認知はあるのに売れない理由とは? 「知っている」と「思い出せる」の違い
最終更新日:2026-07-21作成日:2026-07-17
施策は打っているのに、売上に手応えがない。その原因の多くは、生活者に「思い出されているか」を診ていないことにあります。本記事では、認知と想起の違いから、なぜ思い出されやすさ(メンタルアベイラビリティ)が売上を左右するのかを解説します。
無料でダウンロードできます。生活者調査をもとに、自社ブランドが競合と比べてどれだけ「思い出されやすい状態」にあるのかを測定し、健康状態・重症度(ステージ)・改善計画までを「診断書」として提示します。売上と相関の強い「想起(メンタルアベイラビリティ)」を診ることで、売上が落ちる前──「黄信号」の段階で異変に気づくことができます。
施策は打っているのに、手応えがない
昨年と同じ予算で同じことをやっているのに、売上が下がってきた。最適化に取り組んでいるのにCPAの上昇が止まらない。動画広告もSNSもインフルエンサーも手がけているけれど、正直なところ何が効いているのかわからない。マーケティングの現場では、こうした感覚に心当たりのある方が少なくないのではないでしょうか。
ブランド価値調査に、単発の定量調査、自社で続けている定点観測——測る手立ては、ひととおりそろっている。それなのに、どの数字も「眺めて終わり」で、次の一手にはつながっていない。生活者調査は行っていても、競合に勝っているのか負けているのかはわからない。気づけば「で、それをやったらどのくらい売れるんだ」が、あらゆる施策検討の第一評価軸になっている。手応えのなさは、いつのまにか組織の空気にまでにじみ出てきます。
多くの原因は、「想起されているか」を診ていないこと
「選ばれる理由」を奪い合うゼロサムの時代
かつては市場全体が成長していたため、差別化やポジショニングによって多くのブランドが伸びることができました。いまは人口減と供給過多のなかで、限られた需要を競合と奪い合うゼロサムの時代です。同じパイを取り合う以上、「選ばれる理由」をどれだけ多くの生活者の頭の中に持っているかが、これまで以上に効いてきます。
短期獲得に偏ると回りはじめる、負のスパイラル
一方で多くの企業では目先の売上を追うあまり、短期の獲得施策へ予算が偏ってしまいがちです。ただ、獲得に偏るほどブランドが思い出される機会はかえって減っていきます。指名される力が弱まればCPAは悪化し、その改善のためにさらに短期獲得へ投資が傾く。こうして抜け出しにくい負のスパイラルが回りはじめます。

勝負は「ニーズが顕在化する前」に決まっている
そして見落とされがちなのが、勝負の多くは「ニーズが顕在化する前」にすでに始まっているという事実です。人は購入や利用の場面で、真っ先に思い出したブランドを選びやすくなります。あらかじめ想起集合に入っているか、とくに最初に思い浮かぶブランド(第一想起)になれているかが、最終的に選ばれる確率を大きく左右します。
当社の調査『第一想起白書2025』でも、歯磨き粉カテゴリーで第一想起されるブランドのメイン利用率は71.9%、第二想起では19.2%、第三想起では14.0%と、想起の順位とメイン利用率の強い結びつきが確認されています。顕在化した後の刈り取り競争に注力する前に、その手前で思い出される状態をつくれているか──ここを診ないまま施策を続けても、思ったような成果は感じづらくなります。
無料でダウンロードできます。知っている状態から思い出す状態、さらに真っ先に思い浮かぶ状態へと移る道筋をデータで可視化し、第一想起が選択に与える影響と、想起を獲得するうえで押さえるべき点を整理しました。消費者に選ばれるブランドを育てるヒントを得たい方は、詳細をご覧ください。
認知と想起は違う──知っていても、思い出せなければ選ばれない
ここで押さえておきたいのが、「認知」と「想起」は別物だということです。認知は、名前を見聞きして「知っている」状態。想起は、購買の場面で「思い出せる」状態です。生活者は買う瞬間、知っているブランドをすべて比較するわけではありません。その場でふと思い浮かんだ数個の中から選びます。
どれだけ広く名前を知られていても、その場面で思い出されなければ、選ばれる土俵にすら上がれません。認知の量だけでなく、その場面で思い出されるかどうかが、選ばれる確率を大きく左右します。

そもそも「思い出されやすさ」とは何か
長期的に売れ続ける力=メンタルアベイラビリティ
短期的な販促や値引きに頼らなくても、持続的・安定的に売れ続ける。その力の源泉になるのが、メンタルアベイラビリティ(思い出されやすさ)です。メンタルアベイラビリティとは、生活者が購買の場面でそのブランドを思い出しやすい状態のことを指します。目先の売上を積む力ではなく、長期的に利益を獲得し・維持する力の土台になります。
思い出されやすさは「広さ × 幅 × 深さ」で決まる
思い出されやすさは、「広さ×幅×深さ」の3つで捉えられます。
広さは、そのブランドを思い出せる人がどれだけ多いか。幅は、1人がいくつの場面で思い出すか。たとえば同じ飲料でも「朝に」「仕事の合間に」「運動のあとに」など、思い出される場面が多いほど、幅が広いといえます(この買うきっかけになる場面・ニーズを「CEPs=カテゴリーエントリーポイント」と呼びます)。深さは、その場面で何番目に思い出されるか。いちばん最初に思い浮かぶ状態(第一想起)が、もっとも深い状態です。
この3つがそろって高いほど、思い出されやすいブランドといえます。

