2014/12/04

自社で共創マーケティングに取り組むには?戦略策定ステップを紹介

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※本記事は、当社共創マーケティング部 宮本昌尚によるMarkeZineへの寄稿記事を、MarkeZine編集部許諾の元、転載しています


注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介する本連載。3回目は自社で実際に取り組む際に必要な戦略の立て方を解説します。

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前回は西友「みなさまのお墨付き」の事例を紹介しました。こちらの記事を読んで、「これって、プライベートブランドだからこそ取れる戦略だよね」と思った方もいるでしょう。では、自社の共創マーケティングの戦略はどのように考えればよいのでしょうか?今回は、共創マーケティングならではの戦略の考え方を紹介します。
 

目次

 

4つの戦略策定ステップ

共創マーケティングの特徴は、自社だけで完結するのではなく、協力してくれる参加者と共に取り組むことでプロジェクトを成功に導く点です。このため、参加者や生活者にとっての価値を考えることが重要です。

下の図を見ながら考えてみましょう。共創マーケティングの戦略策定ステップは自社の立場と参加者(生活者)の立場の両方から考えます。戦略を考えるステップは4つです。「(1)顧客ベネフィットを満たすブランドの使命の再確認」を行い、それを共創により実現するため、「(2)誰と、何を共創するのか」を決めます。

自社としてやりたいことが決まればそれを基に、自社だけでなく参加者にも価値を感じられる「(3)コミュニティのミッション・ステートメント」を作ります。最後に参加者が「(4)コミュニティに参加する価値・メリットの確認」を行います。企業は生活者が参加したいと思うコミュニティになっているかを確認し、全体を見直します。

141204_image01_2共創マーケティングの戦略策定ステップ

次から各ステップの進め方を詳しく紹介します。

 

顧客ベネフィットを満たすブランドの使命とは

商品であっても企業であっても、ブランドには世の中に存在する使命、顧客にとっての価値・ベネフィットがあるはずです。共創の取り組みは社外の協力者や、社内の様々な部署と共に進めることが一般的です。様々な人たちに参加・協力してもらうためには、納得してもらうための目的が必要です。共創マーケティングの目的とは何か、「顧客にとって価値のあるブランドの使命とは何か?」から考えます。

例えば、スターバックスは2007年~2008年にブランドの危機を迎えていました。そこからの巻き返しを図るために創業者のハワード・シュルツ氏は、7Big Movesという目標を立てます。その中の1つ、「お客様との心の絆を取り戻す」というブランドの使命を実現するために作られたのが、「My Starbucks Idea」です。スターバックスは「My Starbucks Idea」を通して、お客様の意見を集めて取り入れる組織に変わっていったのです。

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顧客ベネフィットを満たすブランドの使命を考えることで、ブランドが「生活者の何に役に立っているのか」「どのようなライフスタイルの実現をしているのか」に気づくことができます。また、参加者はブランドの使命を共に実現するパートナーである、という認識で捉え直すことも重要です。企業のこれまでのマーケティング・プロセスの一部に参加してもらうわけではありません。

CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の概念で言われているような、経済的価値(利益)と社会的価値の両方を満たすブランドの使命が定義されていれば、そのまま共創マーケティングの目的として定義できます。しかし、どんなブランドでも生活者にとっての価値を考えることで、参加者に共感してもらえる価値は見つけることができます。

例えば、スポーツ用品を作っているブランドであれば、商品を通してスポーツの楽しみを提供しています。スポーツを楽しむというライフスタイルを、商品を使ってくれているお客様と共につくることは、1つの共創マーケティングの目的になるでしょう。

 

誰と、何を共創するか

ブランドの使命から共創マーケティングの目的を決めた上で、次に「誰と、何を共創するのか」を定義します。

何を共創するか

次の図のように自社のマーケティング・プロセス全体を見つめ直し、どのプロセスに共創の可能性があるのかを洗い出します。共創マーケティングの目的を実現するために、生活者が効果的に関われる場所はどこかを考えましょう。

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マーケティング・プロセス別の共創例

その際、商品を消費する瞬間も検討の対象に含めます。これまでのマーケティング・プロセスでは商品を売るまでが重視され、売った後にどのように使われるのかはあまり重視されていなかったかもしれません。しかし、サービス・ドミナント・ロジックの考え方で語られるように、生活者はモノを消費しているのではなく、消費する楽しみに価値を感じています。

