2014/09/03

商品開発だけじゃない! いま注目される「共創マーケティング」とは?

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※本記事は、当社共創マーケティング部 宮本昌尚によるMarkeZineへの寄稿記事を、MarkeZine編集部許諾の元、転載しています


最近「共創」という言葉を目にすることが増えた、と感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、一体何をすることが共創なのでしょう? 本連載では注目が集まりつつある「共創マーケティング」とは何か、事例を交えて紹介します。1回目は押さえておくべき「共創マーケティング」の基本的な考えを解説します。
 

目次

 

共創=商品開発ではない

共創マーケティングとは、企業が自社だけでなく他企業や生活者と共にマーケティング活動を行うことです。そのなかでも、生活者と共にマーケティングを行う事例が2014年になってから、特に増えてきています。例えば、マクドナルドはとんかつに合ったソースを生活者とつくる「とんかつマックバーガーの新ソース開発プロジェクト」を進めています。キリンビールでは、横浜・神奈川の若者と「はまっ子のためのビールづくりプロジェクト」を行いました。伊藤ハムでは、新商品の開発を行う「ハム係長の商品開発部」がスタートしています。

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これだけを見ると、共創マーケティングは「生活者の意見を聞いて商品をつくる手法」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。確かに、そのような場合もあります。しかし、それだけでは正しい認識とはいえません。まずは、共創マーケティングについて、次の2つの誤解を解いておきましょう。

共創マーケティング2つの誤解

 誤解1:生活者の意見=答え
 誤解2:共創マーケティング=商品開発

 

誤解1:生活者の意見=答え

生活者は消費のプロではあっても、商品開発のプロではありません。生活者との対話で得るものが、そのまま「答え」となることもありますが、「ヒント」「仮説」「きっかけ」になることも少なくありません。それらをプロとしての視点でアイデアを発想し、決定するのは、企業の商品開発担当が矜持を持ち続けるべきところです。

実際に筆者が生活者参加型の商品開発に携わった際も、最終的には、商品開発担当の仮説や想いによって商品がつくられました。このプロセスを体験して、参加者に広がったのは「自分たちの意見を聞いて、ここまでの商品に仕上げてくれたのはすごい!」という感動と、商品開発担当への尊敬の念でした。

誤解2:共創マーケティング=商品開発

商品開発を行わなければ共創マーケティングとはいえない、と誤解されがちです。企業のマーケティング活動の一部として商品開発があるように、共創マーケティングでも、商品開発は価値共創活動における施策のひとつです。商品開発ではない共創の事例を紹介しましょう。

 

既存商品での共創事例:ネスレ日本

既存の商品を職場に普及させるプロセスを生活者と共創したネスレ日本の事例です。ネスレ日本は「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」と「ネスカフェ ドルチェグスト」というコーヒーマシンを提供しています。同社には、このコーヒーマシンを職場に無償提供し、「ネスカフェ」の社内普及を生活者(この人をアンバサダーと呼びます)に行ってもらう「ネスカフェアンバサダー」というサービスがあります。

アンバサダーに登録すると、無料でコーヒーマシンが職場に届けられます。また、コーヒーマシンに使用するカートリッジも、アンバサダーになると、市場最安値級で定期購入が可能です。一方で、アンバサダーには職場でコーヒーを楽しんでいる投稿や定期的なアンケート回答など、サービス向上のための協力を任意で求められます。これらの声から次のサービスを開発していく「共創」が行なわれています。

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通常、企業がオフィスなどに何かを設置したいと思った場合、営業マンを派遣して営業活動をしていく必要があります。しかし、「ネスカフェアンバサダー」は、営業マンを使わずにオフィスなど様々な場に「ネスカフェ」のコーヒーマシンを普及させた画期的な施策です。なお、このプロジェクトは、優れたマーケティング活動に贈られる日本マーケティング大賞に選ばれています。

 

共創マーケティングには種類がある

誤解が解けた所で、共創マーケティングの種類を確認しておきましょう。冒頭で説明したとおり、共創マーケティングは、自社だけでできないマーケティングを誰かと協力して実現することです。このため、「誰と行うのか」でいくつかに分類することができます。

共創マーケティングの種類

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まず、共創を生活者と行うのか、企業などの他組織と行うのかで2つに分類できます。例えば、富士ゼロックスは「四次元ポケットPROJECT」で中堅・中小企業複数社と、一社ではできなかった新しい価値創出に取り組んでいます。このように、企業や官公庁など他組織との共創を行うことで自社だけではできないマーケティングを実現することができます。自社だけでなく、他社の技術力を使って商品開発を行う場合や、メーカーが流通からアイデアを募集するなど、他組織と協力することでそれぞれの強みを活かすことができます。

また、生活者との共創にも2つの種類があります。他社コミュニティを利用した事例として、有機野菜などの食材宅配ネットスーパーのOisix(オイシックス)は、生活者が誰でもアイデアを投稿できるコミュニティであるBlabo上で「Oisixの商品企画部」を展開。野菜のネーミングや商品アイデアを募集して、それらをマーケティングに活かしています。コミュニティを利用することで、自社の課題をそのコミュニティの人たちと共に解決することができます。

