ソーシャルメディアマーケティング支援会社のトライバルメディアハウス

tt_05.png

2012年05月10日

author:高野修平

533063_362768407094157_100000830028031_891850_29423038_n.jpeg

『共有』→『共感』→『共鳴』のサイクルを描くにあたって、音楽に対して最も関与度が高くなるのは、『共鳴』に他ならない。その『共鳴』が起こりうる場は基本リアルだ。リアルというのはライブ、コンサートなどいった直接的体験である。

ライブやコンサートでいえば、楽曲だけでなく、アーティスト、照明、映像、音響、観客すべてが総合的に『結晶』として結実されるからこそ、コピーできないただひとつの体験として価値が生まれ、『共鳴』が生まれる。

今回はリアルでの『共鳴』はファンのレイヤーの階層を一段ずつではなく、3段飛ばしで引き上げることのできる唯一の方法だということについて考えてみたい。

今回のポイントは3つだ。
1、コアファン「だけ」をターゲットにするのではなく、コアファン「から」ターゲットを広げる
2、ソーシャルグラフを最大活用させるために『共有』できるコンテンツをソーシャルメディア上に配置する
3、リアル「だけ」がファンの階層を一気に引き上げることができる


◆ライブに訪れるのはすべてがコアファンではない

先日、初めてPerfumeのライブに行く機会があった。それはそれは素晴らしくて感動するライブだった。ここ最近のライブで最も心震えたと言って良い。Perfumeのライブはもちろんコアファンが圧倒的に多いわけだが、重要なのは「初めてPerfumeを見る人」であり、「ちょっとPerfumeに興味があった人」である。

お金を落としてくれるのは基本はコアファンだ。なので、いかにコアファンに継続的にお金を払ってもらえるかが大切だ。それはCDであり、グッズであり、ライブチケットだ。

しかし、それではあまりにもパイが小さい。今後重要なのは「いかに潜在層を顕在層にするか」であり、「顕在層はいかにしてミドルファン、コアファンへと階層を引き上げることができるか」である。

スクリーンショット 2012-05-10 1.29.19.png

その際、ソーシャルメディアも含めたwebだけでは当然限界がある。
ソーシャルメディアでできることは基本『共有』と『共感』だ。そして、そのステップは着実な一歩一歩進む階段である。顕在層がいきなりコアファンになることはあり得ない。

あるアーティストのコアファンがソーシャルメディア上でコンテンツを『共有』して、そのコアファンのソーシャルグラフの誰かがコンテンツに接触して『共感』したとしても、それは潜在層から顕在層へ移行しただけに過ぎない。

例えば、その中のひとつに昨日から話題のPerfumeマッシュアップの件がある。これはクワトログラフのミュージックグラフとリレーショングラフが中心となり違う音楽からPerfumeを知る、逆にPerfumeから別の音楽を知ることで『共有』『共感』の架け橋を作り、ライトファンを作り出すことができる。また、よりPerfumeのエンゲージメントをユーザ主導で生み出すこともできる。そこにソーシャルグラフが交わりいま、ソーシャルメディア上で話題となっている。これも潜在層を顕在化するひとつである。(しかしおそらくこれはPerfume側の意図したものではなく結果的にだと推測する)

さて、顕在化したユーザ並びにライトファンがそこでライブというリアルに足を運ぶためには、そのコアファンとの連動が必要になる。つまり、コアファンがエヴァンジェリスト(伝道者)となり自身のソーシャルグラフでの友人を「巻き込む」ことができるかどうかである。

その興味が顕在化された、もしくは関与度が低い友人は自身ではおそらくライブに行こうとは思わないし、積極的に情報を取得しようともしない。なぜなら、まだそこまで関与度は高くないからだ。

しかし、そこに信頼に足るコアファンのソーシャルグラフの友人が付加されることで、そのハードルは越えることができる。なぜなら、コアファンが「勝手に」そして「熱く」その友人に情報を伝達するからだ。私自身もよくある現象だ。僕がエヴァンジェリストになることもあれば、エヴァンジェリストから誘われることもある。

つまり、100人のコアファンを作る100Tribes(ワンハンドレッドトライブス)をいかに101Tribesできるかがリアルを含めたソーシャルメディアができることで重要なことになる。

すると、音楽発信側からすると、いかにコアファンがエヴァンジェリストとなるようにできるか、そしてエヴァンジェリストが伝達できるように『共有』できるコンテンツをソーシャルメディアを含めたweb上に配置できるかがポイントになる。



2222.png
エヴァンジェリストに誘われて訪れた顕在層やライトファンがリアルでの『共鳴』により、自身がコアファンへと進化し、新しいエヴァンジェリストとなり、コアファンの母数を増やしていく。そこにソーシャルメディアを活用することで循環が生まれる。現時点でのコアファンに限定しないことが重要だ。


◆リアルこそが『共鳴』を生み出す最大装置

ソーシャルグラフ内のコアファンをエヴァンジェリスト化することは今後大事なことだ。
改めて書くが、コアファンを作り出す「だけ」では足りない。コアファンがエヴァンジェリストになり、第二第三のコアファンを作り出せるかが鍵だ

では、どうやったらコアファンになるのか。それは『共鳴』しない限り起こらない。
その『共鳴』を生み出すことができるのがリアルという名のライブでありコンサートだ。

話をPerfumeに戻そう。
Perfumeを初めて見た僕は今まで知り得なかったことばかりだった。
のっち、かしゆか、あーちゃんのキャラやMCの卓越さ、ライブ構成、丁寧に深く深くするお辞儀、素晴らしい照明、ダンス、映像。お客さんひとりひとりを大事する姿勢、そして、なにより本当に楽しそうにパフォーマンスをする3人。