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想起の不調は、静かに進行する
やっかいなのは、想起の不調が、初期のうちは売上やCPAに表れにくいことです。当社がご支援させていただいてきたケースでも、目立った兆候のないまま、少しずつ進んでいくのを数多く見てきました。
最初は気づかなくても、やがて特定の場面で競合に先を越されるようになり、CPA(新規のお客さまを1人獲得するためのコスト)がじわりと上がりはじめます。販促や値引きで補う場面が増え、そのまま時間が経つと、指名検索や指名買いが減り、量を売るために広告費がかさんで、利益率にも影響が出てきます。
想起の状態は、気づくのが遅れるほど、立て直しに時間がかかります。だからこそ、売上に表れる前の「黄信号」のうちに、小さな変化に気づいておくことに意味があります。

想起の現在地を「診る」という発想
思い出されやすさは感覚ではつかめません。だからこそ、生活者調査をもとに、自社が競合と比べてどれだけ思い出されやすい状態にあるかを測り、現在地を可視化することが第一歩になります。当社は、この考え方を「ブランドの健康診断」として、想起の現在地の測定から、狙うべき場面(CEPs)と改善の方向づけまでを一貫して支援するサービス『ブランド健康診断』として提供しています。
無料でダウンロードできます。生活者調査をもとに、自社ブランドが競合と比べてどれだけ「思い出されやすい状態」にあるのかを測定し、健康状態・重症度(ステージ)・改善計画までを「診断書」として提示します。売上と相関の強い「想起(メンタルアベイラビリティ)」を診ることで、売上が落ちる前──「黄信号」の段階で異変に気づくことができます。
なぜこの考え方が信頼できるのか——理論的根拠
この「思い出されやすさ=メンタルアベイラビリティ」という考え方は、同研究の権威であるアレンバーグ・バス研究所(バイロン・シャープ氏、ジェニー・ロマニウク氏)の『ブランディングの科学』を土台にしています。
そこに、2021年から当社が積み重ねてきたメンタルアベイラビリティの研究・実践と、独自フレームワーク『売上の地図』(日経BP)、「CEPsと想起の地図」を掛け合わせました。グローバルの理論をそのまま当てはめるのではなく、日本企業がすぐに使えるデータと示唆に落とし込んでいるのが、当社の視点です。
よくある質問
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なぜ認知度が高くても売上につながらないのですか?
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生活者は購入の場面で、知っているブランドすべてを比較するのではなく、その瞬間に思い出したいくつかのブランドの中から選ぶためです。名前を知られていても、購買のきっかけとなる場面(CEPs・カテゴリーエントリーポイント)で思い出されなければ、比較検討の候補に入ることができません。認知ではなく想起を診ることが、売上改善の出発点になります。
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メンタルアベイラビリティとは何ですか?
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メンタルアベイラビリティとは、生活者が購買の場面でそのブランドを思い出しやすい状態のことです。思い出されやすさは「想起の幅(いくつの場面で思い出されるか)×深さ(各場面でどれだけ強く思い出されるか)」で決まり、長期的に売れ続ける力の源泉になります。
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広告などの施策の効果測定とは、どう違うのですか?
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ブランド健康診断は、どの施策が効いたかを事後に特定する効果測定(アトリビューション)ではありません。売上に表れる前の先行指標である「想起の健康状態」で現在地を把握し、黄信号を早期に捉えるための診断です。施策と想起のつながりはKPIツリーで変数に分解し、再診での経時変化で追う設計です。
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想起を高めれば、それだけで売上は伸びますか?
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実際の売上は、思い出されやすさ(メンタルアベイラビリティ)と、買い求めやすさ(配荷・売り場・EC=フィジカルアベイラビリティ)の両輪で決まります。想起は取れているのに棚にない・買えないといったボトルネックがある場合は、配荷や売り場の打ち手を別軸として切り分ける必要があります。まずは想起の現在地を把握したうえで、どちらに課題があるかを見極めることが近道です。
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想起の重要性は、無形商材や生活者がメーカーを意識しにくいカテゴリー(金融など)でも当てはまりますか?
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CEPsは有形の商材に限らず、無形の金融商品などでも成立します。CEPは「生活者にそのカテゴリーのニーズが立ち上がる場面・きっかけ」を指すため、金融であれば「まとまったお金が入ったとき」「老後の生活資金が不安になったとき」などが該当します。生活者が企業や運用会社をあまり意識しないカテゴリーほど、ニーズが立ち上がった瞬間に真っ先に思い出される第一想起の重要性と、名前や色などで“それと分かる”手がかり(識別資産)の重要性が高まります。
まとめ|まずは「思い出されているか」を診ることから
売上が落ちてから慌てるのではなく、黄信号の段階で気づき、手を打つ。そのために、まずは貴社ブランドが生活者に「思い出されているか」を診ることから始めてみませんか。想起の現在地を可視化する『ブランド健康診断』の詳しい資料は、下記からご請求いただけます。
無料でダウンロードできます。生活者調査をもとに、自社ブランドが競合と比べてどれだけ「思い出されやすい状態」にあるのかを測定し、健康状態・重症度(ステージ)・改善計画までを「診断書」として提示します。売上と相関の強い「想起(メンタルアベイラビリティ)」を診ることで、売上が落ちる前──「黄信号」の段階で異変に気づくことができます。
戦略を運用に落とし込み、第一想起を積み上げる仕組みをつくります。
貴社のマーケティング課題を特定し、解決に向けて併走いたします。