2014/10/28

発売から売上30%増を継続!生活者が商品化を決める西友のPB「みなさまのお墨付き」成功の秘訣とは?

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※本記事は、当社共創マーケティング部 宮本昌尚によるMarkeZineへの寄稿記事を、MarkeZine編集部許諾の元、転載しています


注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介する本連載。2回目は西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」を紹介します。生活者に商品化の如何を委ねたこのブランドは、発売以来、+30%(前年比)の売上を継続しているといいます。成功の秘訣は一体何でしょうか?
 

目次

 

商品化を決めるのは、生活者

今回は、連載1回目で紹介したファンが集まる共創コミュニティとは少し異なる共創事例を紹介します。「どの商品を販売するのか」は通常、企業内で検討して決めることです。しかし、その決定を生活者に委ねることで成長しているプライベートブランドがあります。

生活者と企業が共にマーケティング活動を行う共創マーケティングの中で、商品の評価を生活者に任せ、商品開発から店頭販促にまで生かす。それが西友のプライベートブランド「みなさまのお墨付き」です。生活者延べ13万人と商品テストの共創により、売上前年比30%アップの成長を維持しています。同プライベートブランドの戦略企画を担当する、本間哲太郎氏に成功の秘訣を聞いてきました。

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合同会社西友 マーケティング本部
プライベートブランド事業部
戦略企画担当 本間 哲太郎氏

 

支持率70%以上の「お墨付き」で商品化

――「みなさまのお墨付き」のブランドコンセプトと誕生した経緯を教えて下さい。

本間氏:「みなさまのお墨付き」は、消費者テストで70%以上の方が「非常に良い」「良い」と評価したものだけを商品化するというコンセプトで展開しています。支持率が70%未満の商品は、いただいたコメントを元に改良して再度消費者テストにかける。これを繰り返して商品開発を行います。

そもそもこのアイデアは、世界最大の小売業者である米国ウォルマートのグループ会社で、イギリスの大手小売業者ASDA(アズダ)が成功させた「Chosen by You」というブランドをヒントにしています。これは文字通り、お客様に選ばれたものを商品化するという試み。プライベートブランド先進国であるイギリスにおいて、非常にお客様から支持されています。「みなさまのお墨付き」はこの成功事例を参考に、日本版にアレンジしたものです。

西友では2005年から「グレートバリュー」というプライベートブランドを展開していました。これは、西友の親会社であるウォルマートのプライベートブランド名を日本においても展開したものです。ですが、アイテムが増えていく中で価格や品質などが多様化し、ブランドのコンセプトが曖昧になってきていました。

そこで、ブランドのポジショニングを「消費者テストで好評価」かつ「有名ブランドのNB(ナショナルブランド)商品と同等以上の品質で、価格は1~2割低価格」と明確に定義した新しいブランド「みなさまのお墨付き」を2012年12月に立ち上げ、商品開発を始めたという経緯があります。過去の同等PB商品に比べ、「みなさまのお墨付き」商品の売上は前年比30%アップを継続しています。お客様にはご支持いただいていると感じています。

 

企画・開発・マーケティングを1事業部で実施

――新ブランドの立ち上げというと、大きなプロジェクトになると思います。社内の調整はどのように進めていますか?

本間氏:まず重視したのは「ブランド価値」の形成と提供をしっかり行うことです。以前は商品部が単独でPB商品開発を行っていました。ですが「ブランド価値」の提供を本質とした商品開発を行うため、マーケティングもPB開発に参画するようになりました。さらに、「みなさまのお墨付き」を中心とする新プライベートブランドの成長が著しいため、今後も西友の事業にとって大きな軸として位置付けることができると判断されました。そこで、2013年10月にマーケティング本部の中にプライベートブランド事業部を作り、その下に戦略企画、商品開発、サプライヤー開発の3つのチームを置いたのです。企画・開発・マーケティングまで1つの部署で完結できるようになったので、目的の共有がより確実になり、意思決定も早まりました。

 

重要なのは「中立公平な本音を聞き出す」こと

――生活者とテストをしているとのことですが、具体的な手法について教えてください。

本間氏:まず商品のサンプルが出来上がったら社内で試食を行い、開発者が納得するまで改善を加えます。その後、いよいよ消費者テストに進みます。テストに参加するのは、対象の食品(あるいは類似品)を食べたことのある方々です。1商品の調査ごとに100名以上の方にご参加いただきます。

人口構成に合わせた年代、地域(東名阪)で分布します。西友の主要顧客層が主婦なので、主婦を中心に参加してもらっています。ですが、メインターゲットが異なる商品の場合は、メインの層に参加してもらうこともあります。例えば、チューハイの場合は、男性にも参加してもらいました。現在、約1,300アイテムの調査を行い、延べ13万人以上の方にテストに参加していただきました。

消費者テストを受ける方には西友や「お墨付き」というブランド名、パッケージデザインなどの情報は一切与えない、ブラインドテスト形式で行なっています。客観的にその商品を味わって、評価してもらうためです。先入観があると評価が変わってしまいますからね。

通常、消費者テストは会場で試食をしてもらい、味・容量・価格の3点を総合して「非常に良い」「良い」「悪い」「非常に悪い」の4段階評価と、その理由をコメント欄に書いてもらいます。そのまま食べると評価がしづらい商品、例えばだしの素やパン粉などの商品については、ご家庭で普段通りに調理してもらって評価をしてもらいます。というのも、こちらで調理したものを出すと、調理済みの食べ物の評価になってしまいます。ご自分で使用して、中立かつ公平に評価してもらう必要がありますから。