テレビや雑誌で多少のイメージは存在していたが、まさかここまでとは思いも寄らなかった。もちろん、Perfumeだから成立する要素もあるのは事実だが、リアルはwebで音源を聴く、Youtubeでミュージックビデオを見る、だけでは絶対にわからない瞬間の熱量がそこにはある。


コアファンの中にいるライトファンというのは得てして疎外感を感じてしまいやすいものだが、少なくともPerfumeはコアファンをもちろんのこと、僕のようなライブに行ったことがないライトファンまでも意識されたパフォーマンスだった。

『共有』や『共感』と『共鳴』の明確な違いは「身体性」が存在しているか否かだ。
生で体験する、体感することはコピーできない。コピーできないただのその数時間が消えない数時間になる。リアルでの【共鳴】はファンの階層を飛び越える。ライトファンが一気にコアファンへ変異するきっかけを生み出せる。

「Perfumeのライブ最高だったー!」「Perfume大好き!」
ライブが終われば『共鳴』を起こしたファンがソーシャルメディア上に感情を『共有』する。すると重要なのはその熱量をどれだけ持続させられるかである。そして、ライトファンからコアファンへと進化するための「おもてなし」の準備がweb上やその他施策でできるかである。それはつまり、『共鳴』→『共有』→『共感』のサイクルになる。ソーシャルレゾナンスとは『共有』からすべてが始まるわけではない。

そういう意味では『共鳴』後の熱量を持続、継続、拡散させるために、アーティストサイトにあるコンテンツを『共有』化し、入口をたくさん設け、出口もたくさん設け、この場所でも十分に享受できる国際線の空港のようにソーシャルターミナル化することは重要だろう。

音楽は生で体感することがいちばん素晴らしい。
そして、アーティストとの絆や応援のためにCDを買ったり、グッズを買ったり、感情をパッケージ化する。その流れの中にいかに『共有』→『共感』→『共鳴』のサイクルであるソーシャルレゾナンスをどう設計するかが今後大切になってくる。

しかしながら結局、今回言いたかったことはただひとつで僕はPerfumeが大好きだということである。サマソニ出演決定にも嬉しさがこみ上げる火曜日の夜でした。



※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!

tt_05.png

2012年04月23日

author:高野修平

2012-04-23_190151.png


4月13日から15日と4月20日~22日まで音楽とアートの祭典コーチェラフェスティバルが開催された。世界に先駆けたこのフェスはソーシャルメディアの取り組みにおいても先進的だ。

ひとつひとつの取り組みを「すごい」というのが簡単だが具体的に何がどうすごいのか。
今回はコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア全体戦略について考えてみたい。



◆多様なソーシャルメディア展開


コーチェラフェスティバルが実行した個々のソーシャルメディアが何をどうやっているのかについては以下に詳しいブログがあるのでそちらを読んで頂きたい。

・コーチェラに見る音楽×ソーシャルメディア戦略

9 Ways to Follow Coachella on Social Media


コーチェラフェスティバルが実施したソーシャルメディアはその数11と非常に多岐にわたる。
(Mashableの記事では9つとあるが、厳密に言うと11だ)

活用ソーシャルメディアはfacebook、twitter、Google+、Youtube、reddit、Pinterest、foursquare、Instagram、tumblr、spotify、APPSと今世の中である程度マーケティングに使えるソーシャルメディアをフル活用しているといえるだろう。

特に毎回注目されるのは、Youtubeのwebcast(生放送)だ。
コーチェラフェスティバルに参加することのできない世界中の人々に向けてブロードキャストするこの試みはこれからのフェスのあり方を示すひとつの大きなひとつであると思う。

また、すぐさまアーカイブ放送やハイライトで時間軸を超えて見ることができる点はソーシャルメディア時代のフェスのあり方において大きなベネフィットをもたらす。



しかし、コーチェラフェスティバルで感嘆すべきはYoutubeだけではない。
フェス前、フェス中、フェス後という3軸とフェス参加者とフェス不参加者とそれぞれに合わせたソーシャルメディア施策を実行していることにある。

コーチェラフェスティバルの各ソーシャルメディアのポジショニングマップを見ながら考えてみよう。
横軸をフェス前とフェス後(中心点がフェス中)と設定し、縦軸をフェス参加者とフェス不参加者とする。


soailmediapm.png

ソーシャルメディアでフェス前にできること、フェス中にできること、フェス後にできることを各ソーシャルメディアの特性に合わせて整理された状態で設計されている。また、フェス前、フェス中、フェス後という時間軸とフェス参加者とフェス不参加者を問わず横串で横断するソーシャルメディアも配置している。

このようにただ闇雲にソーシャルメディアを多く運営すればいいわけではなく、それぞれの時間軸とターゲットに対して適切なソーシャルメディアを選定することが重要だ。それはつまり、それぞれのソーシャルメディアに対して「意味がある」ことになる。

facebookである理由。twitterである理由。Spotifyである理由。
それはユーザ層が生息しているやアクティブ数などだけではなく、全体戦略の中でどうそれぞれを機能させるかということだ。

例えば、横串で横断するfacebookとGoogle+は同じようで投稿内容や運営方法は違う。個々のソーシャルメディアの役割の明確化はソーシャルメディア全体戦略なしには見つけ出すことはできない。



◆コーチェラフェスティバルのソーシャルメディア全体戦略


ソーシャルメディア施策を全体として俯瞰してみた場合、いくつか発見することがある。まずは中心点としてソーシャルターミナルであるwebサイトがある。そのまわりにベースキャンプソーシャルメディアとしてfacebook、twitter、Google+、redditが存在している。そして、それを取り巻くようにspotifyやYoutube、Pinterestやfoursquareなどがある。

コーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略として重要視することは以下の2つだ。

②ユーザがどのソーシャルメディアで何を『共有』するのかを設計する
③どこから『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを作り出すか


厳密に言うと全く違う企業だったり、プロダクトであったりで全体戦略の方向性や指針は変わる。
今回はあくまでコーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略だということを注記しておきたい。



◆ソーシャルメディアで何を『共有』させるのか?


