2017/06/15

【熱狂ブランド戦略コラム】熱狂者がいなくなるブランドコミュニティをバッドエンディングから考えてみよう

こんにちは。トライバルメディアハウスで熱狂ブランド戦略を推進している高野です。社内では「けんけん」と呼ばれています。どうぞよろしくお願いします。
 
私は、熱狂ブランド戦略の中でも、特に企業・ブランドのファンコミュニティの運用コンサルティングに取り組んでいます。携わったブランドの業界としては、女性誌・お酒・化粧品・学習教材・加工食品・お菓子などなど……。いずれも魅力的で、「熱狂的なファン」に愛され、支えられている企業・ブランドばかりです。
 
ファンコミュニティと聞くと、企業・ブランドのことについて熱く語る人が大勢いて、そこで活発な議論が交わされている、というものをイメージする人が多いかもしれません。ですが、コミュニティの場を熱狂的なファンに提供したからといって、自発的にファン同士が活発なコミュニケーションを取って盛り上がってくれるわけではありません 。企業・ブランド側がきちんとファンの熱い気持ちを聞く場を設けたり、ファン同士の交流がおのずと生まれるキッカケを用意する必要があります。
 
今回は、そんなコミュニティの一般的なイメージから一転していくつかの最悪のシナリオを想定しながら「コミュニティから熱狂的なファンがいなくなってしまうのはどんな状態か」を考えるとともに、そうしたバッドエンドを避ける方法についてお伝えしたいと思います。
 
 

 
 
そもそも、熱狂的なファンがコミュニティに集まる仕組みとは?
 
バッドエンドについて考える前に、まずはブランドのファンコミュニティ(以下、ブランドコミュニティ)に集まる熱狂的なファン(以下、熱狂者 )の心理と人数が増えていくステップについて考えてみましょう。
 
ブランドコミュニティを運用するには、はじめにそのブランドのことが好きな熱狂者を集め、コミュニティ会員になってもらう必要があります。コミュニティの構成に最適な人数は、商材やブランド、コミュニティの役割によって異なりますが、集められた熱狂者は総じて「ブランドのことをもっと語りたい」「好きなブランドの役に立ちたい」という意欲を持っている傾向があります。
この熱狂者たちは、コミュニティ上で運営(ブランド)側が提示するテーマについて語り合ったり、熱狂者同士でアイデアを出しあったりすることで、ブランドから協力者として歓迎されると同時に、熱狂者自身も徐々にコミュニティへの関与度を高めていきます。
そうすると、次のプロジェクト……そのまた次のプロジェクト……と、熱狂者が積極的に参加するサイクルが回りはじめるとともに、コミュニティの登録に二の足を踏んでいた人たちも次第に「何だか面白そう」「自分も参加してみたい」と感じる雰囲気が作り上げられるのです。 
 
 
熱狂者が離れていくコミュニティで起きることと、その回避方法
 
前述したように、熱狂者は「大好きなブランドのことを語りたい」「ブランドの役に立ちたい」という思いを持って集まりますが、いま熱狂者だからといって永遠にそのブランドを無条件で好きでいてくれるわけではありません
熱狂者が増えすぎて自分の居場所がないと感じたり、派閥ができることへの嫌悪感からコミュニティへの参加意欲が薄れ、次第にブランドへの愛が冷めてしまうケースも少なくないのです。
では、それらの熱狂者がコミュニティから離脱するケース毎に、熱狂者の気持ちと対策をまとめてみましょう。
 
 

 
 
【自分の居場所がないと感じる】
 
ブランドに対して「自分の思いを伝えたい」という意欲を持ってコミュニティに加わったものの、自分と同じ立場の熱狂者の多さに嫌気がさした(圧倒されてしまった)、自分の声がブランドに届く気配が全くない、コミュニティの雰囲気や方向性が自分の理想と大きく外れてしまっている、と感じた場合に起きやすいケースです。
コミュニティの会員規模が大きくなりすぎてしまいコミュニティ自体への愛着が薄れてしまったときも、そうした疎外感を生みやすいと考えられます。
 
では、こうした状態を防ぐためにはどうしたらいいでしょうか?
ブランド側は、どうしても「熱狂的なファンは多ければ多いほどいい」と考えがちです。もちろんこの考え方は間違ってはいないのですが、会員側からしてみれば「自分だけを特別視してほしい」と思うのが自然な流れです。そこで、私が有効だと考える手段は「会員の希望や要望に応じて、提供する体験を変えていく」ということ。
活動に対して積極的な会員にはインセンティブを用意したり、称号を贈ったり、貢献度の高い会員だけが参加できる特別ページを用意したりと、熱狂的な会員ほど「大勢いるうちの少数」になることができます。一方で「自分は中堅がちょうどいい」と考えている会員の気持ちも汲むことができます。必ずしも全員が熱狂者のトップになりたいわけではない、ということを忘れてはいけません。熱狂的なファンを「みんな同じ」として扱わないことが大切です。
 
 
【コミュニティに特別感がないと感じる】
 
熱狂者は、所属しているコミュニティに「特別感」が感じられなくなると、アクセスやログインの頻度が次第に少なくなります。いくらブランドのことが好きでも、そのコミュニティならではの企画や取り組みがないと魅力が感じられず、わざわざ時間を割いてまでアクセスする理由もなくなってしまうのです。
 
