果をどのように活用することできるかをご紹介します。
熱狂ブランドマーケティングを検討する際、熱狂者/推奨者/熱狂的推奨者の顧客分布が競合とどのように異なるかによって、戦略の方向性も異なります。例えば、以下のような結果が出たブランドを比べてみましょう。バブルは、顧客数の割合を表しています。
ブランドAは、ブランドBに比べて右上に位置する顧客(熱狂的推奨者)が多いことがわかります。ブランドAのようにすでに多くの熱狂的推奨者を抱えているブランドは、今いる熱狂的な顧客の熱狂度を向上・維持させながら、熱狂的な顧客が持つ価値を活かすことにより競合他社に模倣されにくい戦略を講じやすくなります(熱狂的な顧客が持つ価値の紹介はこちら)。
熱狂的推奨者の比率が高いブランドが行っているマーケティング施策を紐解くことで、自社のマーケティング施策に活かせるヒントが見つかることもあります。
一方、ブランドBはどうでしょうか。ブランドAとは異なり熱狂度や推奨意向度が低い顧客が多いため、売上目標を達成するために投下される広告宣伝費・販促費などの比重がブランドAより多くなることが予想されます。
ブランドAが同様のコスト(広告宣伝費・販促費)を投下することも考えられますが、ブランドAは熱狂的なファン、つまり「真っ先にブランドAの商品・サービスを選んでくれる顧客」の割合が大きいため、ブランドBがブランドAに真っ向勝負を挑んでも消耗戦に陥るリスクが潜んでいます。
そのため、右上の熱狂的推奨者の比率を増やすための計画を中長期的な目線で立て、実行していく必要があります。
調査結果の活用法②:熱狂者の理解
ブランドの熱狂者を増やしていくためには、まず「どんな(自社ブランドの)熱狂者がいるのか」を知ることが重要です。また、その熱狂者にどんな特性があるのか知ることは、有効な打ち手を考える際に役立ちます。
ブランドに対して熱狂している人たちはさまざまな文脈でブランドと接し、そのブランドと過ごす時間に愛着を感じています。どういった情報・消費行動の特徴があるのか知っておくことで、その文脈を掴むヒントを得ることもできます。熱狂者を増やしていくため、そして熱狂者に喜ばれる施策を考えるためには熱狂者の理解がとても重要です(より正確に理解するためには、より踏み込んだインタビューの実施やミートアップの開催がオススメです)。
大切なのは、まず自分たちの現在地を把握すること
顧客の熱狂度や推奨意向度を維持・向上させながら、競合と差をつける戦略をとっていくべきか? あるいは熱狂度や推奨意向度を高める戦略をとって足元を固めるべきか?
貴重なリソース・費用をどのように投下すべきか判断するためには、まず実態の把握が必要です。顧客の購入頻度や推奨意向を調査するブランドは多くありますが、これらの指標に加えて推奨意向度・年間消費量(年間購入額)にも影響を与える「熱狂度」を一度計測してみることをオススメします。
トライバルでは、2019年の調査対象であるブランドのうち190ブランドの調査結果の販売を開始しました。特定のブランドの数値がわかるレポートやカテゴリー内すべてのブランドの数値がわかるレポート、全カテゴリー・全ブランドの数値がわかるレポートをご用意しています。
熱狂ブランド調査では、サンプル数の集めやすさやそのカテゴリー内に含まれるブランドの多彩さ、ブランド間の熱狂度の高低差などを踏まえて調査するカテゴリーとブランドを決定しています。
もちろん、この調査結果に含まれていないブランドの調査を実施することも可能です。興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください!
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