実績紹介

eo配送用ボックス共創プロジェクト|無形のサービスに、熱狂は生まれるか。ユーザーとつくった「チーター箱」

株式会社オプテージ

インターネットサービスプロバイダーは、無形無色だ。食べ物や家電のように、手に取って品質を確かめることができない。使えて当たり前だからこそ、その価値は意識されにくく、UGCに繋がるような顧客接点が少ない。通信速度も付帯サービスも各社が似通うなかで、どうすれば「eoを選び続けたい」と思ってもらえるのか。

オプテージさまが当社とともに向き合ったのは、この問いでした。たどり着いたのが、機材を届ける「配送用ボックス」と、その開封体験。ユーザーのみなさまと一緒にアイデアを出し合い、生まれたのが「チーター箱」です。制作から3年が経ったいまも、この箱は使われ続けています。

株式会社オプテージ コンシューマ事業戦略部 CX戦略チームの豊川 貴大さまと、当社の松井、高野に、広報が聞きました。

実績のポイント

  • 無形無色のインターネットサービスにおいて、「熱狂者は存在するのか」の検証から、顧客接点の共創までを段階的に設計
  • ユーザーとのグループワークから生まれたアイデアを、実際に配送する「チーター箱」として形に
  • 一度きりのイベントで終わらせず、届くたびにブランドが思い出される資産へ。3年が経過したいまも継続して使用中で、デザイン・仕様への評価は9割以上が好意的

トライバルメディアハウスを選定した理由|「熱狂者はいるのか」から始まった

――今回のプロジェクトの前から、当社とはお付き合いがありました。あらためてご相談いただいた背景を教えてください。

豊川さま:最初は「eo光のコミュニティをつくりたい」というご相談からのスタートでした。その相談に対して御社からは、そもそもプロバイダーのサービスに熱狂的なファンはいるのか、クチコミは生まれるのか、という根本的なところから問いを立てていただいて。まずはそこを確かめましょう、と。御社が当社のことをよく理解してくださっていたこともあり、その問いかけには納得感がありました。それで、「そもそも熱狂者はいるのか」を確かめるリサーチから始めたのが、最初の取り組みです。

そこで熱狂者がいることは確認できましたので、では、そこからどう広げていくか。デザインの強みを生かした企画から戦略まで、一気通貫でご支援いただけるということでしたので、そのまま引き続きお願いすることで、当社もさらに広げていけるのではないかと考えました。それで、このチーター箱の取り組みもお願いさせていただいた、という流れになります。

――基盤ができたからこそ、次に進めた、ということでしょうか。

豊川さま:そうですね。しっかり基盤をつくっていただいたところから、さらに表現を入れていくために、十分お願いできるかなと思いました。それで、次のフェーズとしてご一緒させていただきました。

プロジェクトの背景|無形無色のサービスに、どう価値を感じてもらうか

――今回の取り組みで、解決したかった課題を教えてください。

豊川さま:当社が提供しているのはインターネットという、目に見えないものです。日常的にたくさん使っていただいているのですが、問題なく使えているとき、その価値は意識しづらい。意識する機会がどうしてもない、というのが根本の課題になっています。

他社も通信速度や付帯サービスが似ているなかで、eoを選びたい、使い続けたいと思っていただくために、どう違いをつくるか。日常の課題として感じていました。そのなかで、eoを長く使ってもらうためには、スペックだけではない部分を好きになってもらうことが重要だと感じたんです。だから、ユーザーのみなさまと一緒につくり上げた、ユーザーにとって体験が生まれるものをつくりたい。そう考えて、今回の取り組みを実施しました。

――当社は、その熱狂をどう捉えていたのでしょうか。

松井(当社):たとえばお菓子や自動車なら、味や乗り心地という具体的な体験があるから、生活者はそれについて語れるし、熱を持てる。熱狂の源泉はそこにあるというのが、私のベースの仮説でした。一方で、インターネットのプロバイダーは無形無色で、形がない。私も関西出身なのでeoのブランド自体は以前から知っていましたが、だからこそ「これは難しいぞ」と思ったんです。

