2014/08/25

【前編】「コミュニティマネージャーの仕事」出版記念セミナーレポート:IKEAのソーシャルメディアアカウント運用から学んだこと

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2014年8月1日に「『コミュニティマネージャーの仕事』出版記念セミナー」(翔泳社主催)を開催いたしました。セミナーでは、著者である当社コミュニティマネージャーの中山領が、これまで企業の内と外からソーシャルメディア公式アカウントの運用に携わってきた経験より学んだことをお話しましたが、今回はその前編として、前職で自社のTwitter公式アカウントを運用していた際に学んだことについて講演した内容を要約してお送りします。

<2014/8/28追記:レポート後編はこちら>
http://www.tribalmedia.co.jp/blog/?p=6660

企業のFacebookページやTwitterアカウントを運用されている方にとっては、参考になること請け合いの内容ですので、ぜひ読んでみてください!


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<講演者>
株式会社トライバルメディアハウス
デジタルマーケティングコンサルティング部
コミュニティマネージャー
中山領(なかやま りょう)

イケア・ジャパンにて公式Twitter アカウント、@IKEA_jp_Anna(アンナ)の運用およびIKEAウェブサイトのコンテンツマネジメント、アクセス解析等を手がける。
2012年にトライバルメディアハウス参画。現在は数多くのナショナルクライアントのソーシャルメディアアカウントにおけるコミュニティマネージャーとして、戦略策定、コンテンツカレンダーの作成、コンテンツの企画・制作、運用、KGI/KPI分析などの業務を担当。


 

IKEAのTwitterアカウント運用時代の経験から

 

IKEAにおけるソーシャルメディア活用の目的

IKEAにいた時のソーシャルメディア活用の目的は、「カスタマーとより近い関係を築くこと」が大きな命題だった。

今までカスタマーとは電話やメールでやりとりしていたが、より気軽にコミュニケーションを取れるようにするためTwitterを使うことにした。広告宣伝やブランディングが目的ではなく、あくまでお客様と1対1で簡単にやりとりできるというところを重要視した。

 

あるツイートがきっかけで人気アカウントに成長

Twitterアカウント運用開始当初は、駐車場の混雑状況をお知らせしたり、IKEAについてツイートしている方にこちらから話しかけたりしていた。

ただ、能動的にIKEA関連のツイートに反応していくと、変わった質問が多く寄せられるようになった。そして、ある日、「IKEAでロケットランチャーが売っていると聞いたんですが本当ですか?」というツイートが寄せられた。

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当時、このツイートを見たときに、返答するかどうか迷ったが、最終的に返答した。今ではわりと軟式アカウントというのは多くなってきたが、当時はかなり珍しかった。そのため、企業がこのようにちょっとふざけたツイートに対して、ちゃんと取り合うんだ、というところが話題になり、そこから話題が広がっていった。

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このツイートがきっかけで、ふざけたツイートが度々寄せられるようになり、ツイートに対してリプライし続けていたら、結果的にトゥギャッター、NAVERまとめ、はてなニュースなどに取り上げて、約半月で3万フォロワーを獲得するに至った。

参考】トゥギャッター「IKEAにおいてないもの」
http://togetter.com/li/178307

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運用体制づくり                

おもしろツイートというのは、いわゆる「中の人」が一人でやっていると他の業務もある中でリソースが厳しくなって続かない。そのため、「中の人」依存型ではなく、いかに組織として運用体制を作り継続的に良質なコミュニケーションを提供していくか、というところをかなり真剣に考えるようになった。

実際にIKEAの公式Twitterアカウントが組織としての体制を作るにあたって実施したのは「コンセプト固め」、「運用の基本フレームワークの確立」、「運用担当者の確保、チーム組成」の3つだった。

1.コンセプト(キャラクター)固め

1つ目のコンセプト固めだが、アンナはキャラクターアカウントなので、そのキャラクターの立ち位置を確定させないといけないというのが出発点だった。そこで、キャラクターを確定させる方法として取り組んだのが、アンナの履歴書を作るということ。

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IKEAに来る一番メジャーな層に合わせてアンナのプロフィールを作り、「なぜTwitterを始めるのか」や自己PR、つまり「アンナがどういうことができるのか」ということも書いた。そして、その書きぶり自体がアンナの口調のトンマナになるようにした。

当時は複数人でツイートを担当していたのだが、この履歴書が1枚あれば、どの担当者が見ても、「あ、これをベースにしてツイートすればいいんだ」というのかが分かるようにした。

2.運用の基本フレームワークの確立

2つ目は運用の基本フレームワークの確立。IKEAも当初はひたすら一人で張り付いて対応している運用だったが、一人体制だと組織として健全に回っていかないよね、という話になり、まず対応時間帯を決めた。

たとえば、ツイート開始のタイミングに「God morgon!(グ モロン) おはようございます!」などとツイートすることにより1日のTwitter運用開始のお知らせを行い、「今日のツイートはここでおしまいです。また明日もよろしくお願いします。」などとツイートすることにより1日のTwitter運用終了のお知らせを行った。


