実績紹介

『E-lineマスク』売上の地図戦略プロジェクト|配荷で並ぶ最寄品を、「想起」で選ばれるブランドへ

伊藤忠リーテイルリンク株式会社

伊藤忠リーテイルリンク株式会社さまは、「施策を選ぶ上での根拠が薄い」という課題に対し、当社とともに『売上の地図』で売上の構造を見える化し、配荷(フィジカルアベイラビリティ)を押さえたうえで想起(メンタルアベイラビリティ)で選ばれるブランドづくりに取り組んでいます。伊藤忠リーテイルリンク株式会社 E-lineマスク マーケティングコミュニケーション担当の山本さまと、当社シニアコンサルタント・部長の小島に、広報が聞きました。

実績のポイント
  • 「根拠の薄い施策選定」の状態から、『売上の地図』で売上に関わる全変数の因果を一枚に整理し、構造で見える化
  • 複数のカスタマージャーニーを仮説化し定量調査で検証。配荷は前提としつつ、想起集合にほとんど入れていないと判明
  • POXの整理でコミュニケーション戦略の軸ができ、施策選定の軸を仕組み化。社内で再現できる状態づくりを継続中
(左:当社 小島、右:山本さま)

自己紹介|施策の現場から、戦略の工程へ

――まず、ご経歴を教えてください。

山本さま:2016年に伊藤忠商事の化学品部門に入り、一貫してリテール回りの仕事をしてきました。2024年12月に上海駐在から帰任して伊藤忠リーテイルリンクに着任し、ミッションのひとつがE-lineマスクのマーケティングコミュニケーション──施策全般の選定でした。マーケティングは駐在時代にデジタル領域を少しかじった程度で、ほぼ初心者からのスタートでした。

プロジェクトの背景|「診断」のないまま、施策を打っていた

──お取り組みを始める前、何にいちばん困っていたのでしょうか。

山本さま:いちばん困っていたのは、社内の施策選定に「軸」がなかったことです。御社がよく使われる医者のたとえで言うと、本来は「診断」があって、それに基づいて「薬」──マーケティングでいう施策──が処方される。ところが、その手前の「診断」がないまま施策を打っていた。だから、この施策で本当に正しいのか、という疑問がずっと消えなかったんです。

山本さまが気になるきっかけになった当社フレーム「診断と処方のマトリクス」

──マスクという商材ならではの事情もありますよね。

山本さま:マスクはコロナで一気に伸びたあと、いまは縮小傾向の市場です。そのため将来的には指名買いをしていただけるようなブランドにしたいという思いがありました。 そのなかで、オンラインと比べ店頭への配荷が比較的強いのが当社の特徴で、店頭でどう売上を伸ばすかが主要な論点。あわせてECモールでも伸ばしていきたい。縮小する市場で、長期的に売上を増やすにはどうするか──それを考える必要がありました。ただ当時は施策が先行しがちで、ブランドの「現在地」を定めきれていませんでした。生活者が何を求めているか、自社や競合がどう見られているか──その変数が整理される前に、施策を進めていた面があります。

トライバルメディアハウスを選定した理由|『つながる思考術』とMARPSから問い合わせへ

──当社をどう知り、なぜ声をかけてくださったのでしょうか。

山本さま:きっかけは、社内のスタッフが池田さんの書籍『つながる思考術』を貸してくれたことです。読んでみて考え方に惹かれ、その後MARPSにも参加して学びを深めました。学ぶほど自分たちの課題と重なっていって、最終的に御社へお問い合わせした、という流れです。

──発注までに、他社と比較検討はされましたか。

山本さま:何社かのお話をお伺いしましたが、御社の提唱される理論がしっかりしていたこと、そして自分たちが課題として感じている部分にまっすぐ届く内容だったこと。この2つがあったから、社内を説得することができました。

小島(当社):最初にお話を伺ったとき、すでに「施策はやっているのに、何が効いているか説明できない」という強い問題意識をお持ちでした。ですから当社は、すぐ施策のメニューを並べるのではなく、「本当に解くべき課題は何か」を一緒に確かめるところから入りました。

戦略の肝|配荷と想起を、同じ地図に乗せる

──具体的には、何をどう整理していったのでしょうか。

山本さま:前提として、ブランドの売上は右肩上がりではあったのですが、「「何が売上に効いているのか」を語れる共通の土台が、まだ整っていなかったことです。売れてはいたのですが、「なぜ売れているのか」は必ずしも明確ではなく、「安さで選ばれているのではないか」という見方もありました。

そこで、御社と一緒にブランドに関する仮説を立て、生活者調査を行い、売上に関わる全変数──人口、単価、配荷率、購入率、想起率、プレファレンス、パーセプションなど──の因果関係を、『売上の地図』で一枚に整理しました。売上をメンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティの掛け算として捉え直して、特に自分の持ち場であるメンタルアベイラビリティで、どんな訴求が効くのかを構造で見られるようにしたんです。

──配荷(フィジカル)は最寄品の生命線ですよね。

山本さま:はい、配荷は売上を伸ばす大前提です。営業部隊の努力もあって、配架自体は伸ばせていました。一方で想起の部分では、そもそも生活者の想起集合にほとんど入れていないことが分かりました。しかもおもしろかったのは、「安いから買っている」というコスパ面の想起も、POX(POP/POD/POF)で整理すると「POP」──競合も自社も提供できていて、差別化にならない価値──という結果だったことです。価格で選ばれているわけではありませんでした。一方でPODやPOFには、仮説どおりのものと、仮説とは違うものの両方が出てきて、そこから示唆を導いて、コミュニケーション戦略の軸ができました。