ただ、長年愛され、利用されていて、関西圏で特に知名度の高いブランドであれば、何かしら熱狂のポイントがあるはずだ、と。最初は手探りから始まりました。そして第1回目のイベントを実施したとき、eoというブランドと、オプテージさまという会社に対して熱狂されている方が、実際にいらっしゃったんです。

その接点から、もう一段踏み込んで、eoに熱狂している方はどういう人なのか、何に対して熱狂しているのかを探る手段として、第2回目のイベントで顧客接点を一緒に創出しよう、という形になりました。

――結果として、どこに熱狂があったのでしょうか。

髙野(当社):オプテージさまで働かれている人や、会社としての企業の姿勢、取り組みに対してだろうと見ています。会社として、長く使っていただいているお客さまに対するさまざまなインセンティブの取り組みを、続けられていたんですね。

そういった場に参加されている方や、そこからサービスに対して物申したい、という熱量の高い方が一定数いらっしゃった。長く使っているからこそ、それに携わる人や企業に対して、自分との関係性を高めたい。そこがポイントだったのかなと思います。

狙いと設計|なぜ「箱」と「開封体験」だったのか

――パソコンなどでは、こだわった梱包で届く体験設計を見かけます。ただ、インターネットサービスの領域で「箱」に着目した例は、あまり見たことがありません。数ある接点のなかで、なぜ箱だったのでしょうか。

豊川さま:これは御社のおかげというところがあるのですが、いま「開封の儀(アンボクシング)」がSNSで流行っている、というご提案をいただきました。そういう体験が良かった、という調査結果もありましたので、今回はその開封の儀に着目してすすめることにしました。

――ワークショップは、テーマが決まっていない状態から始めたのでしょうか。

豊川さま:いえ、このアンボクシング体験をテーマにすることは決めていました。開封の儀をやりましょう、というところまでは固めたうえで、では具体的にどんな箱がいいのかを、みなさまと一緒に考えていただく形です。

――社内では、どう受け止められたのでしょうか。

豊川さま:当社としては、まずお客さまと初めて一緒につくり上げていくものになるので、確実に形にしたいところに重きを置いていました。ユーザーの皆さんとデザインのアイデアまで作り上げた後は、プロにデザインや制作・製造を依頼できる座組も用意できました。スピード感が出せるところを重視してすすめ、承認いただいた、という形です。

――今回は「SNSがある世の中」を前提にした設計だったと伺いました。

豊川さま:いまはSNSで拡散されることで、ブランドのイメージが広がっていきます。とはいえ、受け取った箱をわざわざ投稿しようと思うのは、相当に良い体験だったときに限られます。

ですから、お客さまが「この箱いいな」と思って上げてくださるくらいの体験を重視したい。そこから、SNSに発信するところまでの設計を意識して考えました。そうすることで、周囲の方にも知っていただけるものになるかなと。

共創の設計|誰と一緒につくるかを、仮説から決める

――共創のメンバーは、自社アプリと会員組織から募集されました。

豊川さま:ここは非常に悩みました。そもそも熱狂者がいることは確認できていたのですが、では、どういう層が熱狂者なのか。そこは当社もはっきりとは言えなかったので、過去のアンケート結果や、お客さまの契約年数といったところから、仮説をもとに選定させていただきました。

――当日は、どんなワークだったのでしょうか。

松井(当社):まず「ワクワクする箱のモノサシ」を考えるワークから始めました。事務局が持参した約70種類の箱を会場に並べて、直感でワクワクする箱を選んでいただく。デザインや質感、開封したときの驚き、捨てずに再利用できるか、誰かに伝えたくなるか。参加者のみなさまがそれぞれ違った視点で選び、評価し、発表されていました。

