2014/11/21

【アドテック東京2014】特別企画「公式セッションじゃ聞けない!ad:tech Tokyo 場外ぶっちゃけトーク!」開催レポート<後編>

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2014/9/17(水)~18(木)に、ad:tech Tokyo2014のイノベーションゾーン特設ステージにて、「公式セッションじゃ聞けない!ad:tech Tokyo 場外ぶっちゃけトーク!」というイベントを開催いたしました。

お招きした6人の豪華スピーカーのうち、今回は後編として、オグルヴィ・ワン・ジャパンの馬渕邦美さん、ブルーカレント・ジャパンの本田哲也さん、ホットリンクの佐藤弘和さんのトークを抜粋したレポートをお送りいたします。

<レポート前編はこちら>
http://160.16.104.89/wp/?p=7391

 

「世界のオグルヴィ・アンド・メイザー(O&M)が目指すデジタルマーケティングの近未来ビジョン」 オグルヴィ・ワン・ジャパン 代表取締役 馬渕邦美さん

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<スピーカー>
馬渕邦美さん
オグルヴィ・ワン・ジャパン 代表取締役

Sapient inc (US)勤務後に、1998年日本でインタラクティブ・エージェンシー、株式会社DOEを設立し代表取締役社長に就任。 2005年 UKのデジタル・メディアエージェンシーProfero incとDOE 社のジョイントベンチャーである株式会社Proferoを設立。代表取締役社長に就任。インタラクティブ・マーケティング業界で12年に及ぶトップ・マネージメントを経験し、2009年にオムニコム・グループであるTribal DDB Tokyo ジェネラル・マネージャーに就任。日本における事業の立ち上げを成功させる。2012年オグルヴィ・ワン・ジャパン㈱、ネオ・アット・オグルヴィ㈱の代表取締役に就任。オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン・グループのデジタルビジネスを牽引している。 『データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ』(日経BP社)監修者。

外資系のエージェンシーが存在感を出すためにはポジショニングが大事

日本では外資のエージェンシーはニッチ。メディアという売り物を持っていないので、広告代理店として勝負するということ自体が難しくて、まったく違うアプローチをしないと目立たないし、生きていけない。私がオグルヴィ・ワンに代表として入ったのが2年前で、そのあたりからデジタルマーケティングの方向にアクセルを踏んでいる。ただ、ソーシャルメディアの分野だとトライバルメディアハウスの池田さんやアジャイルメディア・ネットワークの徳力さんという先人がいるので、ポジショニングを慎重に選んで資源を投下するようにしている。また、色んなところで講演活動をして、「俺達はここで生きてるよ!」と声高に言うようにしている。

どうしても日本のデジタルエージェンシーの業界って、メディアはメディアエージェンシー、制作は制作会社と、断片化してしまっている。広告主からすると、「全体を取りまとめて、どうやったらブランドの価値を上げられるのか」と悩んだ時に、相談する相手があまりない。そんなときに、「ひょっとしたら(オグルヴィ・ワンは)相談に乗ってくれますか?」という感じで問い合わせを受けることが多い。そのような広告主のニーズに対しては、うちはマッチしていると思う。

デジタルエージェンシーの人材育成は一筋縄ではいかない

広告主の悩みに全体的に答えられる人材を育成するのは簡単ではない。デジタルマーケティングを全体的に回していける力というのは、求められる知識の幅も広く、クリエイティブの知識もいれば、テクノロジーの知識も必要。そして一番大事なのはプロジェクトマネジメントのスキル。そういったスキルは、簡単には育ちにくい。デジタルマーケティング全体を経験している社員は少なく、どうしても最初は視点がどこかに寄っていて、ホリスティックなものになりにくい、というのはある。

だから、育成はハンズオンでやっている。クライアントから「こういう提案してほしい」と言われたら、会社に帰って、僕が一緒にその場で紙に「こういう提案書にしようか」と書いて、一枚ずつ見て「やっぱりこうだよね」「こういう風にしたほうがいいんじゃない」とか言いながら「じゃあ一回これでちょっとみんなで作ってみて」という感じでやってる。現場は好きなんだけど、マネジメント業務との時間配分が難しい。でもお客様の提案に応えるっていう意味では、どうしても入らざるを得ないものもある。

まずはカスタマージャーニーから考えましょうと提案する

お客様からたまに依頼があって困るのが、すでに座組が決まっている場合。例えば、制作会社もメディアの会社もその他もほとんど決まっていて、その上でどうしたらいいですか、という依頼を受ける。これだと正直難しいので、「もうちょっとゼロベースで考え直しませんか」という話をする。結局、事前に座組だけ決まっているような相談の時は、売り手側の理屈になっていて、お客様の視点が抜けている場合が多い。