まずソーシャルメディア全体戦略をプランニングする上で、最重要なのは各ソーシャルメディアで何を『共有』させるのかという点だ。もちろんそのためには各ソーシャルメディアの特性や違いを明確に理解している必要がある。

さきほど各ソーシャルメディアには役割があり、特性に合わせて設計されていると書いた。図1のコーチェラフェスティバルの各ソーシャルメディアのポジショニングマップはどのソーシャルメディアの位置づけも平面で表現されているが、この図は各ソーシャルメディア同士の連携や基点となる場所の相関関係を示している。

そして、図2のコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア戦略全体図で見てみると、各ソーシャルメディアによって『共有』されるものは全く違うことがわかる。

socialmediast.png

facebookやtwitterで『共有』されるものは「コーチェラコンテンツ全般」になる。
spotifyで『共有』されるものは「音源」になる。
Youtubeで『共有』されるものは「ライブ、アーティスト、雰囲気」になる。
Pinterestで『共有』されるものは「景色、ファッション、雰囲気、食事」になる。

また、ユーザそれぞれの感情がベースとしてあることも忘れてはいけない。

このようにコーチェラフェスティバルという多様で多彩なコンテンツを誇るものにたいしてはあらゆる切り口、フックで『共有』されるものを作り出す必要がある。そして、その『共有』されるものを導き出すためにクワトログラフを用いる

facebokやtwitterで適用されるグラフは「ソーシャルグラフ/インタレストグラフ」になる。
spotifyで適用されるグラフは「ミュージックグラフ」になる。
Youtubeで適用されるグラフは「ミュージックグラフ/インタレストグラフ」になる。
Pinterestで適用されるグラフは「リレーショングラフ」になる。

各ソーシャルメディアの特性と役割を明確にし、各ソーシャルメディアで何を『共有』させるのかをプランニングする。そして、その『共有』させるものによって各ソーシャルメディアのKPIの設定も変わるはずだ。

そして、何より同時にクワトログラフを用いて、その『共有』はどのグラフに伝搬するのかを設計する。コーチェラフェスティバルから見るソーシャルメディア全体戦略とはかくも複雑で難しい。だからこそ、詳細で綿密な全体戦略を描く必要がある。



◆『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを各ソーシャルメディアで設計する

常々このブログでは『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを生みだすことが重要だと述べてきた。大切なことは、どこから『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』を生みだすかである。すると、各ソーシャルメディアによってそのサイクルの始まりは変わることがわかる。ここでもう一度、図2のコーチェラフェスティバルのソーシャルメディア戦略全体図を掲載する。

socialmediast.png


例えば、spotifyであればコーチェラフェスティバルの場合、フェス前とフェス後に価値を生むソーシャルメディアだが、ここでのサイクルは『共有』⇒『共感』のサイクルが適用される。『共鳴』というのは原則リアルの場でしか生まれないものなので、ここで『共鳴』までのサイクルには到達しない。

また、Youtubeも『共有』⇒『共感』のサイクルを描く。しかし、webcastという特性上、極めてリアルに近い『共鳴』にまで至るケースはあるが、ここで『共鳴』が起きた果てはコーチェラフェスティバルに参加したい!である。なので、アーカイブ放送なども行なっているので厳密に言うと『共有』⇒『共感』⇒(共鳴)が正しいかもしれない。

一方、PinterestやTumblrなどは実際に参加している人たちが景色やファッション、食事などのリアルの体験を経てソーシャルメディアで発信するため、『共鳴』⇒『共有』のサイクルとなる。もちろん、コーチェラフェスティバルに参加した人々の熱量がソーシャルメディアに発信される場合も『共鳴』⇒『共有』のサイクルとなる。

このように、『共有』⇒『共感』⇒『共鳴』のサイクルを描くソーシャルレゾナンスをどう設計するかが重要だ。これをどれだけプランニングできるかがソーシャルメディアを実施する上での鍵になる。そして、コーチェラフェスティバルで興味深いのは一度やったフェスをもう一回翌週に開催したことだ。

リアルのフェスをもう一度、回しまたその思いがソーシャルメディアに循環されることは非常にコーチェラフェスティバルの潜在層、顕在層の購買意欲、想起度、訪問意向が高まったはずだ

世界のフェスでも先進的にソーシャルメディアに取り組むコーチェラフェスティバルはあらゆる意味でモデルケースとなってくるだろう。日本でもコーチェラフェスティバルのようにソーシャルメディアと連動したフェスが出てくることを願ってやまないし、僕自身もチャレンジしてみたい。


かくいう僕はコーチェラフェスティバルに行ったことがなく、いつか行きたいと毎年思うのである。

そして、今回の表紙と下の写真はコーチェラフェスティバルに参戦している音楽仲間の@kamikouさんからお借りしました。死ぬほど、うらやましいです。


2012-04-23_145318.png


※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!

