2019/07/17

Instagram EC機能「Checkout」がもたらす、消費とマーケティングの変化とは?


 
こんにちは! 90年代に一世を風靡した某カップ焼きそばのCMキャラクター・ヤキソ●ンことマイケル富岡です。
 
という冗談はさておき、2019年1月にトライバルメディアハウス(以下、トライバル)へ入社した冨岡 勇太郎です。トミオカ繋がりということで、社内では「マイケル」と呼ばれています。これは冗談ではないです(笑)。
 
私は、生まれてから27年間を海外で過ごし、3年前から日本で働きはじめました。現在は、トライバルでグローバル案件に携わりつつ、マーケティング・コンサルタントとしてのスキルと知識を高めています。
今後は、海外で培った体験や知見を活かしながら、グローバルな最新トレンドをキャッチアップし、Spark! のメンバーとしてこのブログを通していち早く発信していきたいと思います!
 

■GWでの体験

さっそくですが、今回私がご紹介するのは、GWにニューヨークを訪れた際の出来事です。
立ち寄ったのは、昨年11月ニューヨーク5番街にオープンしたナイキの新たな旗艦店「ハウス・オブ・イノベーション000」。6フロア、総面積約6,300平方メートルいう巨大店舗。この店舗ではテクノロジーを使ったショッピングができ、ナイキの公式アプリやQRコードなどデジタル上の顧客体験のサービスが提供されています。
 
ナイキのInstagram公式アカウントに投稿されていたトレーニング用の靴を探していた私は、店員さんにその投稿と同じ靴の在庫があるか尋ねました。しかし、残念ながら答えは「No.」。
 
諦めてその場を去ろうとすると、店員さんから「そのままInstagramで購入できるよ」とアドバイスが。紹介してくれたのは、Instagram上でショッピングが完結するという新しい機能「Checkout on Instagram(以下、Checkout)」でした。この機能は、まだ日本アカウントに対応していないため、実際に希望の靴は購入できなかったのですが、もしこの機能が使えていたらきっと購入していたと思います。

■Instagramの新機能「Checkout」とは?

私が店員さんに紹介された「Checkout」は、2019/3/19に発表されたInstagramの新しい機能。Instagram内で商品選びから決済まで完結するEC機能です。現在、アメリカでのみβ版が導入されており、アディダス、バーバリー、H&M、ザラをはじめ25のブランドで試験運用がスタートしています。
 
2019/3/19時点の対象ブランド


※出典:2019/3/19 Instagram-Press「Instagram Checkout機能の紹介
 
 
また、4/30には、個人クリエイターやインフルエンサーによる商品のタグ付けが可能となったことをInstagramは発表しています。公式アカウントだけでなく、フォロワーに対して大きな影響力を持つインフルエンサーのアカウントも対象となったことで、ユーザーの購入意向がさらに高まる可能性があると考えられます。
 

※出典:2019/4/30 Instagram Businessブログ「New: Shop Looks From Creators
 
 

■「ショッピング」機能と何が違うの?

ここで、2018年6月にリリースされた「ショッピング(Shop Now)」と「Checkout」の違いを紹介します。
 

 
上記の通り、ショッピングは商品購入時にInstagram上から購入用のウェブページに遷移する必要がありました。さらに、複数ブランドの商品を購入する際は、それぞれのブランドのECサイトで会員登録や配送先などの情報を入力する手間が生じていました。
 
しかし「Checkout」では、外部サイトへ遷移することなくInstagram上で商品購入が完了します。Checkoutの初回利用時のみ購入に必要な情報をInstagram上で登録するだけで、それ以降の入力は不要です。対象ブランドでは、Instagram上での購買行動がとてもシームレスになるのです。
 

■「Checkout」導入後の変化は?

これまでにない購買体験をユーザーにもたらすCheckout機能は、企業にどのような影響を与えるのでしょうか。
 
Checkoutを発表してからわずか3カ月で、早速効果が表れた企業のひとつがアディダスです。
あるアメリカの記事(※1)によると、アディダスは2019年度第1四半期のECサイトやCheckout経由での売上が前年比40%増となったことを報告しています。
 
※1 2019/5/17 Tubefilter「Checkout機能によりオンライン・セールスの売上が40%増
 


 
 

■従来のECサイトと何が違うのか?