こういう依頼の時は、我々は「カスタマージャーニーから考えませんか」と提案する。「お客様がどこでどう感じているのかについて、イチから考え直しませんか」と。まずそこを見つけた上で「じゃあ何をしていかなきゃいけないのか」という話をして、そこでクライアントと「では一回やってみましょうか」という流れになると、結果的に多くが良いプロジェクトになっている。

カスタマージャーニーを作る時は、理想形を追うだけでなく、逆発想も必要。どうしても「こうなってほしい」という、売り手側の願いが反映されてしまうから。なので、逆に「どうやったらお客さんは最も買わないか」という最悪の場合のジャーニーを作る。ポイントは、半日くらいのディスカッションを通じて考えて、クライアントに自ら気づいてもらうこと。メンバーは、営業とマーケティング、そしてマネジメントに関わるスタッフは絶対にアサインしたほうがいい。ただ、立場の違う人がいると意見が割れるので、ファシリテーションが重要になる。O&Mにはカスタマージャーニーを作るディスカッションの運営に長けたスタッフが何人もいて、それがうちの強みの一つにもなっている。

<聞き手>
トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行

 

「広告の終焉?なぜブランドジャーナリズムに注目が集まるのか」  ブルーカレント・ジャパン  本田哲也さん

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<スピーカー>
本田哲也さん
ブルーカレント・ジャパン 代表取締役社長
戦略PRプランナー。世界トップ3のPR会社、米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。
1970年生まれ。セガの海外事業部を経て、1999年、フライシュマン・ヒラード日本法人に入社。2006年、グループ内起業でブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に『戦略PR』(アスキー新書)を上梓し、広告業界にPRブームを巻き起こす。国内外の大手メーカーなどを中心に、戦略PRの実績多数。戦略PR関連の講演実績多数。
著書に『その1人が30万人を動かす! 』(東洋経済新報社)、『新版 戦略PR』(アスキー新書)、『ソーシャルインフルエンス』(池田紀行氏との共著、アスキー新書)などがある。最新刊の『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(田端信太郎氏との共著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、発売2か月で5万部を超えるベストセラーとなった。

PR単体ではなく、その他の施策との関連性が重要

ここ数年で一番印象に残ってる変化は、僕達がお付き合いするクライアントの部署が、広報・PRセクションからマーケティングや宣伝へと、明らかに変わったこと。10年前は8割がた、広報部だった。今、ブルーカレント・ジャパンでいうと8割以上がマーケティングなどの事業部門。広報部のクライアントは2割くらいになった。今は、良くも悪くも、伝統的な広告代理店、外資系のエージェンシー、PR会社、デジタルマーケティング会社などの垣根がなくなってきつつある。

クライアントが広報から事業部門に変わってきていることもあり、最近は戦略PRの依頼を受ける際に、昔よりもクライアントのPR以外の動き、つまり、広告の計画やデジタルマーケティングの状況について、何がどういうタイミングで起こっていくのかをより詳しく質問するようになった。単純にPRの予算が高い低いということよりも、全体として成功しそうなシナリオづくりになっているかという点について、2、3年前よりすごく慎重に聞くようにしてる。

ブランドが「真実を伝えよう」という精神を持つことがブランドジャーナリズム

10年前は、ブランドが「俺達はこうだ」っていうビジョンを掲げて、認知してもらい、そしてお客様がついてくる、という時代だった。しかし今は時代が変わり、ソーシャル的な環境になって、どちらかというと企業がブランドをガチっと押さえるというよりも、社会の中を浮遊してるような存在になった。そうなるとブランドのあり方は、広告的にブランディングしてコミュニケーションしていくというよりも、「もっと価値ある情報を出していこう」とか「今伝えるべきことを伝えていこう」というスタンスを持ってないといけないと思う。

ジャーナリズムっていうのは、真実や知ってもらうべきことを伝えていく、という「精神」だと思う。そしてブランドがそういう精神を持つべきという考え方がブランドジャーナリズム。平たく言えば、最近のコンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングで「企業はパブリッシャーになっていくべきだ」と言われていることと一緒だと思う。コカ・コーラジャーニーなどはブランドジャーナリズムの例だと言われてる。あれはコカ・コーラがパブリッシャーになったような感じだし、出てきた文脈は違うけど、目指す方向は一緒なのではないか。

目先のトピックに惑わされない

5、6年前のPR業界だと、そこまでデジタルの知識がなくても仕事ができていた。でも今はもうそれでは通用しない。ソーシャルやデジタルの知識を必死で身につけないとPRの仕事ができなくなってきている。ただ、デジタルだとかPRだとかっていうことは、専門性の一つとして大事だと思うけれども、そういうトピックを追いかけるのではなく、そもそも上位概念としてどういう考え方が元になっているのかを押さえておく必要がある。この変化の激しい業界で生き残っていく人材っていうのは、目先の流行に翻弄されず、より大枠の概念を押さえられる人だと思う。これからはどんどん変化に晒されていくので、広告代理店でもデジタルマーケティング会社でもPR会社でも同じで、「○○の会社です!」というだけだと、だんだんベンダーに成り下がっていくリスクがある。