 

厳しいコメントが商品化のヒント

――消費者テストではどのようなコメントがもらえるのでしょうか。

本間氏:評価の高い低いにかかわらず、詳しく具体的なコメントをいただけています。例えば「塩味が強すぎて素材の味がない」「風味がない」など、明確に改善すべきポイントを指摘されます。面白いことに、開発時点で自分たちでも少し自信のない商品は合格しない。逆に、自信があるものは合格することが多いです。そういう意味では、ユーザーの皆さんには、こちら側を見透かされているように感じますね。

商品に対するご意見を参考に改善をすることで、商品化できたものもあります。粉チーズも「みなさまのお墨付き」から出ているのですが、この商品は一回目のテストで「チーズの風味がない」というコメントをただきました。その結果、69.8%でギリギリ合格することができませんでした。そこで風味を増やすために、パルメザンチーズの配合率を100%に引き上げて再度テストに臨みました。その結果、無事に70%以上の方からご評価いただき、商品化できました。生活者は本当に敏感で、機微を感じとっていると思います。

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お店に並ぶ商品が不合格になることも?変わる生活者の嗜好

――力を入れて開発した商品が消費者テストを通らないのは、くやしいことだと思います。

本間氏:そうですね。でも消費者テストは合格させることが目的ではありません。極論ですが、落ちたからいいものができることもあります。とはいっても、1つの商品の開発には半年から1年ほどかかります。開発メンバーは親のような気持ちで見守っていますね。時に厳しいコメントは辛くもありますが、それを糧に次の改良で合格を目指します。

ちなみに、テストに合格して商品化したあとも、およそ1年半から2年ごとに再度消費者テストを行います。理由は時代によって求められる味が変わってくるからです。例えば、一時期流行したものに濃い味緑茶があります。当然、「お墨付き」のラインナップにも加わっていました。しかし、最近行った再テストで不合格となってしまいました。現在、チーム内で改良か、別商品の入れ替えかを議論しています。テストを通して、市場のトレンド変化を掴むことができるというわけです。

また、テストをすることで地域の嗜好にも対応できます。関東では合格したのに関西では落ちる、といったケースもあるからです。その場合は、関東のみで販売することもあれば、地域で異なる味を販売することもあります。他にも、牛乳は地域によって製造する工場が異なるため、地域ごとに消費者テストを実施して、お墨付きをもらったうえで商品化しています。

 

年内目標アイテム数600、メーカーでは出せない商品展開を

――ブランドのKPIとして何を評価されているのですか。

本間氏:売上と利益です。売上は先ほど触れたように、前年比で30%を超える売上増を維持しているので順調といえます。ダイレクトに反応が売上に返ってくるのは、面白いところです。

売上と利益をさらに成長させるためにはアイテムを拡大していくことが重要です。「みなさまのお墨付き」は2013年に約300点まで拡大しました。2014年はその倍である約600点を目標にしています。今のペースでいけばクリアできそうです。西友の取扱商品は、メーカー商品・ウォルマートのグローバル調達網を活用した直輸入商品・プライベートブランド商品の3つで構成されています。このバランスが重要ですが、競合では取り扱いがなくて価格と品質のバランスが良い、プライベートブランドに対するニーズが高まっていると感じています。

――最後に今後の展開について教えてください。

本間氏:アイテムを増やしていくことが目標ですが、今後はメーカーが出していない商品に力を入れていきたいですね。現在、メーカーで商品化しなかったものをお墨付きとして出しませんか、とお声がけして提案をいただいたりもしています。

また、モニターテストについては、これまでアンケート用紙に手書きで回答してもらっていました。この方法だと集計が大変で時間もかかります。最近、iPadで入力してもらうようにしたところ、すぐに集計結果が出るようになり開発スピードが上がりました。今後は収集した声をデータベース化して、商品開発の時点で参照できるようにしたいですね。実際に食べた感想ですから、データにすることで味の嗜好の変化、年代別の違いなどを分析することもできると思います。

昨年にはTVCMを放送したこともあってブランド認知度も上がり、商品への評価も高くなっています。今後もコンセプトに忠実に、お客様との共創で商品を展開していきたいですね。

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自社が取り組むべき共創マーケティングとは?

日本企業の7割以上が「顧客満足」「お客様第一主義」など、お客様優先の企業理念を含んでいるそうです。しかし、企業が商品・サービスを作る中で生活者が意思決定をするプロセスを、1つでも取り入れている企業はどれくらいあるでしょうか。

共創マーケティングに取り組む上で、「企業が生産者として商品・サービスを作り、消費者はそれを消費する。」というパラダイムを見直す必要があります。しかし、パラダイムを見直す上では、ただやみくもに消費者に任せるのではなく、自社の事業戦略や企業理念に応じた共創マーケティングを考える必要があります。多様な商品を開発して、その評価を消費者に任せ、消費者のお墨付きであることを店頭などで伝えることでブランディングを図る。今回の取り組みは商品を作るメーカーではなく、多種多様な商品を作り、店舗販促を実現しやすいプライベートブランドだからこそ成功した共創の形だといえます。

みなさんの会社がよりお客様に貢献するためには、どこを共創しますか? 次回はその戦略の立て方をご紹介します。

  


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