2014/11/07

【アドテック東京2014】特別企画「公式セッションじゃ聞けない!ad:tech Tokyo 場外ぶっちゃけトーク!」開催レポート<前編>

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2014/9/17(水)~18(木)に、ad:tech Tokyo2014のイノベーションゾーン特設ステージにて、「公式セッションじゃ聞けない!ad:tech Tokyo 場外ぶっちゃけトーク!」というイベントを開催いたしました。

お招きした6人の豪華スピーカーのうち、今回は前編として、ギズモード・ジャパンの尾田和実さん、電通の廣田周作さん、花王の石井龍夫さんのトークを抜粋したレポートをお送りいたします。

<レポート後編はこちら>※2014/11/21追記
http://160.16.104.89/wp/?p=7550

 

「成否を分けるコンテンツマーケティングの極意」 ギズモード・ジャパン編集長 尾田和実さん

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<スピーカー>
尾田和実さん
メディアジーン COO(最高執行責任者)
ギズモード・ジャパン編集長

(株)シンコー・ミュージック、MTV JAPANを経て現職。ギズモード、ライフハッカー、コタク、ルーミー、カフェグローブほか、いろんなメディアを運営。現在、COO職とギズモード・ジャパン編集長を兼任。
http://www.gizmodo.jp/
http://www.mediagene.co.jp
http://www.rirelog.com/archives/author/koda

コンテンツの作りこみはプロの編集者に任せるべき

コンテンツマーケティングでは、もっとコンテンツ目線が必要だと強く感じる。コンテンツマーケティングを行う場合、よくある話として、「オウンドメディアを作り、人を集めてマーケティングができるプラットフォーム化していこう。内容はライターに発注します、以上。」という感じで、コンテンツの中身をどうするかという話があまりされない。その状態でスタートするがなかなか人気が出ず、色々と数値の分析をしてはみるが、相変わらずコンテンツの中身には触れない、ということがよくある。それで上手くいってない、損してしまっているケースは多いと感じる。

メディアジーンの兄弟会社のインフォバーンは「Content is King」という考え方で企業のオウンドメディアを手掛けていて、我々(=ギズモード・ジャパン等のWebメディア)のやり方をフィードバックして、我々と変わらないスキルの編集者を使って、コンテンツの中身をきっちりディレクションしている。だからインフォバーンが手掛けるオウンドメディアは相対的にPVがいい。しかも瞬間風速的なPVの稼ぎ方ではなく、しっかりそのブランドのファンを作れている。実例でいうと「ホメ髪.com」とか「マイカジスタイル」など。いい数字を出しているし、それは中身をきっちり作っているからだと思う。

チェックする指標は、PVだけじゃない

日々チェックしている指標は、PVと流入元。PVはスマホで15分置きくらいに確認してる。メディアジーンは8つのWebメディアを持っているので、「今日はここのPVが上がってるけど、ここはダメだな」という具合に。それだけでもヒントが得られたり、仮説を立てたりはできる。ただ、流入元についてはスマホでは詳しくチェックできないので、家に帰ってからPCで細かくチェックしている。例えばPVを見て、今日スマートニュースで取り上げられたあの記事がすごい注目されたからじゃないか、とか仮説を立ててから、実際に流入元を見て検証してみると、ああ、やっぱりスマートニュースが多い、とか。毎回仮説を立てすぎというくらい色んな仮説を立てて、それを検証するために流入元を見ている。

ちなみに流入元はすごく短いタームで変わる。今年1月のギズモード・ジャパンの流入状況と、今の状況では全く違う。感覚で言うと3ヶ月くらいで大きく変わっている印象がある。

今後のメディアは全体の構造を紹介できることが求められる

Webメディアの今後を予測することは正直難しい。非常に動きの激しい世界だから。ただ、ギズモード・ジャパンの目線で言うと、AppleがApple Watchを発表した9月9日から何もかも変わったと思っている。新しいiPhoneとApple Watchによって、Internet of Things時代のハブが登場したという認識でいるので、今後はIoTに拍車がかかり、生活の有り様が大きく変わっていくと思っている。だんだん、ガジェットというモノだけを取り上げて「このiPhoneは素晴らしい」と言ってるだけでは語りきれない世の中になっていくと思う。トータルで見てどうなっているのか、視点をフォーカスインじゃなくてフォーカスアウトして、全体の構造をちゃんと紹介できるメディアが今後生き残っていくと感じている。その点ではギズモードは強いと思う。Webメディアの1年後がどうなってるかは分からないが、ギズモード・ジャパンとしてはわりと未来は明るいという希望的観測は持っている。