tt_05.png

2012年04月04日

author:高野修平
top0404.png

現在、誰でもが簡単に情報やコンテンツを発信できるようになり、モノづくりのハードルは圧倒的に下がった。

映像、音楽、言葉、写真、ダンスetc。
何かを表現するという行為は誰でも平等に可能になった。1億総クリエイターと言ってもいい。

その中で今回はソーシャルメディアを使いながらアーティストプロモーションを行なっている事例をもとにソーシャルメディア発から生まれるアーティストの可能性について考えてみたい。


◆国籍・経歴一切不明シンガー【GILLE】

最近、Yahooニュースにも取り上げられていたアーティストがいる。
Youtubeでは240万回の再生を記録したGILLEというアーティストはこの度、ユニバーサルミュージックと契約したと報じている。

彼女は「Let my music be heard to the world」(私の音楽よ、世界に届け!)」というメッセージとともにYoutubeに映像を公開している。

映像の中身は、AKB48の「フライングゲット」の英語カバーだったり、ヒルクライムの「春夏秋冬」の英語カバー、アデルなどを歌い上げている。彼女のミステリアス性と圧倒的な歌唱力が相まってweb上で話題になっている。


彼女が素晴らしい点は以下4点にある。

①音楽をまず「聴かせる」ということに重きを置いている点
②ユーザが興味を持ちたがるミステリアス性(正体を明かしたくなる/語りたくなる)
③あらゆる方面から興味を持ってもらえるような多彩なカバー(AKB48、ヒルクライム、アデル、原田真二)
④抜群の歌唱力(歌唱力、英語力)


◆若手シンガーソングライター集団「Goose house」

Goose houseは男女9名で構成される音楽集団だ。
もともとはソニーウォークマンのプロジェクト「PlayYou.House」で生まれたメンバーたちがシェアハウスをしながら、音楽を奏でている集団だ。


Goose houseは自身のサイトをソーシャルターミナル化し、アーティストサイトをハブ化し各ソーシャルメディアへ自由に行けるように設計されている。合わせて、このサイト自体でもたくさんのコンテンツがあり、楽しめるようにオンラインストアなども開設している。

goose.png

ソーシャルメディアにおけるファン数も多く、facebookで約11000人、twitterで約16000人フォロワー、Youtubeでは約1200万再生、Ustreamでも最大瞬間視聴2000人を記録している。(4月4日現在)

彼らの素晴らしい点は以下の4点にある。

①あらゆるソーシャルメディアを駆使して音楽を聴かせることに注力している(facebook/twitter/Youtube/Ustream)
②シンガーソングライターがみんなでシェアハウスに住んでいるという話題性
③誰もが知っている曲をカバーすることで、興味喚起を促進
④Goose house内メンバーの組み合わせや連動と個々人の優れた歌唱力


◆謎の多国籍ロックバンド、The A.i.U.

東京を拠点とする無国籍でドラムレスの3ピース・バンドでデモ音源「Loser(ver.0)」のフリーダウンロードを名刺代わりに配信し、話題となった。

Ustreamも巧みに使い、海外女性シンガーの存在やバンドのミステリアス性を兼ね備えながら活動している。



音源を無料で解放した中でもたくさん解放するのではなく、勝負曲でというところが興味深い。例えば、The A.i.Uではないが、myspcaceに無作為に数曲公開するよりも、絞りに絞った勝負曲をどう聴いてもらえるかを設計したほうがいい場合がある。その中で、The A.i.Uはその戦略として素晴らしかったと思う。

彼らの素晴らしい点は以下3点にある。

①勝負曲だけを解放させた(Loser/CPU)
②深堀したくなるバンドのミステリアス性(外国女性シンガー/大型フェスを経験した某ダンスロック・バンドを脱退したばかりの大型ギタリスト/ノイズ&トリートメント担当の国籍不明の謎の美少年)
③優れた演奏技術と歌唱力


◆ソーシャルメディアを活用する上での3つの共通項

これまでGILLE、Goose house、The A.i.Uを例にとって
ソーシャルメディア発のアーティストがどう生まれてきていて、何が素晴らしいのかを考えてみた。すると、ある共通点が見えてくる。

それは各アーティストの箇所でまとめた通りなのだけど、改めて記載してみる。

①音楽(映像)を解放することが、音楽(映像)を引き寄せる(共有)
②クチコミコミしたくなる要素を兼ね備えている(共感)
③演奏力や歌唱力などの優れた技術(共鳴)

当たり前じゃないかと思われるかもしれないが、その通りでこれはあくまでベースである。
逆に言うと上記①~③はすべてつながっており、どれがかけても成立しない。
①(共有)なくして、②(共感)はないし、③(共鳴)なくして、①は広がらない。

②のクチコミしたくなる要素も案に「新曲リリース!」などといった内容ではある一定の層までにしか届かない。クチコミしたくなる要素とはコアファンはもちろんのこと、そこからいかにしてライトファン、顕在層、潜在層に届かすことができるかだ。

確かに②の部分でのミステリアス性や掘りたくなるような感覚は以前より実践されていた手法ではある。しかし、ソーシャルメディアによってより一層そこの設計が大切になってきている。

そして、いかに【共有】⇒【共感】⇒【共鳴】のサイクルを回すがやはり重要になってくる。それはソーシャルメディアがコミュニケーションインフラとして機能しているからこそ可能になる。①だけでも難しいし、②だけでも難しい。これを土台とした上で、どうコミュニケーションを設計するかが大事だ。

