消費トレンドに影響を与える2つのクチコミとは? ソーシャル文化研究所を設立しました

はじめまして、トライバルメディアハウス(以下、トライバル)の佐野と申します。
このたび、「ソーシャル文化研究所」を立ち上げました。

本記事ではソーシャル文化研究所の研究内容だけでなく、消費トレンドに影響を与える2つのクチコミと、研究所の名前にもなっている「ソーシャル文化」が何を指しているのかについてご説明します。

ソーシャル文化研究所とは?

ソーシャル文化研究所(以下、ソー文研)の主な活動は、ソーシャルメディアにおける消費トレンドや文化を読み解き、クチコミがどのように企業マーケティングに貢献しているかを研究することです。

昨今、いわゆるヒット商品やロングセラー商品と呼ばれるものには、少なからずソーシャルメディアによるクチコミが売上に影響していると考えています。

ソー文研は、ソーシャルメディアのクチコミによって可視化された消費者の思考や行動を調査して、文化形成プロセス(トレンドのきっかけから話題化、衰退するまでの流れ)を深掘りします。研究を通じて、ソーシャルメディアマーケティングのノウハウを蓄積し、マーケターの皆さんに提供していきます。

タピオカがブームで終わらず、いまも売れ続ける理由

例えば、2019年に大ヒットしたタピオカ。

一時期のブームは去ったと言われていますが、X(旧Twitter)では2020年4月にタピオカに関する投稿が月間50万件以上ツイートされ、もはや文化として定着していると言えます。

【参考】2020年4月のタピオカ、食パン、カップ麺のクチコミ件数推移
タピオカのクチコミ件数は約53万件。比較するのは、同じく去年ブームになった「高級食パン」の約35万件、コロナ禍で需要が急増した「カップ麺」の22万件です。タピオカの根強い人気がうかがえます(出所:ブームリサーチ)。

定着したモノやサービスは市場に残り、クチコミされ続けます。このクチコミが企業やブランドと消費者の接点を増やし、認知・想起率を高めて人気を維持します。

消費トレンドに影響を与える2つのクチコミ

ソー文研はタピオカのような消費トレンドを分析するうえで、クチコミを2つに分類しました。

1つは「食べたよ!」「美味しい!」「かわいい!」もしくは「飽きた」といった内容に関する「消費トレンド投稿」、もう1つは「タピ会したよ!」「タピる」などこれまでになかった思考や行動に関する「ソーシャル文化投稿」です。

前者の「消費トレンド投稿」は『モノやサービスの購入意向や気持ち、購入後の使用感に関するクチコミ』を指し、定量的に把握することでそれらがいかに市場に出まわり、世の中に浸透しているかということが分かります。

▼タピオカを飲んだ報告投稿

https://twitter.com/aya_rin_a/status/1264477960070852608?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1264477960070852608%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.tribalmedia.co.jp%2Fn%2Fn5e223dc62dad

なかにはネガティブなクチコミも存在しますが、そういったクチコミも含めて消費トレンドの規模を推し量れると考えます。「消費トレンド投稿」が多いとうことは、みんなが興味・関心を持っている、よく売れていると解釈できます。

後者の「ソーシャル文化投稿」は、ソー文研が特に重視しているクチコミです。

「消費トレンド投稿」が市場定着に繋がるクチコミであれば、「ソーシャル文化投稿」はモノやサービスが消費者の手に渡り利用されていくなかで発される『これまでにない視点や価値観、行動などが可視化されたクチコミ』です。より定性的に把握することで、これまでになかった思考や行動、価値観などが分かります。

これらのクチコミが大きな共感を得ることで、それまで無関心だった人の気持ちを動かしたり真似したりする人が増えて、モノ・サービスの売上に影響を与えます。

市場への定着・トレンド化を可視化する「消費トレンド投稿」と、これまでに無いクチコミを可視化する「ソーシャル文化投稿」。
いずれも興味喚起や購買意欲を促進して、「タピオカ飲みたい!」「私もタピ会したい!」「久しぶりにタピオカ飲みたくなってきた!」といった『クチコミ創出サイクル』をつくります。

企業やブランドがこの先も生き残るには、このサイクルで情報流通量を絶やさないことが重要です。

トレンドを終わらない文化へ

さて、最後に「文化」について述べておきます。

前述したとおり、クチコミは人の思考や行動が可視化されたものです。「欲しい」「買った」「使った」「この商品最高!」、もしくは「こう思った」「こんなふうに使ってみた」。タピオカでいえば、いまもこのようなクチコミがされ続けています。

私たちは、これらのクチコミによって世の中が動き、人の思考や行動が波及して習慣化していく流れを、ソーシャルメディアが生む文化(ソーシャル文化)と捉えています。

この文化はソーシャルメディアがなければ可視化されず、もしかしたら世の中に現れなかったことかもしれません。文化として定着した消費トレンドは長く市場に残り、私たちの暮らしを豊かにし続けるのです。

ソー文研の活動テーマは「ソーシャルメディアで可視化された消費トレンドを読み解く」です。読者の皆さんは、ソー文研の記事で各トレンドの定量・定性について知るだけでなく、その内容や変化を見据えるなかで価値の高いマーケティング活動のヒントを得ることができます。

内容はソーシャルメディアマーケティングに分類されますが、マーケティングコミュニケーションのヒントだけでなく、商品開発などにも役立てることができると思っています。

次回からは、特定の製品やサービス、カテゴリーに着目し、トレンドの成り立ちや文化として消費者にどんな影響を与えてるのかを分析します。どうぞご期待ください!

夫婦関係の改善にも? ロボット掃除機「ルンバ」の消費トレンドを読み解く

皆さんこんにちは。ソーシャル文化研究所(以下、ソー文研)の佐野です。いよいよスタートするソー文研のnoteですが、世の中…

メンバー紹介

ソー文研は、所長の佐野と文化観測員の鈴木の2名でスタートします。これからも、どうぞよろしくお願いします!

佐野 高久(さの たかひさ)
ソー文研 所長。広告会社やPR会社でコミュニケーションプランナーとして従事した後、2019年12月にトライバルへ入社。現在プランナーチームのサブリーダーとしてSNSを基軸としたプロモーションやファンイベント、PRなどの戦略策定や施策のプランニングを担当。
@tkhs0510

鈴木 崇太(すずき そうた)
ソー文研 文化観測士。制作会社にてプロモーション・イベントのディレクションを経験後、 2011年にトライバルへ入社。SNSを基軸とした企業のコミュニケーション設計に従事する。SNSと街の観察に基づく「生活者の気持ちに寄り添った」企画の設計を得意とし、2018年には「ポッキー&プリッツの日」のプロモーション施策であるTikTokキャンペーン「#ポッキー何本分体操」を手がけた。
@suzukinosonzai

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