この事態を避けるためには、ズバリ「このコミュニティだけの体験」が得られるように工夫することが必要です。
コミュニティでしか手に入らない情報を発信したり、コミュニティの中でだけ感じられる感情を引き出すことで、何度も訪れるきっかけをつくるのです。オンライン上の施策としては、商品情報に加えて「開発までのストーリー」や「先行モニターによるトライアルのレポート」といった情報を用意する、「新商品への想いを投稿し合うコンテンツを用意する」 といったようなものが考えられます。一方、オフライン施策としてはブランド担当者から会員へ送る「手紙」が特に有効です。さらに手書きの「手紙」なら、ブランド愛は一気に高まります。
 
 
【登録したはいいけど、何をすればいいかわからない】
 
「特別感がない」とも近いのが、コミュニティ上で会員が行える活動やミッションがきちんと伝わっていない場合やそもそも設計されていない場合に起こりやすい、この【登録したはいいけど、何をすればいいかわからない】ケース。
いくら会員がやる気に溢れていても、その気持ちを受け入れてくれる場ややる気を注ぐ活動が用意されていないとコミュニティ参加への充実感が得られず、結果として熱狂者がコミュニティから離れていってしまうことに……。
 
ここでは、「楽しみ方の提示」と「ミッションの依頼」が重要になります。
楽しみ方の提示は、その名の通りコミュニティでのオーソドックスな過ごし方、楽しみ方を提示すること。ゲーム序盤のチュートリアルのようなものを想像してもらうと分かりやすいかもしれません。特にコミュニティ開設初期は、ブランド愛が高くてもコミュニティ自体には愛着を持っていない状態なので、楽しみ方の提示に加えて会員同士で盛り上がれるディスカッション形式の施策を用意するのも有効です。
 
また、ミッションの依頼を行うと、適度な責任感を持ってもらうことで活動に対するモチベーションを維持させるだけでなく、適正な対人関係を保ちながら過ごしてもらうことができます。無責任というのは、時として「傍若無人な振る舞いを許された」といった誤解を生むこともあるため、コミュニティ上であっても社会性が必要であるということを理解してもらうことが不可欠です。
 
 

 
 
【ブランド愛(=主張)が他の会員とぶつかって喧嘩してしまう】
 
両想いなのは、あくまで「ブランド対会員(個人)」という関係だからであり、そのブランドコミュニティに集まった会員全員がお互いを理解しあえるわけではない、ということも忘れてはいけません。実際にコミュニティ上で喧嘩が起きてしてしまったら、会員の片方あるいは両方がコミュニティに再訪しにくくなってしまいます。
 
この問題を回避するためには、運営側があらかじめ「多様性を是とする」ことを明示することが重要です。運営側があらかじめ多様性を認め、「いろいろな好きの形がある」というメッセージを日ごろから伝えていると、万が一トラブルが起きても「お互い分かり合うこと」を当事者たちに依頼するだけで解決できる場合も多いのです。ただし、それでも”顧客”であることを理由に行き過ぎた態度をとる会員がいた場合は、しかるべき対応を取る覚悟も必要です。
 
 
【派閥ができることが嫌だ】
 
そのブランドが好きでコミュニティに参加したはずなのに、対立が起こったり、多数派を形成しようとするいわゆる「政治的な動き」が見えてしまうと、一気に現実に引き戻されてしまう原因にもなります。また、自分の言動が多数派工作に利用されてしまうことを恐れて、結果的に活動を抑制してしまう場合も考えられます。
コミュニティ上でファン同士がテーマを設定して行われるディスカッション機能などでは、ファン側に編集権限を渡しすぎるとこういったトラブルが起きやすくなる傾向があります。
 
「派閥」は、「仲間を見つける」ということにも通じるため対策が取りづらい問題ですが、前項と同じように「多様性を是とすること」と「個の意見を平等に捉えている」という意思をしっかり伝えることで対策が可能です。
 
 
まとめ
 

 
 
「え? コミュニティってそんなことまで気をつけないといけないの?」や「気にしすぎじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、今回ご紹介したような問題は、運用するうえで常に隣り合わせで、容易に起きるトラブルなのです。
コミュニティに集まっているのは、感情(特にブランド愛)を持った人であるということを忘れてはいけません。熱狂的な愛情を持っているからこそ、コミュニティ上で感じる喜怒哀楽は、無関心なブランドに対する気持ちとは全く異なります
 
そして、そんなブランドコミュニティでは、ブランド(企業)側から「自分たちは提供側である」「コミュニケーションの場を用意してあげている」といった意識がにじみ出ると、熱狂者の心が離れていってしまう原因になるということも、必ず覚えておいていただきたいと思います。コミュニティの主役は企業ではなく、あくまでそこに集まる熱狂者(会員)なのです。その基本の心を忘れてしまったコミュニティは、たちまち会員にとって楽しくない(魅力のない)場所になってしまいます。
 
こういったブランドコミュニティや熱狂者ならではの特性をしっかり理解したうえで、ブランドへの熱を保ち続けてもらえるような企画を展開・運用し続けていくことが重要です。コミュニティの開設がゴールなのではなく、コミュニティを通してブランドと熱狂者がよりWin-Winな関係を築くことがゴールなのです。
 
 
 

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