特に大きく爆発させるためには、「世の中ゴト」に変貌させる必要がある。
「自分ゴト」⇒「仲間ゴト」⇒「世の中ゴト」への広がりをどう練っていくか。

また、自身の音楽ターゲットに対していかに興味喚起を抱いてもらうにあたって
クワトログラフのミュージックグラフを活用するかも合わせて重要だ。

GILLEやGoose houseのカバー曲を見ていても、カバー曲を見ているとそれぞれのメインターゲット層が見えてくる。いきなりオリジナル曲を聴いてもらうよりも、自身の音楽ターゲットが「好きな曲」をカバーすることで、興味喚起の需要をあげることができる。そして、そのカバー曲も多面的に行うことが重要だ。カバーを挟んだほうがターゲットが「自分ゴト」しやすいはずだし、よりクチコミしたくなる要素を兼ねることができる。


◆世界共通のコンテンツ解放

音楽は聴かれて初めて光を放つ。ここがまず最初のゴールである。

ここからいかにマネタイズという点で考えると、例えばGoose houseはソーシャルメディア上で活動するアーティストならばダウンロード販売の売上がCD販売を上回るのかと思いきや、実はCD販売の方が多いとのこと。そして、USTREAMやYouTubeの視聴者数とライブ動員数は、比例して増加しているデータが出ているとインタビューで語っている。

上記アーティストで述べた想定ターゲットが興味を持つ層のカバー曲から知ってもらう方法もまたひとつだが、誰でも知っているアーティストでも面白い取り組みをしている。

Perfumeは日本では誰でも知っているアーティストであり、アジアでも人気だが、まだまだワールドワイドではまだ認知されるにいたっていない。

Perfumeのグローバルサイトでは現在、非常に面白いコンテンツを解放している。それはモーションキャプチャデータを解放し、ユーザに自由にビデオを作ってもらうのだ。

perfume1.png
ユーザが制作する数は決して多くはないかもしれないが、そのぶん優れたコンテンツが生まれる可能性は高い。そして、ユーザから広げるPerfumeが生まれる。アーティストをユーザに委ねる。共に創り上げていく。まだまだ再生回数も制作本数も少ないが、これが世界中にうまく広がればいいなあと個人的に思っている。







このように、音楽を囲い込む時代から音楽を解放する時代に向かっている中で、解放するコンテンツ自体も様々な方法がある。

そして、ソーシャルメディアを活用する上で共通する3つのことをベースにインディーズ、新人アーティスト、誰でも知っているアーティストそれぞれコミュニケーション設計していくことが、今後重要になってくると思っている。

ただし、ソーシャルメディアからモノが売れることは極めて難しい。ソーシャルメディアは売れる(CD、配信、ライブチケット)に直結するものではないので、再生回数が何万回いこうが、どんなにツイートされようが、売上とはマーケティングの総体なので、コミュニケーションだけでモノが売れるわけではない

しかし、まだまだ日本でソーシャルメディアから生まれた誰でも知っているアーティストは少ない。というかいないに等しい。あえて言うなら初音ミクだろう。そういった中で今後日本でも生まれてきてくれることをいち音楽ファンとして願っている。そして、僕自身も仕事としてチャレンジしたいなあと思っている。

※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!

tt_05.png

2012年03月26日

author:高野修平
jdkdoo.png

音楽をマネタイズしていく上で、コミュニティの存在はひとつのカギを握る。
今までのようにCDが売れることは悲しいけど、難しい。

ソーシャルメディアで音楽ビジネスに光を灯すには、コアファン同士をつなげることと
コアファンから潜在層や健在そうライトファン層へ階層を引き上げ、ファンのレイヤーをあげることだ。

今回はソーシャルメディア時代の音楽コミュニティの未来を考察する。



◆コアファン同士をつなげるコミュニティ「タコツボ」

音楽に対してCDであれ、ライブであれ、ファンクラブであれお金を支払うのは
基本コアファンだ。アーティストに対し、楽曲に対し、ライブ(フェス)に
自分ゴト化されたユーザはそこに価値を見出す。

ソーシャルメディア時代の音楽コミュニティを考える上で、
重要なのは「タコツボ」と「トライブ」の違いを分けて考えることだ。

これからの時代においてコミュニティはひとつの未来を描く。
そのコミュニティはあらゆる言葉で言い表される。

ここでまずその中でも最も使用される「タコツボ」について定義したい。
まず大前提としてユーザは囲い込まれたいなんて思っていない。
ソーシャルメディアは囲い込む場所ではない。

「タコツボ」とは一言で言えば、限定された空間での膨大な熱量が伴う一見さんお断りの場所だ。分かりやすい例はファンクラブだろう。

あるアーティストに対して圧倒的な熱度でコミュニケーションが交わされる。
自分にとって代替のきかない特別な存在として位置づけられている。

ここにライトファンやミドルファンは存在しなく、コアファンしか存在しない。
だからこそ、膨大なコミュニケーションや情報が日々やり取りされ、
彼らが基本的にお金を落としてくれる。

このコアファン同士とつなげるコミュニティこそが「タコツボ」である。
ソーシャルメディア時代の音楽ビジネスを考える上で、この「タコツボ」をどれだけ構築できるかが肝になる。しかし、注意が必要なのは「タコツボ」だからといってユーザはひとつの「タコツボ」だけに属しているわけではない。