僕の場合だと、よくデジタルやソーシャルに詳しいと言われるけど、「コミュニケーション」に対する興味が根底にある。コミュニケーションのやり方がツールや接点によって変わってくるんだったら、そりゃ普通はソーシャルやデジタルにも興味を持って学ぶはず。そうやって「本質的なことは要は何なのか」を押さえておくと、目先の流行に惑わされないと思う。

<聞き手>
トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行

 

「間違いだらけの『ソーシャルリスニングあるある』を一刀両断」 ホットリンク 佐藤弘和さん

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<スピーカー>
佐藤弘和さん
ホットリンク SaaS事業部セールスグループ エキスパート
ブログ・メールを中心としたマーケティング会社を経て、2009年ホットリンクに入社。現在は様々な業界において、お客様のソーシャルメディア分析・運用方法を第一線でコンサルティングしている。また、WOMJマーケティングサミットなど各種イベントでの講演や書籍「ソーシャルメディアクチコミ分析入門(ソフトバンククリエイティブ)」の執筆に携わるなど活動の場を拡大中。

ソーシャルリスニングは分析の目的を忘れがち

よく陥りがちなのが、「ソーシャルメディアで分析すると、何かいいことがわかるんじゃないか」という期待を持って、目的を持たずにとりあえずクチコミを検索してみるケース。このやり方だと、検索して出てきた結果をどう解釈したらいいか分からない。でも、皆さんが日常業務で、例えば「売上が下がった」という時などは、理由は多分これじゃないか、という仮説を立てて、それを検証するためにデータを集めて分析すると思う。ところが、ソーシャルメディアの分析となると、その視点がスポッと抜けてしまって、とりあえず検索してみる、という状況になりがち。ソーシャルメディアだからといって普通の分析と基本的な考え方は変わらない。必ず分析する前に目的を明確にしてから取り組んでほしい。

クチコミデータは「比較」で評価する

例えば、リスニングした結果、「クチコミが1,000件ありました」となった場合に、その数だけでは多いのか少ないかの判断は難しい。ではどうやって評価するかというと、軸となる他の数値と比較してみる。具体的には「自社の過去データ」と「競合他社のデータ」。例えば、1年前の同じ時期の自社キャンペーンと比較してクチコミ件数が多いのか少ないのか、そして、現在の競合他社と比較して多いのか少ないのかを見ていく。

よくあるケースが、ビールなどの季節商品の場合。そもそも夏場になるとクチコミ件数が増える傾向があるので、自社のクチコミが先月と比べ増えていても、それだけで良し悪しの判断は難しい。そこで、比較の視点を持って改めて調べてみると、じつは競合他社は自社以上に増加率が高く、クチコミシェアは低下していたということが分かってきたりする。このように、複数のデータを比較して見ていくことで、得られる示唆は圧倒的に増える。クチコミ分析の際には「比較する」という視点を持つことをおすすめしたい。

新しいソーシャルリスニング手法 「ソーシャルエスノグラフィー」

エスノグラフィとは、従来からあるリサーチ手法で、生活者に密着して行動を観察する定性調査のこと。今までのソーシャルリスニングは、検索した「キーワード」にマッチしたものだけを取ってきて、そのキーワードを軸に分析するので、「誰が言っているか」は追っていなかった。ただ、「そのキーワードを話している人って、他に何に興味があるのか、普段何してるのか」というのはマーケターとしては当然知りたい情報。最近の取り組みとして「そのキーワードを含む書き込みをした人は、その前後でどのようなキーワードを話しているのか」という観点で「人」を軸にクチコミ調査することが増えている。このように、特定ユーザーのソーシャルメディア上の発言を観察・分析する手法を「ソーシャルエスノグラフィー」と呼んでいる。

例えば、花王の「ヘルシア緑茶」という、飲んで運動すると脂肪が燃焼しやすいというお茶があるが、そのヘルシア緑茶を飲んでる人達が普段何をしているのか、ソーシャルエスノグラフィーで調べてみると、「ダイエット」などの想像できる範囲のキーワードも出てきたが、それ以外に少数だが「DDR」というキーワ-ドをつぶやいている人も一定数いた。DDRとは「ダンスダンスレボリューション」の略で、ゲームセンターに置いてある、ダンスを踊って楽しむゲームのこと。ヘルシア緑茶を飲む人の一部は、DDRにも興味があるということが分かった。これは、今までのソーシャルリスニングでは見えてこなかった部分。これをヒントに、例えばゲームセンターで試供品を提供するイベントを開催するなどの施策も考えられるようになる。

<聞き手>
トライバルメディアハウス 取締役 コンサルティング営業部/ソリューション開発部 ゼネラルマネージャー 佐藤譲太郎

 

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