小島(当社):配荷というフィジカルの強さと、想起というメンタルの強さ。どちらかではなく、掛け算で売上が決まる。配荷が重要だからこそ、何で思い出されるブランドになるのかを、地図の上で同じ目線で見られるようにする。PODをどう定義するか、議論を重ねたのを、いまでも覚えています。

プロジェクト推進|仮説を往復し、部署をまたいで同じ地図で話す

──進めるなかで、当社との関わり方はいかがでしたか。

山本さま:小島さんがいくつもの仮説を立ててくれて、いろんな角度から検証していきました。一つの正解を外から渡されるのではなく、私たちの中から答えを引き出してくれる進め方です。定量調査の結果が、チームの土台になる「現在地」になった。部署の違うメンバーも入ってディスカッションでき、同じ地図の上で話せるようになったのも大きかったです。

小島(当社):当社の役割は、課題の定義から評価設計までを一本の線でつなぐ、ディスカッションパートナーであることです。伊藤忠リーテイルリンクさまの場合は、当社・側でたたき台を用意してお持ちし、それを土台に議論の場で深めていく形で進めました。その往復のなかで、部署をまたいだ共通言語が生まれていきました。

伴走がもたらしたもの|「根拠なき施策選定」からの脱却

──評価のしかたや、社内の判断はどう変わりましたか。

山本さま:『売上の地図』と定量調査で示唆を得て、コミュニケーション戦略ができました。その戦略に基づいて施策を選べるようになったので、当初いちばんの課題だった「根拠なき施策選定」は解決できたと考えています。加えて、POXが整理できたことで、弱みを補うための商品ラインナップの拡充──つまり商品戦略の面でも効果が出ました。これは当初想定していなかった、プラスオンの効果です。

小島(当社):成果を一度の施策で語らないことを大切にしています。共通言語と判断軸が組織に残り、定点で測り続けられる状態になっていく──その積み上げが、施策の結果よりも先に資産になっていくと考えています。

今後の展望|定点で測り、社内の再現性を上げる

──これから取り組みたいことを教えてください。

山本さま:ひとつは、想起の取り組みを定点で計測し続けること。もうひとつは、「ブランドを正しい方向で成長させるための施策の選び方」を仕組み化し、社内にインストールすることです。私だけが分かっているのではなく、メンバーの誰とでも同じ会話ができて、同じ考え方でプロジェクトを進められる。その状態をつくることが、想起施策と並ぶ、これからの大事なミッションだと思っています。

小島(当社):想起は短期で完成するものではありません。当社は、伊藤忠リーテイルリンクさまが自分たちで地図を使いこなし、測りながら意思決定できる状態になるまで、現在進行形に並走していきます。

トライバルメディアハウスの支援

このプロジェクトで当社が担ったのは、特定の施策を代行することではなく、売上が生まれる構造に立ち返り、配荷というフィジカルの強さに、想起というメンタルの強さを掛け合わせる設計でした。その想起が「安さ」では取れていないと見極めたうえで、何で選ばれるブランドになるかを、答えを渡すのではなくディスカッションパートナーとして一緒に描く。施策から逆算せず戦略起点で全体を設計し、社内に共通言語と再現可能な型を残す。当社が大切にしているのは、この進め方そのものです。同じように「配荷の先」をどう設計するか悩む方は、ぜひ一度ご相談ください。

※記事の情報は取材当時のものです。

スタッフリスト

  • 小島 駿
    小島 駿
    マーケティング戦略部 部長/シニアコンサルタント

    デジタル広告の代理店、大手総合広告代理店でのプランナーを経て、2021年当社に入社。100社以上のプランニングの経験を活かし、大手企業のコミュニケーション全体の戦略立案に携わる。 事業成長を目的に 、戦略策定からその後の支援まで継続的に支援できることが強み。NewsPicks主催『売上の地図』ブートキャンプ講師。

    共著: 「業界別マーケティングの地図」(日経BP)。メディア掲載:連載「想起の教科書 KGI・KPIの設計法」「想起の真実 ブランド戦略の羅針盤」「選ばれるブランドになる 想起の実践法」(日経クロストレンド)がある。

サービス

第一想起獲得戦略コンサルティング

戦略を運用に落とし込み、第一想起を積み上げる仕組みをつくります。

支援領域

貴社のマーケティング課題を特定し、解決に向けて併走いたします。

まずはお気軽にお問い合わせください

本ページでご紹介しているのは一例です。トライバルメディアハウスは、デジタルマーケティング領域での多くのご支援実績・知見を活かし、貴社のマーケティングを幅広く支援いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

Overview

クライアント
伊藤忠リーテイルリンク株式会社
業界
日用雑貨品
支援内容
売上構造の可視化を起点とした、想起を軸とするブランド戦略の設計への伴走

書籍情報・外部メディア出演

再現性のあるロジックを構築し、独自のナレッジとしてまとめた20冊以上の書籍を出版しています。外部メディア出演情報もご確認ください。

当社をもっと知りたい方へ

  • 私たちの特長

    施策から逆算せず戦略起点で全体を設計し、実行可能な判断基準に落とし込み成果まで推進します。

  • 支援領域

    戦略設計から実行や組織への定着までをPMOとして一気通貫で推進します。

  • メディア掲載情報

    現場で培ったナレッジやマーケティングの最新潮流を、メディアやイベントを通じて発信しています。

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