それでは、既存のECサイトと比較してInstagramだからこそ提供できる特徴はどういったものがあるのでしょうか。ここでは大きく3つに分けて紹介します。
 
 
① 動画
従来のECサイトは、画像だけで商品を紹介していることがほとんどでしたが、Instagramでは(画像だけでなく)動画を用いることによって、より「リアルさ」が訴求でき、購入後の使用イメージも湧きやすいと考えられます。
いろんな角度や動きで商品の魅力を伝えることは、画像(静止画)よりも動画の方が適していますね。
 
企業の活用事例として、インフルエンサーを活用してスポーツウェアを訴求しているユニクロUSAの動画コンテンツ(ショッピング機能つき)をご紹介します。
動きや機能性、利便性などのメリットが動画からとてもよく分かります。


 
 
② 人
 
従来のECサイトと比べて、Checkoutは、ユーザーの心理的障壁から商品販売まで多様な販売戦略が考えられます。ECサイトは商品自体しか訴求できませんが、Instagramは大きな影響力を持つセレブやインフルエンサーといった“人”によるマーケティング効果にも期待できます。親近感のあるインフルエンサーを活用することで、商品の購入意向が向上する点などが良い例です。
 
下記の調査からもわかるように、「5人に2人は好きなインフルエンサーの投稿を見て商品を買ったことがある」、「好きなインフルエンサーの投稿を見て、ブランドのファンになったことがある、または商品への興味を持った」と答えた人は約8割にものぼっています。
 
SNSは人と人を繋げるために作られたネットワーク・サービスであり、そんなソーシャル・ライフスタイルを通じて商品購入へ繋げているのが、“ソーシャル・ショッピング”なのです。
 
 

 

 
 
<調査概要>
実施企業:サムライト株式会社
調査手法:インターネット調査
調査期間:2019年1月25日~28日
調査対象:20代~30代の男女500名
 
※出典:サムライト株式会社「インフルエンサーはどう思われている?徹底調査
 
 
③ 発見 “Discovery”
 
これまで、ユーザーは買う物が決まった段階で(購入するために)ECサイトを訪れていたはずです。ところが、Checkoutならユーザーは購入したい商品が明確になっていない状態であっても、Instagramのタイムラインや検索ページで「偶然」興味があるアイテムを「発見」したら、そのままシームレスに購入へ進むことができるようになります。これはもはや、何となくウインドウショッピングをしていたらたまたま“どストライク”な商品を見つけて思わず購入してしまった……という状態と同じことが、デジタルの世界でも起きようとしているということに他なりません。
 

■まとめ

2018/6に全世界のMAU(Monthly Active User)が10億を突破したInstagram(※2)では、いまや毎月1億3000万ものユーザーがショッピング投稿内のタグをタップしているといいます(※3)。この数字だけを見ると、毎月10人に1人ほどが商品タグをクリックし、購入に近いアクションをしているとも考えられます。ただ、この数字はあくまでも試験運用段階のものであり、対象のブランドやアカウントが広がればInstagramを通して商品を購入するユーザーは確実に増えるのではないでしょうか。
 
もともとは写真をアップすることがメインだったSNSのInstagramが、情報収集ツールとして活用され、これからは「ショッピング」を超えた新たなEC機能を備えたSNSプラットフォームとしても活用されようとしているのです。そんなInstagramのEC展開に備えて「動画」、「人」、「発見」といったアプローチからも、新たなマーケティング施策が必要になるのは明らかです。
 
近い将来、飲食店や宿泊施設、旅行などをInstagram上で検索するだけにとどまらず、その場でのスムーズな予約や決済も可能になるのでしょう。Instagramからウェブページへ移動の手間がなくなり、全てのシステムが一つのプラットフォームとして完結される。そんな今後のInstagramの展開からはまだまだ目が離せませんね。
 
 
※2 2018/6/21 Facebookニュースルーム「Instagram、縦型の長尺動画を楽しめるアプリ「IGTV」を発表
※3 2019/3/19 Instagram Businessブログ「Instagramのショッピング機能が決済にも対応

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