その「タコツボ」の関与度の高低はあるにせよ、あらゆる「タコツボ」に属している。そして、なにより「タコツボ」といえども囲い込まれたいなんて思っていないことだ。



◆ライトファン、ミドルファンをコアファンへ引き上げる「トライブ」

このブログでもソーシャルメディア時代の重要な要素として100人のコアファンを作る
「100Tribes(ワンハンドレッドトライブス)を述べているが、いかにトライブを構築できることが重要な要素だと述べてきた。

Tribeとは「年代や性別を超え、共通の趣味や興味、価値観で形成される部族」という意味で、トライバルマーケティングとは「Tribe(部族)ごとに最適化されたマーケティングを実施すること」を指す。

まず100人のエヴァンジェリストを作り出す。ライトファンではないコアなファンだ。
エヴァンジェリストが自分たちを応援してくれる、友人を誘ってくれる。
そういったTribe(部族)を100人作り出すことだ。

「トライブ」はその名の通り、「部族」を指すので一概に音楽だけでなくてもいい。
そこから派生するファッションやカルチャーも内包した広がりのある概念だ。それに対して「タコツボ」というのは広がりの幅が狭い。

ソーシャルメディアというツールをうまく活用するためには、トライブの形成が不可欠だ。
しかし、もっと重要なのは「タコツボ」と「トライブ」を使い分けることだ。

「トライブ」は「タコツボ」のように一見さんお断りなのではなく、誰でもが参加でき、コアファンがライトファンの意識変容や態度変容を促すことだ。



◆ソーシャルメディアの用途をどう使い分けるか

ソーシャルメディア時代の音楽コミュニティを形成する上で、この「タコツボ」と「トライブ」を混在させ、同一化させるとうまくいかない。

イメージとしては、「トライブ」の中に「タコツボ」が存在する。
「トライブ」でソーシャルメディアを活用することは、情報に加えてエヴァンジェリストが自分の感情を付加して、ライトファンをソーシャルメディアを通して引き上げることだ。

一方、「タコツボ」はコアファン同士のコミュニケーションなので、情報に加えて自分の感情を付加することは当然のこと、情報自体よりも情報が生み出される付随要素を拡張させることのできる人が集う場所だ。

そう仮定した場合、ソーシャルメディアを活用する用途が変わる。

「トライブ」はソーシャルメディアを用いていかにコンテンツとソーシャルグラフを中心軸にして、ライトファンを巻き込ませるかであり、誰もが興味のレイヤーが上がれば参加できるオープンなコミュニティになる。ヒト+コンテンツのコミュニケーションだ。

「タコツボ」はソーシャルメディアを用いていかにソーシャルグラフとは別のコアファン同士の感情と経験、体験をつながりあえる機能を用いるかといったクローズドなコミュニティになる。インタレストグラフのヒト+ヒトのコミュニケーションだ。

例えば、「トライブ」として当てはまるのはmixiコミュニティ(例外はある)であり、facebookページであり、USTREAMのソーシャルストリーム(twitter)だ。

逆に「タコツボ」として当てはまるのは、ファンクラブであり、会員制サイトであり、ユーザ主導形成のアンオフィシャルなファンクラブになる。ここではソーシャルメディアの特徴のひとつである拡散性は必要ない。それよりもコアファン同士でいかに熱量を高めあえるかが重要だ。また、ソーシャルメディア時代のファンクラブのあり方も当然変化していく。その部分はまた違う機会に考察する。

これからの時代は、これだけ情報が溢れ、音楽に時間を割くことが圧倒的に少なくなった現在、いかに音楽に対する時間をいただくか。これは至上命題だと言っていい。

その中でコアファンに焦点を当て、ビジネスモデルを考えるのは至極まっとうなことだが、その中でも実は「タコツボ」と「トライブ」という2種類あることを忘れてはならない。

コアファン同士だけをつなげる「タコツボ」だけでは母数の拡大は見込みづらい。
そのために、コアファンがエヴァンジェリストとなり潜在層や顕在層といったライトファンの階層を引き上げる「トライブ」が必要になる。

「タコツボ」と「トライブ」のふたつの車輪が回りだすことで、ソーシャルメディア時代の音楽コミュニティは輝きを生み出す。同時に「タコツボ」と「トライブ」を有機的に組み合わせる、連動させることがより一層双方の価値を高める。



wwwww.png

オープンな「トライブ」とクローズドな「タコツボ」それぞれを俯瞰して考えて、どこにコンテクスト設計を行うかが今後重要になる。どことどこを連結させるか、何を共有できるようにするのか。ソーシャルメディアの仕組みと仕掛けをどうつなげるか。

そういった意味ではレディ・ガガの「Littlemonsters」は「トライブ」と「タコツボ」のあいだを担うセミクローズドなコミュニティといえる。このような形態も今後増加していくだろうし、オープンとクローズドをつなぐ重要な役割を果たしていくだろう。


littlemonsters.pngのサムネール画像
音楽コミュニティを手に入れないとビジネスをしていくことは今後難しい。
そのためにソーシャルメディアの用途をしっかりと踏まえることが、ひとつの可能性になるのではないかと思っている。

「タコツボ」と「トライブ」はそれぞれ独立しながらもつながり合っている。向かい合っている。手を取り合っている。そんな関係性なのだと思う。

さて、春が近づいてきてフェスも始まりはじめましたね。
今年はみなさん、どこのフェスへ行かれますか?