<聞き手>
トライバルメディアハウス ムーブメントデザイン部 シニアプランナー/サブマネージャー 高野 修平

 

「ソーシャルをやりきった廣田さんに聞くソーシャルの未来とは?」 電通 コミュニケーション・デザイナー廣田周作さん

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<スピーカー>
廣田周作さん
電通 コミュニケーション・デザイナー
2009年電通入社。現在、ビジネス・クリエーション・センター、事業コンサルティング部に所属。デジタルマーケティングの知見から、多くのクライアントの事業戦略コンサルティングや、コミュニケーション・プランニング、サービス開発に関わる。近年はリアルタイムマーケティングの実践を行っている。著書に「SHARED VISION」(宣伝会議)等。

ここ数年、企業が軒並みデジタルマーケティングの専門部署を立ち上げている

この2、3年で一番感じる変化は、企業の経営陣が、ちゃんとデジタルマーケティングに投資していこうとし始めていて、「デジタルマーケティング部」とか「デジタルコミュニケーション部」という名称の専門部署を立ち上げる会社が相次いでいること。ソーシャルメディアマーケティングの実践といった各個別の施策の最適化だけでなく、そもそもオウンドメディアはどうあるべきか?といった視点を持ったり、PR、プロモーションなどの施策と併せて統合的に考えた上で、改めてデジタルマーケティングを捉えなおそうという動きが出てきている。これまでは、デジタル系の施策は、「広報部や宣伝部がやるんでしょ」という縦割りによる情報共有の難しさがあったが、今はラウンドテーブル型・ハブ型の組織を作り始めている。どこまで考えてるかは企業によるが、整理・再統合が進んできているのは間違いない。我々も、顧客企業の窓口が明確にされて、誰に話をして、どう絵を描けばいいかが、分かりやすくなってきている。

これからの数年で、「文系の人達」がデジタル化していく

マーケティング業界はデジタル化が進んでいるが、デジタルも「理系」と「文系」に分かれると思う。例えばDMP(Data Management Platform)やビッグデータなど理系のデジタルは盛り上がっているが、僕は今、文系のデジタルが足りないと思っている。例えば編集者だったりがそう。まさに今回のアドテックはネイティブアド祭りみたいになっているが、そちらの方向がまだ不足していると思う。理系のほうは、テクノロジー発想でエンジニアの人達が作っていく世界だと思うが、一方で文化系の人達がデジタルと融合していくと、どんなことが起こるのかなっていうところに今ちょっと興味を持っている。最近企業から受ける相談で多いのは「ちゃんとしたブログを作りたい」といったもの。「やっぱりそこがまず大事ですよね」っていう。そこの担い手がまだまだ少ない。リタゲされて届いたプレゼントよりは、ちゃんと想いがあるプレゼントがほしい、みたいな。僕個人の趣味が色濃く出てしまっているかもしれないが(笑)、そういうところを大事にしたい。

デジタルマーケティング部門を「セクシーな部署」にしたい

お客様のところに行くと、Web担当とかソーシャルメディア担当がいるけれど、データを一人で黙々と解析している、ということがよくある。そういう風に一人で抱え込んでいる状況から、ちゃんと情報を社内に公開・発信していきましょうという働きかけをよくやる。例えばWeb担当の仕事内容やサイトのアクセス状況などを、週次でA3一枚の新聞形式にまとめて、社内に掲示したりする。それによっていろんな部署から声をかけてもらえるような状況を作る。さらに、社外の講師を呼んできてデジタルマーケティングに関するワークショップを実施したり。そうやって、「あ、こういう相談はこの部署に持って行けばいいんだ」という気づきを社内の各部署の人に与えていく。そうすると他部署から依頼が来て仕事が発生するので、それをWeb担当がやりきれば、評判につながる。そういう循環を作っていこうと。

デジタル系の部署の人達は、今まで「最後に声をかけられる場所」だった。余った予算でWeb作っといて、みたいな位置付けを逆転させるために、最初から仕事を作っていこうという。「かっこいい根回し」みたいなことをやっている。

Web担当・デジタルマーケティング担当はしんどいので、まずは励まそう、という気持ちで取り組んでいる。僕の提案資料は「セクシーな部署を作ろう」なんて書いてある。専業のベンダーさんに比べると僕は知識がないので、「皆さんが社内で最もかっこよくならないと、この会社のデジタルはダメなんです」と泣きながら訴えて、その気になってもらって、やろうっていう雰囲気を作るところが僕の仕事。人は、いきなり「DMP」と言われても「またそういう小難しいことを勉強しなきゃいけないのか」と構えてしまうので、「あなたはもしかしたらモテるかもしれない」っていう気持ちの部分から入ると、スムーズに進むことが多いです(笑)。