これも冒頭で触れたことですが、今増えているのは生活者と共に行うマーケティングです。本連載では主に、「自社コミュニティを使った生活者との共創マーケティング」について、事例を交えながら解説してゆきます。

 

目的は「ライフスタイルの共創」

なぜ今、自社コミュニティを使った生活者との共創マーケティング? と疑問を持つかもしれません。背景を理解するには、この手法をとる目的を把握する必要があります。

自社コミュニティを使った生活者との共創マーケティングとは

目的:ブランド体験を共有し、ライフスタイルを生活者と共に創る
手段:自社コミュニティを形成し、顧客理解(リサーチ)や商品・サービス開発、エンゲージメントを高める施策

 
ブランド体験とは、商品をつくったり、購入して生活者が得たかった体験価値です。例えば、無印良品の「IDEAPARK」では、新商品のアイデアを生活者から募集し、投稿されたアイデアの開発や検討の進捗を更新しています。自分が提案したアイデアや「それいいですね!」とコメントしたアイデアが本当に商品になったら、その商品はただ店に売られている商品ではなく、開発に自分が関わった思い入れのある商品になります。無印良品は”企業のモノづくりに参加できるライフスタイル“を生活者に提供しているといえます。

共創マーケティングで自社コミュニティをつくるのは、ブランド体験を共有することでライフスタイルを生活者と共に創るためなのです。そして、コミュニティに集まる人は、商品・サービスの体験を共有したい人です。そのため、購入量やロイヤルティも高いコアファンである場合が多いです。コアファンだからこそ、商品に対してひとこと言いたい・企業の商品開発担当と対話をしたいという強い思いを持っており、リサーチや商品開発の取り組みに積極的に参加してくれます。

また、コミュニティ内の投稿を見て、その商品・サービスをより一層好きになるという効果もあります。週末にFacebookで友人が遊びに行っている投稿を見て、「自分も遊びに行きたい!」と思ったことはありませんか? 同様に、商品・サービスを体験している人の写真や投稿をコミュニティで何度も繰り返し見ることで、もっとそのブランドと近づきたいと思う効果も働くのです。

実際に、飲料の共創コミュニティ内で新商品の感想を聞いてみると、「飲んでおいしかった」という投稿とともに、「みんながおいしいと思うなら飲んでみたい」というコメントも多く見られます。

 

なぜ今、「共創」なのか

コミュニティを使った共創マーケティングが注目されるのには、以下の2つの理由があります。

注目される理由

 理由1:企業と生活者の関係が変わり、新しい商品開発・リサーチ手法が求められている
 理由2:生活者とコミュニケーションをとる土壌ができた

 

企業と生活者の関係が変わり、新しい商品開発・リサーチ手法が求められている

マーケティング3.0で語られる価値主導のマーケティングのように、企業が生活者に商品を提供するだけの存在ではなく、価値を共に作る存在となることが求められています。また、商品のコモディティ化、ニーズの高度化など理由は様々ですが、以前に比べて売れる商品をつくることは難しくなってきています。この課題を解決するために、観察調査(エスノグラフィー)やデザイン思考など、新商品コンセプトのアイデアを生活者の中から探しだそうというアプローチが注目されています。

共創マーケティングでは、生活者の中でも、そのブランドに高いアドボカシー(熱心な支持)を持つコアファンに注目し、彼らとの対話を通して、リサーチや新商品コンセプトのアイデアの種(仮説)を見つけ出します。また、商品開発を行う場合は発売前から新商品のファンをつくれるメリットもあります。

そのため、特にメーカーが自社で運営するECサイト用の商品を開発するために、共創マーケティングを取り入れるケースも増えています。メーカーがECサイトをオープンしても、店頭で売っている商品と同じものを扱っても目新しさがありません。いつでも近所の店舗で買える上に、多くの場合、価格もスーパーなどに比べて割高になるため、思うように売れません。そのため、ECサイトには「ここでしか買えない」といったWeb限定商品の開発が求められます。また、ECサイトでの販売を前提にするため、限られた販促予算で商品を知ってもらい、販売する必要もあります。この課題を解決するために、Web限定商品をコアファンと共に開発し、販促までを共に行う手法が注目されています。

生活者とコミュニケーションをとる土壌ができた

共創マーケティングには、協力してくれる顧客の存在が不可欠です。ここ数年のソーシャルメディアの普及と企業活用の広がりにより、FaecbookやTwitterなどを活用して、企業と生活者が直接コミュニケーションを行い、顧客とのエンゲージメントを醸成してきました。また、生活者一人ひとりのクチコミの影響力も大きくなっています。

そのため、すでにソーシャルメディアでファンとのコミュニケーションを成立できている企業は、これまで積み上げてきたエンゲージメントを活かして、リサーチや商品開発のアイデアをもらうなど、より価値を高めることができる状況にあるのです。

このように、共創マーケティングは、リサーチ・商品開発から顧客とのコミュニケーションまで幅広い領域のマーケティング課題に対応する手法です。このため、「どの部署が主管するのか」、「どの目的を重視するのか」によって施策は大きく変わります。次回以降は、事例を交えながら具体的な施策を紹介していきます。

 
 


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