2015/06/22

様々な企業の共創マーケティングにコアファンが協力!共創コミュニティ「オレンジページ サロンWEB」

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※本記事は、当社共創マーケティング部 宮本昌尚によるMarkeZineへの寄稿記事を、MarkeZine編集部許諾の元、転載しています


注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介する本連載。今回は雑誌『オレンジページ』が始めた「オレンジページ サロンWEB」を紹介します。『オレンジページ』を通じて醸成してきたコアファンが集まり、雑誌にとって広告主である様々な企業の共創マーケティングに読者が協力しています。

 

生活者の理解は調査部だけの仕事ではない

今回は、共創コミュニティが他社とコミュニティ会員のハブとなっている事例をご紹介します。『オレンジページ』は、2015年6月に創刊30周年を迎える人気雑誌です。「女性の購買行動に影響を与える雑誌」の調査で1位を獲得するなど、既に読者と良好な関係を築いています。2015年3月には新たな試みとして「オレンジページ サロンWEB」(以下、サロンWEB)をスタートしました。5月末時点で2,500名以上の会員が集まり、密度の濃いコミュニケーションの場所となっています。

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オレンジページ サロンWEB

同サイトは、リアルタイムに消費者の声を聞き、双方向で意見を取り入れることを目的としています。さらに、読者の関心にマッチする他の様々な企業とのコラボによるオンライン/オフラインの企画も実施されており、企業と消費者をつなぐ場所としての期待も高まっています。今回はサロンWEBのコミュニティを運営する髙谷朋子氏にコミュニティ誕生の背景と取り組みをうかがいました。

――オレンジページでは、創刊当初からアンケートや座談会、イベントなどの形で読者と対話する機会を用意されています。今回、さらにオンラインの場でコミュニティを作った理由は何でしょうか?

髙谷氏:読者とのつながり方は、時代とともに電話、郵便、メール、そしてネット上のアンケートと変わってきています。この変化の中で、読者からの声を受けて返すというキャッチボールがどんどん速くなってきている。オンラインのコミュニティは、レスポンスが一番早く肌感があります。

また、これまで読者から「自分たちの声がどう活用されているのか」「アンケートの結果はどうなったのか」と訊ねられることが何度もありました。もちろん、いただいた声はすべて目を通して、適宜誌面に反映しています。ですが、ここを改善しましたとは明言していなかった。そのため、読者の立場からすると自分の声が役に立っていることを、実感できなかったのだと思います。

そこで、オレンジページのコアな読者の声を活かす場を用意して、当社の力になってもらいたい。読者に声が活かされていると感じてもらいたい、というのがサロンWEBの出発点です。

さらにもう一つ、視点があります。オレンジページの読者は、アンケートの自由回答欄に、ご意見をびっしりと書いてくださるかたが多いのです。また、企業に対しても、意見を伝えたいと考えているかたが多い傾向にあります。私たちは読者とはそういうものだと思っていたのですが、雑誌広告クライアントと話す中で、それがとても稀有で価値あることだと気づきました。ここ数年は、クライアント企業から広告出稿案件以外で、読者座談会やモニターに協力を依頼されることも増えてきました。

このような経緯から、オレンジページは読者と企業を直接つなぐこともできるのではないか。企業と生活者がお互いに思いを伝え合える場があれば、双方ともハッピーになれるのではないかということで、共創コミュニティを企画しました。

150622_image02.jpg 株式会社オレンジページ メディア事業部 マネジャー くらし予報担当
髙谷朋子氏

 

オレンジページと読者を結ぶ価値観

――なぜ会員の方はアンケートに答えてくれるのでしょうか

髙谷氏:以前、アンケートでモニターをする理由について聞いたことがあります。結果、「アンケートに答えていると自分が何をしたいかがわかる」「自分の声がオレンジページで発信されて企業や社会の役に立つとうれしい」という声をいただきました。

「人の役に立つ」というのは、オレンジページのベースとなっている価値観でもあります。家事や料理のちょっとしたアイディアやヒントを情報として誌面に出すことで、誰かの役に立ちますよね。そんな雑誌の価値観に賛同していただけるかたが、読者になってくれている。ですから、オレンジページに対しても、声をくださるのだと思います。

――これまで、読者とはどのような関わり方をしていたのですか?