そのうえで、実際の配送用ボックスを見ながら、改善アイデアを考えるワークへ進みました。

――当日の進め方で、当社から工夫した点はありますか。

豊川さま:当日のワークに至るまで、細かくコミュニケーションを取らせていただきました。そのなかで、箱の設計は難しいのではないか、という懸念を当社からお伝えしていたんです。そうしたら「ここはグラフィックレコーダーをお呼びするので大丈夫です」と。御社との取り組みは、課題に対して毎回きちんと解決策をお持ちいただいたので、すごくやりやすかったです。

グラフィックレコーダーの方には、参加者の似顔絵から、グループワークで出た意見、箱の外観イメージや構造まで、その場で絵や図にまとめていただきました。

成果|3つのグループの意見が、1つの箱になった

――「チーター箱」は、どのように生まれたのでしょうか。

豊川さま:今回は3つのグループに分けて実施しました。各グループから、さまざまな要素が出てきたんです。箱の中に説明書を入れたほうがいいのではないか、メッセージや思いを書いたらいいのではないか、デザインはイエローのブランドカラーがいいのではないか。

グループごとに違う案ではあったのですが、それぞれの要素をかいつまんで編集して、「 チーター」という要素を使うのがいちばん近いのではないかという結論にいたり、チーター箱に落ち着きました。ユーザーのみなさまから出たご意見を、集約した形の結果です。

松井(当社):チーターに直接つながるアイデアが当日出た、というよりは、その種を豊川さまたちが解釈してくださって、最後は外部のダンボール設計のデザイン会社さんにも協力いただきながら仕立てた、というのが実際のところです。

――でき上がったときは、いかがでしたか。

豊川さま:最初にでき上がったときは、いいものができた、と。その過程で、多少目が変わるだけで印象も変わるようなデザインだったので、そこを工夫しながら何度もデザインをやり取りして、最終的にワークで出た要素を全部詰め込んだものをつくり上げました。

――ユーザーのみなさまからの反響はいかがでしたか。

豊川さま:アンケートを取らせていただいているのですが、デザインや仕様の評価について、9割以上の方が「良い」と評価してくださっています。すごく印象がいいのかな、と。

そして、この箱は現在も継続して使っています。

イベントは一日で終わります。けれど、そこから生まれた箱は、新しいお申し込みがあるたびにお客さまのもとへ届く。その回数だけ、eoというブランドに触れていただく機会が生まれているということでもあります。

今後の展望|体験を、増やしていきたい

――今後の取り組みについて教えてください。

豊川さま:この箱を今後さらに改良していく予定はいまのところなく、継続評価という形になります。ただ、こういった体験をお客さまに与えられるところは、どんどん増やしていきたいと思っていますので、体験という観点は拡大させていきたいと思っています。

トライバルメディアハウスの支援

このプロジェクトで当社が担ったのは、施策を代行することではありません。まず「無形のサービスに熱狂は生まれるのか」という問いの検証から入りました。熱狂の所在が確かめられたら、次はその方たちと一緒に形をつくる場を設計する。誰に来ていただくかの条件設計、当日のワークの組み立て、意見が発散しないための進行の工夫、そして出てきた種をアイデアとして仕立てるところまで。この一連を、段階を分けて実行までリードしています。

そして当社が大切にしているのは、共創をその場で終わらせないことです。イベントは一日で終わりますが、そこから生まれたものが日常のなかで繰り返しお客さまに届けば、その回数だけブランドが思い出される機会になります。長く使える資産をつくるところまでを見て設計する。それが、当社の考える共創の形です。

「サービスの違いが伝わりにくい」「お客さまと一緒に何かをつくりたいが、進め方が分からない」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

※記事の情報は取材当時のものです。

Overview

クライアント:株式会社オプテージ
業界:通信/プロジェクト:共創施策(プロダクト・アイデア協働)
支援期間:2023年12月〜2024年3月
支援内容:ユーザー共創の企画設計から、集客条件・参加アンケートの設計、当日のファシリテーション、アイデアの形化までの伴走

スタッフリスト

松井勝彦(PM・企画・当日進行)
高野賢治(ディレクター) 

支援領域

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クライアント
株式会社オプテージ
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情報・通信

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