例えば、トヨタには「86 SOCITY」という、スポーツカー「86(ハチロク)」のコミュニティがあります。ここでは、車の乗り方の1つである、峠を攻めるというシーンをより楽しめるように、「峠」ガイドをコミュニティ参加者と共創しています。

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また、前回紹介した「みなさまのお墨付き」で考えると、「品質の高い商品を安く」というプライベートブランドの使命を踏まえて、商品の品質のチェックを生活者に委ね、店頭販促でそれを伝えるという共創モデルを作り上げています。

なお注意したいのは、これまでの強みを失ってしまうパターンもあることです。例えば、ブランドの特徴的なデザインがコアコンピタンスになっている商品の場合、デザインを生活者と共創するのは、危険が伴います。

誰と取り組むか

共創のパートナーを考える際には、ターゲットを絞ることが大切です。同じスポーツを楽しんでいる人であっても、志向は様々です。スポーツを競技として捉え、勝ち負けを強く意識している人もいれば、体を動かしたり仲間とのコミュニケーションを重視している人もいます。このような場合、同じスポーツのコミュニティでもコミュニケーションは異なります。

さらに、「誰と取り組むか」を変えることで別の共創モデルを創ることも可能です。例えば、P&Gは「Connect & Develop」というサイトで自社が求めているイノベーション・ニーズを公開し、解決策を持っている専門家や企業の提案を募集しています。このように、専門家やデザイナー、技術者と共創することで、彼らの専門性を商品開発やデザインに活かすという共創モデルもあります。

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ミッションステートメントを作成する

次に自社と参加者によって共創することの意義を定義します。そのために、これまで明確にしてきた「ブランドの使命」と、「誰と何を共創するのか」を融合させて、参加者にとってのコミュニティの価値を考えます。これは、共創コミュニティの紹介ページなどに掲載した場合、「参加者がコミュニティに参加・協力しよう」と思ってもらえるものである必要があります。

例えば、無印良品の「くらしの良品計画所」には、「私たちはよりいっそうの良いものづくりをめざして」から始まる言葉が掲載されています。ここに表現されているように、生活者との相互交流を大切にして、その中から共に商品とライフスタイルを作っていくというコミュニティのミッションを明示しています。

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参加するメリットを明確化

最後の戦略策定ステップでは、これまで立ててきた戦略をもとに、参加者にとって価値あるものになっているかを確認し、参加者のメリットを明確化します。参加者がコミュニティに参加・協力する動機付けには内発的動機付けと、外発的動機付けの2種類があります。

内発的動機付けとは、好奇心、学び、コミュニティへの貢献、コミュニケーション、期待感、楽しさ、自己表現などから発生する自発的なモチベーションです。外発的動機付けとは、プレゼントなどの報酬を与えることによるモチベーションです。動機付けは両方あるほうが、コミュニティに対する関与度を強固にできます。

内発的動機付けについては、コミュニティのミッション・ステートメントを参加者目線で再度見直すことで確認できます。考えているコミュニティが自社のひとりよがりになっていないか、参加者が共に実現したい未来になっているかを考えましょう。

外発的動機付けは「何を共創するか」について範囲を広げて考えることで、参加者にとっての価値を高められないか考えます。例えばプレゼントを用意する場合でも、新商品の発売前のサンプリングを提供して、意見を聞き、改善の参考にするという設計をすれば、「商品の改善に役立てる」という内発的動機付けを組み合わせることができます。

 

小さな成功体験を積み上げる

戦略が決まれば、次は具体的なアクションを決めていくことになります。ここで重要なのは「何を共創するか」で決めたことを、一気に始めようとしないことです。多くの企業は個別最適、効率化を求めて作り上げられた縦割り組織です。一方、共創マーケティングのアプローチは、全体最適と新しいイノベーションを作り出すものです。すぐに大きなことをするのは容易ではないでしょう。小さな成功体験を積み上げ、少しずつ関係者を巻き込んでいくことが成功の秘訣になります。

また、参加者がコミュニティに参加して「どれだけ満足してくれるか」「本当は何をしたいのか」は、コミュニティを運営してからわかることもたくさんあります。最初に立てた戦略はあくまでも仮説として捉え、参加者との対話を通して戦略を見直しながら、コミュニティ自体を参加者と共創していくことが大切です。

  


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