そして、基本的なオペレーションフローを決めた。例えば駐車場の混雑状況をツイートする場合は、定期的にツイートするものなので、各店舗の警備室から今どのくらい混んでいるかという情報を取らないといけない。これを、毎週土日の決まった時間に自動的に報告してもらうようにした。

また、リスクマネジメントも気にした。運用していればなにかしら炎上のリスクがあるので、私がIKEAにいた時は、コンシューマーリスクの部署とホットラインを設けて、何かあった時にすぐ対応できる体制を作った。 その他に心掛けたこととして、基本的には100%リプライすること。また、どんな質問が来ても必ず返答すること。くだらない質問への対応も含めて、フォロワーの期待にプラスαした内容をリプライするように各担当者に徹底させるように心掛けた。

3.運用担当者の確保、チーム組成

3つ目は運用担当者の確保。IKEA時代は、Twitterの運用はお客様対応であるということで、コンタクトセンターに所属していた。コンタクトセンターにはオペレーターが100人前後いたが、その中から、「あの人はソーシャルメディアに明るいらしいよ」などの情報を聞いて周り、めぼしい人に声をかけて、5人のチームを作った。最終的に、この5人でTwitterの運用を回していくようにした。

複数人で運用すればするなりに、色々と問題が起こる。「この人はこの人のツイートが気に入らない」とか、「この人のツイートはちょっと的外れなことがある」とか、細かい微調整に非常に苦心した。一人ひとりのモチベーションの管理や、ツイートの内容を細かく見ていくこともコミュニティマネージャーの重要な仕事だった。

面白いネタを考える、という仕事もちろんあるが、それ以上に、いかに組織化していかにうまくアカウント運用を進めていくことができるかが、大きなポイントだと思う。

 

IKEAのTwitterアカウント運用経験から学んだこと

IKEAIKEAのTwitterアカウント運用から学んだことは、以下の5点にまとめられる。

1.フォロワーは思ったより温かい(むしろ熱い)

フォロワーの数がある程度になると、すごく熱い反応がもらえるようになります。その熱い反応をもらったときに、さらにこちらから反応することにより、その盛り上がりはどんどん広がっていく。ソーシャルメディアは基本は1対1のやりとりだが、その1対1のやりとりを他の人が見れるので、「このアカウントは面白いな」ということで話題になると、より注目が集まってくるようになる。

2.狙いすぎると(だいたい)スベる

とはいえ、調子に乗ると失敗する。「今日も100RT達成だ!やった!」などと調子に乗り始めて、ウケを狙おうと頑張ると、だいたいスベってしまう。実際にそういう経験もしました。 ただ、何もやらずにいるよりは、何かをやってスベったほうが多分いい。振り幅が重要で、「このくらい振ってみてもいいかな」というツイートをしてみていて、それにファンが反応してくれるかどうかを試して振り幅を調整していくことが大事。

3.世の中ゴトとの連携の大切さ

みんなが知っていることは話題になりやすい。そこをいかに自社のツイートに取り入れていくかがポイントだった。おもしろツイートを作り出すのは、本当に連想ゲームのようなもの。「世の中で流行っていること」と「自社がやっていること」をいかにうまくユニークに結びつけるかが勝負。それができれば、経験上、大抵の場合は人気投稿として拡散された。

4.社内からの認知の重要性

IKEAの公式アカウントの場合は、かなり人気が出て、フォロワーも順調に増えていってはいたが、2011年当時、まだTwitterをやっている人も少なく、社内の理解はそれほど進んでいなかった。社内から情報が集まれば集まるほど、色んな情報が取り扱えるようになるので、そのアカウントは人気になる。 そのため、いかに社内に認知してもらって存在感を出していくかというのは、アカウント運用において非常に重要。

5.日々の細かい積み重ねが、強固なエンゲージメントの獲得へとつながる

日々のツイートは1対1のやりとりだが、その積み重ねによってフォロワーとのつながりが徐々に濃くなっていき、固定のフォロワーがつきはじめる。アンナの場合も「アンナさんとのやりとりがきっかけでこの家具も買っちゃいました」というようなツイートもいただけるなど、日々の運用の積み重ねが実際の売上につながるケースもあった。やはり日々のコミュニケーションの積み重ねが大事。


 

以上、セミナーレポートの前編をお送りしましたが、いかがでしたでしょうか。

中山の講演を聞いていて、特に印象に残ったのは「チームの体制づくり」の重要性を繰り返し語っていた点です。企業の公式アカウントの「中の人」の経験を持つ中山だけに、いかに仕組み化していくかの重要さを身にしみて感じていることが伺えました。

コミュニティ運営に日々取り組まれている企業担当者の方にとって、今回のセミナーレポートが参考になれば幸いです。 次回は、セミナーレポート後編として、「複数社のコミュニティマネージャー経験から見えてきた、運用のポイント」をお送りします。

それでは、また次回!

 


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