※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!

tt_05.png

2012年03月05日

author:高野修平
androp.jpg

「ソーシャルメディアに取り組むか、取り組まないか」というフェーズから
いかに「ソーシャルメディアと向き合っていくか」というフェーズに時代は変わりつつある。専門部署の開設や社内運用の仕組み化も進んできた。

twitterやfacebook、Youtubeのアカウント開設ラッシュから徐々にそれぞれのソーシャルメディアでの役割や目的、ユーザとコミュニケーションを取るかが次の課題となっている。

特に音楽業界でいえば、企業レベル、アーティストレベルでソーシャルメディアへの取り組みは見られるが、その多くが実際は「ソーシャルメディアをやっている」だけにすぎない。

今回はファンの「熱度」を熟成することで、ソーシャルメディアマーケティングを発動するタイミングをコントロールすることについて考えてみたい。


◆クワトログラフでandropを伝える


ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル「unBORDE」に所属するandropはいま、至る所で注目を浴びているバンドだ。

andropは現在、ワンマンライブツアー中でほとんどの会場はソールドアウトの状態になっている。また、マスメディアでの露出も少なく(ゼロではない)決して世の中の誰もが知っている「世の中ゴト化」の状態にはなっていない。

しかし、andropはもともとの音楽性の素晴らしさがベースにありながら様々な方法でandropを伝えている。

例えば、印象的なロゴがある。タワレコなどに足を運べばわかるが、1stフルアルバム「relight」発売前などはタワレコの購入導線上やフロア導線上にandropのロゴを配置し、認知経路を確保していた。

僕自身も最初にandropを認知したのは、このタワレコでのロゴだった。

その後、ミュージックビデオ「Bright Siren」がソーシャルメディア上で話題を生み出し、その後のミュージックビデオ「Bell」でも話題となった。そのとき、僕はロゴとミュージックビデオとandropが線になる。クワトログラフの「音楽以外から音楽を知る」リレーショングラフのパターンだ。もちろん、ソーシャルグラフやインタレストグラフも自然発生的に起きている。
また、andropの発売するCDジャケットのデザインも非常に秀逸で、それ自体がニュースになるなど、PRをうまく活用していたように思う。


特にミュージックビデオはクリエイティブユニット「PARTY」が手がけたこともあり広告、IT、ソーシャルメディア業界には広く伝わった。「PARTY」からandropを知ったユーザもこの業界には多いように思う。


今の時点でandrop自体は何もソーシャルメディアアカウントを運営していない。
あくまで音楽性やコンテンツ自体がソーシャルメディアで広まり、リアルも含めた全体戦略からandropを訴求できているように思う。もちろん、中にはバンドの外面上の部分もあるとは思うが。

ソーシャルメディアを活用することは、何もアカウントを開設するだけではない。
素晴らしい音楽、ハイクオリティな映像、印象的なロゴなどマスメディアを使わずとも多彩な方法でゆっくりと認知経路と興味喚起を育んできたといえるだろう。


◆ファンの「熱度」を自然発生させ、溢れさせる


現在、andropはYoutubeにのみチャンネルが開設され、数多くの映像を見ることができる。

andropはメンバーの顔をあまり表に出すことはない。Youtubeで視聴できるものはミュージックビデオやTV SPOT(ここではマスメディアを一部活用している)。その中でミュージックビデオのメイキング、ライブ映像やライブのダイジェスト映像もアップロードしており、ここで初めてライトファン及びミドルファンはandropの素顔を確認できる。

androp2.png

しかし、着実にファンを醸成してきたandropは自身がソーシャルメディアを運用していなくても、ファンが自発的に熱意を持って、ソーシャルメディア上にandropに関わる発言をしている。

試しに僕が所属するトライバルメディアハウスのクチコミ分析エンジン「Boom Research」でandropのクチコミを見てみよう。対象範囲は2012年1月1日から02月29日までで、ブログ、2ちゃんねる、掲示板としている。twitterは含まれていない

search.png

例えば、同レーベルのきゃりーぱみゅぱみゅはマスメディアやPRも含め、すでに「世の中ゴト化」へと遷移し数多くのクチコミがあることは想定できる。(本ブログでは掲載しない)一方、まだ「世の中ゴト化」までは至ってないandropであるが、実はかなりの数のファンがクチコミを行なっていることがわかる。

きゃりーぱみゅぱみゅもandropもかぶることがない名前というのも非常に重要な要素だが注目すべきはandropのファンに関して言うと「熱量」が溢れ出ている状況だということだ。特にtwitterも加味するとその数は多い。

ソーシャルメディアを運用することはそこにファンが集う。集い、うまく運用すればコミュニケーションが活性化され、よりアーティストとユーザ、ユーザとユーザのエンゲージメントは高まっていく。仮にもしandropのfacebookページなりtwitterがあったならそれなりにファン数を獲得することはできるだろう。

しかし、現在andropはその熱量を放出する場がないだけに、コアファンやエヴァンジェリストたちがありたっけの思いを込めてソーシャルメディア上で言葉を何度も吐き出す。そして、それはただの情報ではなく、熱量を伴っていることから、自身のandropを知らないソーシャルグラフにゆっくりと浸透する。

ちなみにmixiコミュニティは存在し、約15000人以上が参加している。
ここはすでにandropのファンのみが存在しているので、andropを広めるよりもコアファンをユーザ同士で形成していくことやコアファンを見つけ出すほうに向いている。しかし、mixiの状況を加味するとおそらくandropのメインターゲット層はここに生息しているように感じるが、ここだけ重要視することは機会損失だ。