髙谷氏:例えば、『オレンジページ』で毎号実施しているアンケートに、「誌面のとおりに作ったのに、うまくできなかった」というような意見があると、そのかたに直接電話してお話をうかがってきました。直接話すことで、最後には満足されて「ありがとう」と言っていただけます。

この話をすると驚かれるかたも多いです。ですが「困っている人を助ける、聞かれたら答える」というのは、私たちにとっては当たり前のことです。読者もそこに共感してくれていると考えています。

 

企業と読者をつなぐサロンWEB

――企業がサロンWEBのコミュニティを活用して、共創マーケティングに取り組む事例も進行していると伺いました

髙谷氏:花王さんの企画で「新商品発表会」というイベントを行いました。イベントの前後に参加者にはコミュニティ内で、トークとアンケートに参加してもらいました。さらにイベントレポートをコミュニティで報告して、参加されなかったかたにも商品のサンプルを送り、使った感想をコメント投稿してもらう、という流れになっています。

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新商品発表会の様子

イベントに参加した花王の担当者さんも、参加者のコミュニケーション能力の高さに驚き、生活者の反応を直に聞ける機会を喜ばれていました。また、サンプル応募には460件以上の応募がありました。応募者のコメントは、イベントレポートをよく読んでおられること、新商品に関心を持たれていることが伝わるものばかりでした。他人の体験を読むだけでなく、自分も体験できることへの期待を感じました。

中には「イベントに友だちが参加してすごくよいというので、使ってみたい」というコメントもありました。参加者が他の人に伝えるという流れが自然に生まれていて、PVなどでは測定できない質のよい共感が生まれています。

他にも調味料のモニターの企画も動いています。その企業は、ある調味料のコンセプトを「こだわり」にするか「簡便」にするかで迷っています。ですから、サロンWEB内で会員にアンケート調査をしています。

アンケートは自由回答や、実際に作った料理をアップしてもらうといったハードルの高い調査です。ですが先ほどご説明したとおり、『オレンジページ』の読者が回答者なので、非常に質のよい回答が返ってきています。

――『オレンジページ』読者ならではの属性、回答などが企業モニターの企画とマッチしているのですね

髙谷氏:仰るとおりです。現在一緒に取り組みを進めているのは、いわゆる雑誌広告クライアントである大企業や有名メーカーです。今後は、自社でマーケティングリサーチができない中小メーカーと、一緒に商品開発をするというような施策の可能性も感じています。

また、7月からはマスターカードと提携し、法人カード会員向けにマーケティング支援をする「ビジネス・アシスト」に参加する予定です。出版社のノウハウやスキルを活用し、サロンWEBを含む「くらし予報」のマーケティング支援サービスを、これまで、雑誌への広告出稿とはご縁のなかった企業にも広く活用いただけるようになると考えています。

――雑誌から離れるという点に不安はありませんでしたか?

髙谷氏:出版業界において「雑誌」の販売部数は17年連続で減少しています。このような環境下で、出版事業以外の事業の創出を積極的に展開することが求められています。その一環が、サロンWEBを通じたBtoB( toC)ビジネスの推進だと考えています。不安がないと言えばうそになりますが、読者から離れるわけではなく、より、深くかかわる場を設けることで、自社ブランドの強化にも繋がり、紙の刊行物だけでない広がりにつながることを期待しています。

 

社内の説得するためには、小さな成功の積み重ねを

――共創マーケティングを開始するにあたって、社内の反応や期待度はいかがでしたか?

