2017/01/18

「熱狂の壁」を越えるための顧客体験

こんにちは。トライバルメディアハウスで熱狂ブランド戦略を推進している高橋です。

以前、「これからのマーケティング戦略で避けられない”Third Moment of Truth”とは」という記事で、
熱狂ブランド戦略におけるThird Moment of Truthをご紹介させていただきました。
今回は、顧客を熱狂に導くにはどのような顧客体験が必要かをお伝えしたいと思います。

まず、私たちは熱狂顧客の育成には以下のような4つのフェーズの設計と各フェーズでのコミュニケーションが
大切だと考えています。

熱狂の壁を越える:顧客にとってそのブランドが特別な存在になるきっかけをつくる
熱狂度が高まる:ブランドにハマっていく過程で顧客の熱狂度を高める
熱狂度を維持する:特別体験によって高まった顧客の熱狂度を維持する
推奨機会をつくる:熱狂顧客が新たな顧客にブランドを推奨するきっかけをつくる

図で表すと、このようになります。
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ここでは「①熱狂の壁を越える」に焦点を当てたコミュニケーション戦略について考えてみます。

熱狂の壁の越え方
「熱狂の壁」を越えてもらうためには、そのブランドに対して特別な感情を抱いていない顧客に
ブランドを特別な存在として認めてもらい好きになってもらうためのきっかけづくりが不可欠です。
このきっかけづくりは、ブランドに対する「熱狂の壁」を越えてもらうための
ハシゴを掛けることを指します。
ハシゴの掛け方(施策パターン)は、主に4つ。以下で、それぞれの考え方と事例をご紹介します。

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(1)愛着のハシゴ
人は、長く使い続ければ使い続けるほど商品やブランドに対して愛着を感じます。この愛着を生み出すのが、
「愛着のハシゴ」です。もちろん、愛着を強制的につくることはできませんが、愛着が湧くきっかけを
ブランド側が提供することは可能です。

顧客に愛されるパタゴニア/スノーピーク
アウトドアブランドのパタゴニアは、高単価な商品を揃えていることで有名ですが、商品の修理サポートが
充実していることでも知られています。たとえば、ダウンジャケットが破れたとカスタマーサポートへ
連絡をした場合、すぐに新品との交換を勧めるようなことはせず、できるかぎり自社の素材で修理をして
くれるというのです。破損によってダウンが減っている場合は、新たにダウンを補充してくれることもあると
いいます。
また、キャンプ用品を販売するスノーピークでは、製品に一切の保証書をつけていません。商品をなるべく
長く使ってもらえるように、製造上の欠陥が原因の場合は無償修理・交換対応をしています。週末の
キャンプで商品が故障してしまった場合は、次の週末のキャンプに間に合うよう平日のあいだに修理をして
お客様の元に届ける、といった工夫もされています。
新たな商品を次々と購入してもらったり、すぐに新品と交換するのではなく、自社商品をより長く使って
もらえるような仕組みや対応も、ブランドに愛着を持ってもらうきっかけづくりの一つといえます。

(2)親密のハシゴ
2つめは「親密のハシゴ」です。一般の顧客にとって、企業は顔の見えづらい無機質な存在。ですが、社員が
企業と顧客の間に立ち、顧客と直接顔の見えるコミュニケーションを図っていくことで、顧客のブランドへの
親密度を高めることが可能になります。
社員と顧客というコミュニケーションの構図は、飲食店やホテルなどのサービスブランドにおいて語られる
ことが多いイメージですが、メーカーでも社員を軸にコミュニケーションを図っている例は少なくありません。

熱狂社員が直接顧客とつながるヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイングは、長野県佐久市に本社を置くクラフトビールメーカーです。この企業では、年に一度
軽井沢で「超宴」というイベントを開催し、社員と顧客が直接つながる場を提供しています。
注目すべきは、この「超宴」はすべて自社の社員が主体的に運営しているということ。所属している部署に
関係なく社員が進んでイベントに参加し、ビールを飲みながら顧客と密なコミュニケーションを図ることで、
ブランド自体への親密度も高めているのです。こうした施策も、社員自身がヤッホーブルーイングに熱狂して
いるからこそ、成り立っているといえます。

(3)感動のハシゴ
顧客の想定以上の感動体験を提供することによって、顧客のブランドへの愛は一気に高まります。ただし、
ここで間違えてはいけないのが、単に顧客の不満を解消するのではなく、顧客が期待していなかったことに
対して価値を提供する
ことが感動体験につながるという点。
顧客の「期待値」がどこにあるのかを見極め、そのうえで顧客の期待を越えた価値を提供できるかどうかが、
「感動のハシゴ」を掛けるカギになります。

顧客へ「Wow」を提供し続けるZappos
Amazonに買収された靴のオンラインショップZapposは、顧客に「Wow」を提供することを軸にコミュニ
ケーションを展開しています。とくにカスタマーサポートは顧客との重要な接点と考え、顧客視点に立った
対応を徹底。問い合わせのあった商品を自社で扱っていない場合は他社のサービスを紹介するなど、
普通では考えられないサポートまで行っています。
以前、弊社スタッフが彼女へプレゼントする靴をZapposのオンラインチャットで相談した際は、オススメの
靴を紹介してくれるだけでなく、彼女へどのようにプレゼントすれば喜んでくれそうか、という
ことまで相談に乗ってくれたそうです。これも1つの感動体験ですね。

(4)学びのハシゴ
最後は「学びのハシゴ」。一見、学びというとユーザーに負荷をかけているように見えがちですが、学びも
また、顧客を熱狂へ導くきっかけをつくってくれます。学習を通してブランド体験の質が深まっていく
場合は、この「学びのハシゴ」が有効です。

旅の学びを提供するクラブツーリズム
クラブツーリズムは、シニア世代をターゲットとしたツアーを企画・展開しています。ツアーといっても、
目的地に行くことを商品にしているのではなく、その目的地を軸としたテーマを設定し、ツアーを提供して
いるのです。「万葉集を学びに行く旅」「戦国の戦をめぐる旅」「社交ダンスを踊りに行く旅」など、旅の
テーマはさまざま。また、自社のツアー企画をより深く知ってもらうきっかけづくりとして、旅の前後には
「旅の文化カレッジ」という学びの場を提供しています。この講座があることで、顧客はツアーのテーマ
についてより深く知ることができ、充実したツアーを体験することができるといいます。

熱狂の壁を越えた先にあるもの
以上のように、「熱狂の壁」はさまざまなハシゴで越えることができます。ただし、このハシゴを登って
もらうには多くの困難が伴うことも事実です。そもそも、そのブランドに対して特別な感情を持っていない
顧客に、特別な感情を持ってもらうことは容易ではありません。1つの経験で顧客に熱狂のハシゴを一気に
登ってもらうことは難しいうえ、たった1つのネガテイブな経験で顧客はあっという間にハシゴを降りて
しまうのですから。用意したハシゴを一段一段登ってもらうためには、顧客接点を一つひとつ丁寧に
設計していかなければなりません。
顧客を熱狂に導くためには、「熱狂の壁」を越えた先にある顧客体験まで含めた統合的設計が欠かせないのです。
1つの顧客体験だけを見つめるのではなく、4つのコミュニケーションフェーズにおいて顧客体験が最適な
役割を果たせているのか、考えていく必要があります。

【過去の記事】
2016/10/18 これからのマーケティング戦略で避けられない”Third Moment of Truth”とは

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