キャンペーンのように一回つぶやいたら終わりなのではなく、ユーザが「自分ゴト化」されているからこそ、そして「仲間ゴト化」へ広がり始めている。何度も何度もandropへの思いを吐露する。それは嘘偽りない声だ。もちろん、仮にファンを集わせる場所があったとしても、その熱量を秘めた声はソーシャルメディアで同時多発的に生まれているはずだ。しかし、もしも統一された場所があればそこで済んでしまうかもしれない。その場所がないからこそファンは思いを伝え、andropの良さを伝え、仲間を見つけ、つなげようとする、つながりたいと思う。

ユーザはandropの音楽に触れ、共感し、共有し、楽しんでいく中で、、ひとりでも多くの人に知ってほしい、共有したい、という自然発生的かつ自発的にソーシャルメディアを活用し、自由に楽しみながら広めているピュアな現状がある。androp自身が何かコントロールしていることはもちろん、ない。

ソーシャルメディアは今後確実に取り組む方向へ進むとしても、その発動のタイミングはコントロールすることができる。ソーシャルメディアではクチコミをコントロールすることはできない。しかし、意図的に熱量を高めて、炙って、ソーシャルメディアマーケティングを発動するタイミングはコントロールすることができる。

その際、今後twitterアカウントやfacebookページを開設することが正しいのかは考えなくてはならない。それが正解の場合も大いにあるだろう。いかにしてソーシャルメディアで潜在層、ライトファンをミドルファンへ醸成していくか。そして、どのように100Tribes(ワンハンドレッドトライブス)をつくりだしていくか。そして、「世の中ゴト化」へスケールアップさせるためには、マスメディアやPRも欠かせない。



◆ソーシャルメディアの前に【共有】される環境を作り出す


andropはソーシャルメディアを自身では運用していないが、andropの音楽や映像、歌詞、情報をすぐさま取得できる環境を構築している。

ミュージックビデオはもちろんのこと、andropのオフィシャルサイトでは楽曲、映像も見ることができる。また、スマートフォンサイトにも対応しており、簡単にandropを知る、聴く、見る、共有する仕組みがある。ソーシャルターミナルほどではないが、その下地はすでにできている。まだ一歩通行の部分はあるが、今後変わっていくだろう。

androp PC TOP画像.jpg

中でもスマートフォンサイトで歌詞をコピーできることはかなりの驚きだ。
本来コピーできないものだが、意図は不明だがこのように歌詞すらも共有できるようにすることで、andropの音楽性がコアファンによって伝搬されていく。ここにもっとソーシャルボタンなどがあればよりいいだろう。

企業やアーティストがソーシャルメディアに参加しようとしまいと、ユーザは自由に声をあげている。それを活用することも重要だが、それよりもまずandropを『共有』させる仕組みを作るほうが大切だ。webサイト然り、スマートフォン然り、コンテンツ然り、ユーザのかゆいところに手が届くようになると、その後ソーシャルメディアマーケティングを実施した際に広がりは幅を生み出す。闇雲にソーシャルメディアマーケティングをおこなってもそれは灯台下暗しだ。


写真 (2).PNGのサムネール画像


◆生身の人間しかいないからこそのソーシャルメディア


本物は熱量を自然と生み出す。その熱量をどう放出させるか、もしくはどう醸成させるかがこれからのポイントになる。ソーシャルメディアは所詮ツールである。そこに集う生身の人間の感情があって初めて成立するものだ。

とりあえずソーシャルメディアを開設してからチューニングもいいが、いつ、どの、タイミングで、ソーシャルメディアマーケティングを活用するかはアーティストにとって重要な問題だ。そのためには継続的なクチコミ分析は欠かせない。傾聴戦略はソーシャルメディアマーケティングを発動するときに必ず価値を生む。それは目視や精度の低いものではなく、きちんとしたものを導入することでいざというときの重要な判断材料になる。

レディ・ガガのように100Tribes(ワンハンドレッドトライブス)の発展形であるファン専用のソーシャルネットワーク「Littlemonsters」などのようなものも今後次々と生まれてくるだろう。

littlemonsters.png

安直にtwitter,mixi,facebookではなく、その意図と役割と住み分けとタイミングを定めることが大切だ。今回取り上げたandropが今後どのようにソーシャルメディアマーケティングに取り組むかはわからないが、興味深く注目していきたい。

実施方法の正解はない。facebookページやソーシャルメディアにすでにページを開設し、運用しているアーティストやレーベル、企業もある。戦略なしのソーシャルメディアマーケティングはよくないが、方法論はいくらでもある。今回の例がどのアーティストにも当てはまるわけではない。10組のアーティストがいれば、10通りのやり方が存在する。

ファンの「熱度」を熟成させることで、のちのちソーシャルメディアマーケティングを発動したときに、ファンの「熱量」はより一層加速する可能性を含んでいる。そのためには、いかに「クチコミしたくなるような共感を纏うコンテンツ」を生み出せるかが重要になる。

ソーシャルメディアは情報をコントロールできない。
しかし、ソーシャルメディアマーケティングを発動するタイミングはコントロールできる。

だからこそ、行き当たりばったりではなく、全体戦略を踏まえ中長期的な計画の中でソーシャルメディアマーケティングを実施するタイミングを考えて様々な施策と連動していくことが必要だ。

素晴らしい音楽をもっともっと広げるために、届くように。ソーシャルメディアはそこに価値を出せる。

andropを聴いたことがない方は是非、聴いてみてください。素晴らしい音楽を奏でるバンドです。僕自身も大好きです。





※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!