髙谷氏:以前、農林水産省のプロジェクトで長期間にわたって、ワークショップ、MROC(マーケティングリサーチのためのクローズドコミュニティのこと)、実食イベント、誌面タイアップを組み合わせた施策を行ったことがあります。その時はサロンWEBがなかったのでMROCを使ったのですが、読者モニターの皆さんは抵抗なくコメントをしてくれました。

このプロジェクトを成功事例にできたので、社内の説得材料にしました。メリットとして、当社のクライアント企業が『オレンジページ』の読者をターゲットにマーケティングができる点も、社内へのアピールになりました。

――コミュニティ開設前にパイロットプロジェクトで成功事例を作っておいたというわけですね、素晴らしい計画だと思います。サロンWEBでの共創企画は誌面ではなく、読者の協力を活かした施策です。コミュニティ構築に向けて、その後、どのようなステップがありましたか?

髙谷氏:コミュニティを立ち上げる前に、読者に対してライフスタイル全般についての意識調査を実施しました。私たちのお客様がどのような方々で、どのような価値観を持っているのかを把握したかったのです。おかげで読者像を確認できて、社内に共有できました。

これまでも「オレンジページの読者はこんな人だよね」という、ぼんやりとした共通イメージはありました。ですが、調査を通して当たり前と思っていることを、数字や形にすることは非常に重要だと改めて感じました。「料理が好き」とはどういうことなのか、読者はどこに価値を置いて生活しているのか、ということが具体的になり、読者像を大きく6つのパターンに分類することができました。

また、自分たちでクラスタ分析を行ったのですが、この分類は不変ではなく可変のものだということも分かりました。高度な分析は調査会社に依頼する必要がありますが、声なり数値なりに最後は自分たちが向き合わないとわからないと実感しましたね。

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どのような価値観の人が読んでいるのか、向き合う必要がある

 

主役は会員、生活が楽しくなる場所を目指す

――サロンWEBについて、社内の反応はいかがですか?

髙谷氏:編集部では、コミュニティの意見を活かした雑誌の企画づくりが始まっています。編集長もコミュニティの反応に期待しています。リアルな読者の声が集まることで、自分たちが発信している雑誌が、どのように受け止められているかを知ることができますので。

――最後に、今後はどのような展開をお考えなのか教えてください

髙谷氏:オレンジページのコミュニティには、生活者の声が集まっています。企業が何かを調査したい時に頼ってもらえるような、生活者と企業が一緒に様々なことを考えられる場所にしたいです。自社コミュニティを持っている企業でも、当社のコミュニティをセカンドオピニオンとして活用していただけるといいですね。

もちろん、主役は集まっていただいた会員です。読者にとって、ここに来たら生活や暮らしが楽しくなるヒントがもらえる。自分の声を発信する達成感、企業や社会に貢献できるやりがい、生きがいを感じて、幸せになれるという場所にしたいです。

オレンジページは、読者がちょっと手を伸ばせば届くような生活、ステキになるノウハウを発信してきたコンテンツ力、消費者の心に届く変換力があります。それをコミュニティでも、もっと出していきたいです。

また企業が伝えたいことをオレンジページを通して発信するという、触媒としての役割もあると考えています。つまり、企業からのメッセージをオレンジページ読者の言葉に変えることができれば、読者と類似した生活者層に伝わるメッセージを作ることができるでしょう。コミュニティは始まったばかりですが、読者がついてきてくれているという実感があります。ですから、まずは少しずつ実績を作っていきたいですね。

  

コアファンの育成から活用へ

オレンジページの場合、読者との関係構築をこれまで地道にやって来た素地があり、それがコミュニティ内で活躍するコアファンを育成してきたと言えます。また、取材を通して、オレンジページ社自体の組織文化にも「読者とともに歩む」という文化が醸成されているように感じました。

このように育成してきたコアファンを自社の資産としてコミュニティでまとめ、他社の共創マーケティングのプラットフォームとして、企業とコアファンのWin-Winの関係を作る事例は今後増えてくると思います。

加えて、感心したのは社内説得のプロセスです。共創コミュニティの構築は、どの会社でも社内説得に時間がかかります。髙谷氏はワークショップやMROCを事前に実施し、小さな成功体験を積み重ねて、社内を巻き込んでいきました。このプロセスは、多くの企業でも参考になるのではないでしょうか?

  


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