<聞き手>
トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行

 

「マスマーケティング企業におけるデジタルマーケティングのゴールとは?」  花王 デジタルマーケティングセンター長 石井龍夫さん

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<スピーカー>
石井龍夫さん
花王 デジタルマーケティングセンター長
1980年花王に入社、販売部門を経験した後、事業部門でブランドマーケティング業務に14年携わる。 事業部門では、メリーズ・ロリエ・ファミリー・キッチンハイター・マジックリン・ビオレ等のブランドマネージャーを歴任後、新規事業プロジェクトの責任者としてアジエンスのブランド開発とコミュニケーション立案を指揮した。その後、2003年から花王のweb活用の戦略立案と企画運営に携り、デジタルコミュニケーションの推進役を担ってきた。 2014年3月には、デジタルマーケティングセンターを新設し、花王のデジタルマーケティング活動を統括している。社外では、日本マーケティング協会のマーケティングマイスターやデジタル広告電通賞の審査委員長といった職務に携わっている。

デジタルマーケティングのゴールはそこで得たデータをマーケティング全体に活用すること

デジタルマーケティングのゴールは、「デジタルから出てくるデータを使いながら、マーケティング・コミュニケーション全体を最適化する」ということだと思っている。

デジタルだからバナーだムービーだ、ということではなく、テレビ広告の入れ方とか、OOHとテレビとネットを組み合わせた時に最小のコストで最大の効果を出していくにはどういうやり方がベストなのか、ということを、デジタル施策を得たデータを使って、カテゴリやブランドごとにきちんと決めていけるようになるというのが、私の考えるデジタルマーケティングのゴール。

花王は日本で一番テレビの宣伝を入れてる会社。その強みを活かしてデジタルとどう組み合わせしていくか。デジタルに全てを寄せていく必要はない。デジタルができる一番いいことは、お客様文脈で情報を届けられること。赤ちゃんのいるお母さんが、24時間赤ちゃんのことだけを考えているわけでない。お客様にとっての最適なタイミングと文脈で届けることができるのがデジタルの強み。

会員を抱え込むCRMというのは続かない

会員を抱え込む、という発想のCRMは、いつまで続くのだろうと思っている。そもそも「抱え込む」と言うが、抱え込まれて嬉しいお客様ってそんなにいるとは思えない。

花王の化粧品の会員になってる人は、同時にカネボウの会員にもなってるし資生堂の会員にもなってる。じゃあロイヤルティってなんなんだろう、と。なので会員として抱え込むという考え方よりは、お客様の行動や、購買の頻度から、潜在的ロイヤルユーザーを見つけたり、私達がヘビーユーザーだと思っている人達と同じような生活をしている人・意識をもってる人達に、適切な情報をお届けすることによって、ロイヤルティを築いていく、という方法のほうが、今のようなデータドリブンなマーケティングが可能になってきている時代の中では正しいやり方なのではないかな、と思う。

代理店やITベンダーには顧客の戦略を理解できることが重要

企業の中の人間ができることは、データを使って何を実現したいのかを考えること。戦略立案は企業の中の人間にしかできない。だが、速いスピードでデジタルの技術を使ってソリューションを作り、提供していく、ということは、我々にはできない。デジタルのテクニックの理解はできても、実際のプログラミングや新しいソリューションを作るのは、外にいていただいたほうが、はるかにスピードも速いし、コストも有利。そういう意味で、内製ではなく代理店さんやベンダーさんとパートナーシップを組んでやっていくほうがいい。

そしてこれからは、データドリブンなマーケティングをやっていきたいと言っても、そのウラにマーケティング戦略とか事業戦略があるので、これの理解をどれだけできるパートナーであるか、というのが重要になってくる。だから、単に「こんな新しいサービスができました」と提案をいただいても、それはそれでいいんですけども、その一方で企業のマーケティングに対する理解があってほしい。例えば数年前に「これからはTwitterですよ。Twitterを使いましょう」と言ってくる代理店が多かった。それに対し「Twitter使って何するの?」と聞いても「いや、Twitter使うのがいいんじゃないですか」と。これでは会話になってないんですよね。やっぱりそれを使った結果、お客様をこう動かしたい、というものがなければ。これが流行りですよ、だけでは価値がない。

逆に私達は、戦略を作って、それをパートナーである、代理店やITベンダーに対してしっかり説明できるという能力がより必要になってくると思う。

<聞き手>
トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田紀行

 

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